5月7日(土) 2011 J1リーグ戦 第10節
大宮 0 - 0 新潟 (15:05/NACK/9,094人)
スカパー!再放送 Ch181 5/10(火)後09:00〜
☆totoリーグ
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試合後の監督会見場にも、ピッチ上ほどではないにせよ、ホームとアウェイの雰囲気というものがある。アウェイの監督にしてみれば、場内の7〜8割が顔なじみではない相手チームの担当記者、それも大なり小なり担当チームに愛情を持っている人たちばかりというのは、しゃべりやすいとは言えないだろう。そんな中で新潟・黒崎久志監督は開口一番、憮然とした表情で「勝てた試合。いや、勝たなければならない試合だった」と言い放つ。場が凍りついた、というほどではないにせよ、間違いなく一瞬、緊張した空気が流れた。それだけアウェイの指揮官にとって、この引き分けは受け入れがたい結果だったのだ。
試合は不穏な入り方をした。開始早々、大宮の右タッチライン際深く、スピードに乗ったドリブルで渡部と並走していたチョ ヨンチョルが突然倒れ込み、そのまま退場してしまったのだ。昨シーズンの開幕節、大宮のラファエルがほぼ同じ場所で、同じように走りながら肉離れを起こしたことが思い出される。あの場所には魔物が潜んでいるのかもしれない。韓国代表監督が視察に訪れていただけに、チョ ヨンチョルにとっては無念だっただろう。
新潟は慌てて木暮郁哉を投入するが、前線でまったく起点が作れず、前半に放ったシュートはわずか2本。大宮がゲームを支配して攻めるが、ここまでリーグ戦2失点の新潟の強固な守備ブロックを崩せず、7本というシュート数の割に決定的な場面はほとんどなかった。
後半は一転して新潟のペース。「全体的に間延びしてしまった」と鈴木淳監督が指摘するように、大宮の前線と最終ラインの距離が開き、攻撃は単発となり、逆にボールを奪われるとブルーノ ロペスを起点に攻撃を許した。酒井、右の藤田征也、新潟の両SBが高い位置取りから次々に攻撃参加し、大宮は完全に受身となる。「決定的な場面が4〜5回」という黒崎監督の言葉はややひいき目としても、大宮のベンチとサポーターを凍りつかせるシーンが確実に2回あった。一つは渡部大輔がオウンゴール覚悟でクリアを成功させ、もう一つはブルーノ ロペスがゴール前で完全フリーな状態だったが、ヘディングをたたきつけすぎてボールはワンバウンドで枠を超えた。
このシュートのどちらかが決まっていれば勝てた……新潟の誰もがそう思うのも無理はない。後半は大宮のシュートを4本、コーナーキックもゼロに抑えた。守備には自信を持っているだけに、その思いが黒崎監督の会見での言葉になっている。
一方の鈴木監督は試合後、いつものように淡々と試合を振り返ったが、(危ういところで勝点1を拾った)という表情ではなかった。大宮にも勝機があった。それもむしろ、押されていた後半に。ボールを持ちながら前線での動きが乏しく守備ブロックを崩せなかった前半に比べ、後半は前線の流動性が高く、カウンターからたびたびペナルティエリアに侵入し、シュートにこそ至らないものの十分に危険な場面を作っていた。相手にシュート数で上回られても粘り強く守りぬく新潟の守備をほめるべきだが、一つ間違えば大宮に先制点が転がり込み、そのまま逃げ切ることも可能だったろう。大宮の担当記者としては、鈴木監督にも強気に「勝てる試合だった」と言い放ってほしいところだが……。
スコアレスドローではあったが、決して退屈な試合ではなかった。互いに粘り強く守るだけでなく、そこからしっかり攻撃の形を作り、ゴール前でのシーンも多かった。試合のキーマンとなると思われたチョ ヨンチョルが早々にいなくなってしまったことは観戦者にとっては残念だったが、大宮にとっては前半の攻勢につながり、新潟はチームの総合力を見せた。これで4連続引き分けとなったこのカード、決着は8月24日の第23節、東北電力ビッグスワンスタジアムに持ち越された。だれもケガ人なく迎えられるように祈りたい。
以上
2011.05.08 Reported by 芥川和久
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