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F東京が明日、味の素スタジアムで湘南と対戦する。湘南は、一歩前を進んでいる。F東京は現在、勝点８で11位に沈む。今季開幕前に思い描いてきたJ２リーグ前半戦の戦い方ができていない。ロースコアゲームになろうとも、焦れずに勝点を積み上げていく。それを実践できていない。逆にその狙いを持った戦いを続けているのが勝点11で4位につける湘南だ。開幕・岡山戦では５−０で快勝したが、その後は1点差のロースコアゲームを重ねている。
湘南は今季、守備の再建を図り、チームとしての戦いを整理した。昨季、J１ではオープン攻撃が目立ち、守備が崩壊する試合を重ねていた。その教訓を生かし、今季は失点しても傷口を絶対に広げていない。1失点以下に抑えていれば、自ずと決定機が転がり込んでくる。それを逃さなければ、勝点１以上のゲームを作ることができる。それが、チーム全体に浸透している。前線からハードワークし、守備を破綻させない。個々の役割も明確で、組み合わせにも注意が払われている。リーグ前半戦は、そうやって一歩ずつポイントを獲得して連係の熟成を図る。1失点以下のゲームを作り続けていれば、次の課題へと取り組める。アクシデントにより1失点は覚悟しなければいけないが、2点目を奪う力が備われば勝利を収められる。その“2点目の課題”に今の湘南は取り組んでいる。チームの成長過程をしっかりと見据えてJ２を戦っている印象を受ける。
この戦いができるのも、MFアジエルというボールの収まりどころがあるからだろう。彼にボールが入った瞬間、攻撃のスイッチが入る。F東京DF中村北斗は、「（福岡時代に）J２で対戦したときは、アジエルがボールを持った瞬間、サイドバックも積極的に攻め上がってくる。アジエルを前向きでプレーさせないようにしないといけない」と言う。アジエルを起点とした攻撃を機能させないことは、この対戦カードでは必須事項となる。仮に、先制点を奪われても焦ってはいけない。湘南に2点目を与えてしまうようでは、彼らを進歩させてしまう。守備を固めつつ、いかに彼らの厳しい守備を掻い潜って得点を挙げるかが今節のタスクだ。
F東京は平山相太に続き、前節草津戦で高松大樹が負傷離脱した。大熊清監督は今週、新布陣をテストしてきた。前線が流動的に動く布陣へと大きく舵を切った。１トップにFWロベルトセザーを置き、その後ろに３枚のシャドーを並べる。トップ下の羽生直剛の動き出しを合図に攻撃のスイッチを入れる。背番号22の空けたスペースに周りの選手が入り込み、そこから攻撃を展開する。パス＆ムーヴを繰り返すスタイルへの回帰。羽生は「メンバーが変わって、作業時間は少なかったが、期待感はある。やることは限られているからこそ、意図的にパスを回して試合をコントロールしたという時間を１分でも長く作りたい」と、手応えを語った。ここまで自分たちの時間を作ることができず、納得できる内容のゲームができていなかった。だが、「今は、立ち返るところがあるからどんな状況になっても焦りはない」と、梶山陽平は話した。この新布陣が、順調な歩みを辿る湘南に対して機能するか。F東京の「強くなってJ１復帰」の足がかりとなるゲーム。試合は明日16時、味の素スタジアムでキックオフする。F東京のリスタートはこの試合から切られる。
以上
2011.05.21 Reported by 馬場康平
