7月16日(土) 2011 J2リーグ戦 第21節
札幌 2 - 1 水戸 (14:04/札幌厚別/4,609人)
得点者:32' 内村圭宏(札幌)、56' 島田祐輝(水戸)、80' 岡本賢明(札幌)
スカパー!再放送 Ch180 7/17(日)後01:00〜
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試合開始直後はまだ芝が軽く水を含んでいた程度で、パスをつないで攻める両チームにとってはグラウンダーパスのスピードが上がって特徴を出しやすいコンディションだった。札幌はサイドバックから1トップの内村圭宏にパスを当てて、そこからサイドに展開するやり方。水戸は斜めのパスを多用し、そこに浮き球も織り交ぜながらボールを運んでいく。
しかし、時計の針が進むにつれて札幌がゲームを支配するようになる。この日は4−2−3−1のフォーメーションを守備時には4−4−1−1のような形にしていた札幌は、後方の8人が作るブロックの前でプレーする砂川誠が、攻撃的な選手ながらも守備でも献身的な働きを見せた。砂川の働きによって高い位置から相手の攻撃をスローダウンさせることができ、グループとしてのプレスが機能して主導権を握ったのだ。
札幌は内村の貢献度も大きかった。この選手が攻撃時に前線でしっかりとボールをコントロールして時間を作れるため、チーム全体をコンパクトに保つことができていた。そのため、ボールを奪われてもすぐにそこから人数をかけて奪い返しにいけるため、「攻守の切り替え」を重視する札幌のスタイルを打ち出すことができていたのだ。そして内村は32分にはCKから先制点を挙げている。
水戸のほうは前半こそ押され続けて失点もしてしまったが、後半に入ると立て直してきた。西岡謙太と村田翔の守備的MFが、前半は前を向いてボールを持っても左右のサイドMFに開くパスが多かったが、後半はマッチアップする砂川が運動量を減らしてきたこともあって、中盤の底からダイレクトに前線へパスを送るようになる。「後半は真ん中のエリアへのパスが通るようになった」と水戸の島田祐輝が言い、「バイタルエリアにボールを入れられすぎてしまった」と札幌の宮澤裕樹。相手ペナルティエリア付近でのプレーが増えた水戸はシュートまで持ち込む場面も増えるようになり、少しずつ札幌を押し返していく。
そうして、56分に相手のバックパスを、「狙っていた」という島田が素早く走りこんでGKよりも早くボールに触って同点ゴールを挙げたのだが、それも高い位置でボールを持てるようになり、相手選手に重圧をかけることができていたから。札幌のイージーミスと言ってしまうのは簡単だが、バックパスが蹴られた場所も敵陣のボックス内。そこで相手選手に後ろを向かせていたわけだから、それだけ押し込んでいたということだ。
1−1のスコアになってからしばらくは試合が膠着するのだが、ここから札幌の石崎信弘監督が揺さぶりをかける。67分、近藤祐介に代えて岡本賢明を投入しトップ下に据えると、2列目には左から砂川、岡本、古田寛幸というドリブルで内側に切れ込んでいくプレーが好きな3選手を並べ、積極的に仕掛けさせる。そうして水戸のDF陣が人に食いつく守り方になったところで、今度は砂川に代えてランニングスピードのある横野純貴を投入。この横野にはスペースで勝負をさせ、1トップの内村の周囲を走り回らせることで内村へのマークを軽くし、相手の守備ラインを押し下げさせたのだ。
そして80分。敵陣左サイドで岩沼俊介がボールを持つと、横野が動き出す。横野の動きをケアしつつ水戸のDF陣がラインを下げたところで、マークが緩まった内村にクサビのパス。そこからの丁寧な落としを完全にフリーになった岡本が豪快に蹴りこみ、2−1として勝負を決めた。
岡本のシュートはもちろん見事なものだった。しかし、そのシュートまでに至る崩しが極めてスムーズな流れで演じられた部分を考えると、そうしたシチュエーションを作り出した石崎監督のベンチワークが光ったと言える。
放ったシュートは互いに13本ずつ。どちらもそれなりにチャンスを作れていたことを考えると、水戸のほうは1得点に終わったことが悔やまれる。「2点目が入っていれば、展開は違っていた」と唯一の得点を挙げた島田も悔やんだ。
しかし、これがホーム&アウェイの面白さでもあり、難しさでもあるのだろう。札幌は日程変更もあって、北九州戦、愛媛戦、この水戸戦とホームで3連戦というスケジュールになっていた。北九州戦をドロー、愛媛戦で快勝しており、3連戦の3戦目となるこのホームゲームで勝って、勢いに乗りたいタイミングでもあった。そうしたこともあって石崎監督の積極采配につながったのだろう。対する水戸の柱谷哲二監督も常盤聡、ロメロ フランク、鈴木隆行という攻撃的な選手を順に投入していったが、基本的には全体のポジションバランスを保ったシンプルな采配だった。これが1−0などビハインドを追ったシチュエーションであれば、もう少し変化のあるベンチワークとなったのだろうが、アウェイゲームでタイスコアという状況はドローでの勝点1も頭によぎってしまうため、リスクのある選手交代はどうしても難しい。
そうしたホーム側とアウェイ側の心理的機微が見られた雨中の試合だった。札幌は次節は敵地で千葉と対戦するが、アウェイでもホーム同様のアグレッシブさを発揮できるのかどうか。一方の水戸は続いてアウェイでの富山戦。ここではどういった戦いを見せるのか、注目したいところだ。
この試合のCOOL BALLER:岡本賢明(札幌)
以上
2011.07.17 Reported by 斉藤宏則















