5月28日(土) 2011 J1リーグ戦 第13節
仙台 1 - 1 横浜FM (13:03/ユアスタ/15,181人)
得点者:20' 赤嶺真吾(仙台)、69' 谷口博之(横浜FM)
スカパー!再放送 Ch180 5/29(日)深01:00〜
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「仙台は負けていない分、やろうとすることがはっきりしていて、先に得点したら、しっかりブロックを作って守るという共通意識が高い」と、横浜FM・木村和司監督が躍進のホームチームを讃えれば、「固めていたはずの守備が乱された理由はマリノスの強さだ。攻撃のパワーがあると思った」と、仙台・手倉森誠監督も復活しかけている古豪の実力に脱帽の様子を見せる。
互いの強さを認め合うこととなった2位3位直接対決は、1-1のドローに終わった。とはいえ、悔しさが残ったのは、開幕からの無敗を8と伸ばしたものの、勝点3がすり抜けていった仙台の方か。
試合開始直後、明らかにペースを掴んだのは横浜FM。前節に結果を残した中盤ダイヤモンド型の4-4-2で敵地に乗り込んできた横浜FMは、この日もトップ下の谷口博之が前線で神出鬼没な動きを見せ、時に中央、時に両サイドに現れて仙台をかき回す。連動してポジションチェンジを繰り返す大黒将志、渡邉千真の両FWも合わせ、仙台の守備陣は落ち着くまでに多少の時間を要した。
だが苦しい10分を過ごした後に、冷静さを取り戻したあたりは、さすが今季の仙台と言うべきか。谷口への応対も、サイドに流れた際はサイドバックと戻ってきたサイドハーフで蓋をし、中央で待ち構えた際はボランチの角田誠が互角以上のフィジカルで自由を奪う。試合前の不安通り、もし混乱のまま早い時間に先制点を許せば、前節の甲府と同じ末路を辿っていた可能性もあったが、これを凌いだことで仙台は反発力を見せられる状況となった。
20分、仙台は理想的な形で先制点を奪う。この日は原博実・日本サッカー協会技術委員長も観戦に訪れていたが、氏の名台詞を拝借させていただければ、序盤の猛攻を耐えてすぐさまの得点はまさに「いい時間帯」。左を遅れて上がってきた朴柱成が、ゴールまで遠い位置でボールを受ける。サイドを深くえぐらずとも、今の朴のクロス精度ならば問題ない。高い弾道ながら弧を描いて落ちるクロスは、GK飯倉大樹をかすめてファーサイドに流れるが、そこにしっかりと逆サイドから菅井直樹が詰めており、ライン際で追いついた菅井から鋭い折り返しが今度は右からゴール前へ。飯倉も含め左右に揺さぶられた守備陣を尻目に、ゴール正面でしっかりと待ち構えていた赤嶺真吾が、最後は頭でゴールに叩き込んだ。
そしてリードを奪えば、仙台はさらに落ち着くことができる。ボールは握られるものの、序盤よりあわてた様子は見せず。中村俊輔からの長いスルーパスが、裏へ抜け出しかけた大黒へあわや通るかという場面や、前半終了間際には兵藤慎剛がペナルティーエリア右でフリーとなるピンチも迎えたりはしたが、前者は大黒が追走のDFともつれるものの笛は鳴らず、後者もギリギリのところで?秉局がシュートコースに体を割り込ませて難を逃れ、前半をリードのまま終える。
さらに後半、ゲームはさらに、仙台にとって理想的な展開となってきた。ビハインドを負った横浜FMは前半以上に前がかりとなって仙台エンドに攻め込んで来るも、それは仙台にとって逆襲のチャンスが広がるという意味も。実際に決定機の数も質も、仙台の方が勝っていた。
だが、これらを仙台はことごとくものにできない。左サイドから馬力を持ってペナルティーエリアに突進した角田のシュートがファーポストに跳ね返り、赤嶺が詰めるもDFに阻まれ押し込めず。カウンターで右サイドを切り裂いた太田吉彰からの素晴らしいクロスがニアで赤嶺の頭を捉えるも、GK飯倉の正面へ。さらに鎌田次郎のクリア気味の縦パスが横浜FMのDF裏へ落ち、オフサイドを免れた関口訓充が1対1となった飯倉を右にかわすまではよかったが、シュートは必死に戻った波戸康広に阻まれる…。
「超」がつくほどの決定機を次々と逃した仙台を見ながら、横浜FMベンチの木村監督は冷静に、仙台の勢いを削ぐ采配を行う。谷口との共存の中で、持ち味であるゴール前で勝負する機会が減っていた渡邉を下げて、高さに特化したキム クナンを、62分という早い時間に投入。合わせて、横浜FMの攻めは明らかにロングボールの比重が増すのだが、実はこれが仙台に効いた。リズムを変えられた仙台の守備は対応に苦慮し、DFラインの基本位置がずるずる下がる。これにより、高い位置でのプレスをかけられなくなり、中盤で中村や小椋祥平にさばき役としての自由を与えてしまった。
的確にボールを受けられるのだから、それは両サイドも上がってくるというもの。横浜FMの全包囲からの攻撃に対し、先刻まで攻守にバランスを保っていた仙台は、驚くほどに陣形が乱されていった。最終ラインにベタッと多すぎる人員が並んだり、逆サイドへケアが及んでいない様子も。
そうなると、さすが横浜FMはゴールを奪っていく。69分。ペナルティーエリア右外にボールが流れるが、それを拾い関口をかわした小林祐三が、右45度の中村へ繋ぐ。ペナルティーエリアに侵入した中村は細かなステップで、囲んでいた仙台の守備陣を遠ざけると、手倉森監督が試合後に「時間を止めた」と形容した、右足での柔らかいクロスをゴール前へ。この絶好機に高さで競り勝った谷口が同点弾をゲット。このゴールにより、首位の柏を追撃するべく勝点3が欲しかった両チームの対戦は、勝点1を分け合う形で終結した。
柏が勝利したため、首位との勝点差が少し開いてしまった両チームだが、改めての追撃のために、改善点はすでに見出した様子。「(後半の守備を受け)ボランチに、ああいう状況になった時には高さをもう少し早めに用意すべきだったかな」(仙台・手倉森監督)、「キム クナンの、高さ以外のものもシンプルに使っても良かったのではと思う」(横浜FM・木村監督)。ヤマザキナビスコカップを挟んで、次節は2週間後となるが、追撃の勝点3獲得へと、この引き分けを繋ぎたい。
以上
J’s GOALニュース
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