7月16日(土) 2011 J1リーグ戦 第5節
甲府 4 - 3 G大阪 (18:34/中銀スタ/14,126人)
得点者:15' イグノ(G大阪)、19' 平井将生(G大阪)、20' ハーフナーマイク(甲府)、30' 内山俊彦(甲府)、66' 中澤聡太(G大阪)、68' パウリーニョ(甲府)、70' ハーフナーマイク(甲府)
スカパー!再放送 Ch308 7/17(日)後04:55〜
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終盤、G大阪にボールを回されながらも片桐淳至、保坂一成、ハーフナー マイクらが諦めずに次々とボールの出たところにプレッシャーを掛けに行く。普通なら「後手を踏んでいる」と吐き捨てるようなチンチンにやられている場面だが、甲府がG大阪に勝つためにはこういう「熱さ」が必要だった。G大阪の選手は、一人二人は軽くかわしても三人四人と連続でボールにアプローチされれば疲れもあって精度の高いワンタッチ、ツータッチのパスにミスが出た。片桐は「一人二人しかボールに行かなかったら駄目だけれど、四人が連動したら絶対に奪える。奪えなくても相手はロングボールを蹴るだけになってGKやCBのところでマイボールになる」と、G大阪のボールを失わない素晴らしいパスワークへの対抗策に効率や手抜きという選択肢がないことをプレーで表現した。
「何と脆いことか」、と2失点(15分、19分)したときはゴールを決めたイ グノや平井将生の上手さを称えるよりも甲府の腰が抜けたようなプレーを罵倒したくなった。「甲府が1点取るにはG大阪に生贄を10ゴール献上するしかない」なんて言葉も頭に浮かんだ。ガンバサポーターが歌う、「ガンバガンバ、もっといったれ〜、ガンバガンバ、もっといったれ〜、ララララ、ララララ、ララララ〜」を聞きながら「あと何点取られるんだろう」とサポーターの歌にビビらされた。この歌は本当に威圧効果がある。でも、一時の感情で発言しないで沈黙を守ることは宝。1分後に「いったれ」の意味が分からないパウリーニョが諦めずに走って気持ちでボールを残し、その流れから彼自身が入れたクロスをマイクが素晴らしいヘッドで1点返すと、秋になりかけていた山梨中銀スタジアムに夏の熱が戻ってきた。記者席では「パウリーニョいいねぇ」なんて声が聞こえてきたが、唯一の心配はG大阪の偉い人が「パウリーニョええなぁ」なんて言ってないかどうかくらい。
10分後には吉田豊のケガでチャンスを掴んだ内山俊彦が、0−3から4−3にひっくり返した昨年の第10節横浜FC戦の4点目に匹敵するゴールを決める。三浦俊也監督の下で神戸を去って甲府に来た男は再び三浦監督の下で戦うことになり、三浦監督の誕生日に自身の300試合出場を自らのゴールで祝いアピールした。熱い試合展開になればなるほどゴールの嗅覚が鋭くなる内山だが、2失点目のクロスを自分のサイドから入れられた悔しさをこのゴールで晴らした。結果的に前半を0−0で終わるよりも2−2で終わったほうが甲府にとってよかった。G大阪の凄さを身をもって知ることが出来たのと同時に、2ゴールという自信も手にして後半を迎えることが出来たからだ。
後半、甲府は水戸黄門の入浴シーンのように後半の切り札・片桐を投入。片桐が出るときはリードされていることが多かったのだが、この日は同点で片桐がピッチに放たれた。前半とは違い、最初から熱を持って戦うことが出来た甲府に対してG大阪はミスが多い立ち上がり。「イケる」と思っていたら、G大阪はすぐに怖いチームになる。55分に市川大祐のクロスをマイクが決めて数秒盛り上がったが、バックスタンド側のタッチラインで旗を上げている副審がいて、出かかったアドレナリンも引っ込んでしまう。「あ〜あ」なんて嘆いているといつの間にか怖い怖いガンバタイム。58分のカウンターは二川孝広がシュートミスで許してくれたが、66分のCKでは中澤聡太に意地のヘッドを決められてしまう。しかし、この1点は前半とは違って甲府の選手もサポーターも凹ます事は出来なかった。前半の2ゴールがあるから闘争心に火をつけただけだし、ガンバタイムを甲府のディフェンスラインもよく守っていた。ダニエルがミスをすれば山本英臣がカバーし、山本が釣り出されればダニエルや、内山、市川、荻晃太が守った。この辺りから甲府がG大阪のパスワークに少しは慣れてきていることを感じた。前半のようにズルズル下がっても駄目で、「行くしかない」ということを身をもって感じていたはず。この流れが終盤の三人四人が連動する捨て身のアプローチに繋がる。
68分に石原克哉がペナルティエリアで倒され、パウリーニョがPKを決めると山梨中銀スタジアムはイケる気が充満。前半0−2になったときは家に帰って夜8時からのテレビを見たくなった人もいたかもしれないが、この夜の山梨県内に山梨中銀スタジアムよりも魅力的な場所なんてなかった。スコアボードで甲府の3点目の「3」の数字が点滅している間に柏好文から渡ったボールをマイクが決めてついに逆転。1点目は自分の頭、2点目は頭で落としてアシスト、3点目は狭いエリアでのヒールパスでPKを誘い、4点目は自分の左足と全てのゴールにマイクは絡んだ。ここ最近はスイッチオフで彼の声が聞こえなかったが、この夜はマイクのスイッチオンでボリュームも最大。両親が観戦していたことは関係ないだろうが、いい親孝行も出来た。ただ、G大阪の偉い人が「マイクもええなぁ」って言ってたかどうかが心配。
G大阪は中2日という厳しいスケジュールながらワンタッチパスで甲府の守備を食いつかせて空いたところにパスを通す上手さを見せ付けたが、2−0になった時点で勝てると思ったのか、明らかにペースダウンして省エネサッカーに切り替えた。甲府はそれにつけ込み、14,126人−G大阪サポーター=甲府サポーターが後押して、そのチャンスを活かした。西野朗監督は会見で「こういう打ち合いになると必ず結果は上回っていたはずなんだけれど…」、「ベンチワークの悪さ」、「積極的に行かすべき所を抑えさせたことが結果的に悪かったのか」という言葉を残した。毎日、G大阪のことを気にかけて暮らしているわけではないからベンチワークのことまでは判断できないが、Jリーグ屈指の上手くて強いチームが降格圏内のチームに負けることがあるというのがサッカーの難しさ。
で、甲府から見ればこれが面白さ。甲府サポーターが大好きな、ハードワークするチームが西の横綱をホームで倒すところを目の前で見ることが出来た。残留争いは続くが、ここ数試合感じている「熱」がある限り希望は繋がる。そして、勝った時に大事なのは次の試合。重なる慶事を勝点3の華で飾ることが出来たが、連勝が残留には必要。次は1回も勝ったことがないビッグクラブ浦和。ちょっと怖いけれど、何万人も入った埼スタで勝とう。片桐は「俺は浦和サポーターを駒場でしか経験したことがないから、埼スタで浦和サポーターを経験するのが楽しみ。今日は遠藤保仁選手や二川選手のプレーを見て自分に足りないものも分かった。彼らはボールを失わない。今日の試合を経験して自分が高いレベルに行くために必要なものが分かった」と清水戦に続いてビンビンと刺激を受けている。甲府はこれからアウェイ3連戦(リーグ戦2試合、ヤマザキナビスコカップ1試合)だが、アウェイチームをチケット代とスタジアムでの暴飲暴食で儲けさせ、勝点をもぎ取る甲州イナゴ軍団にも勢いがつくはず。いい気分で「なでしこ」を応援して、次の週末は浦和だ。さぁ〜行こうぜ、俺らの甲府〜。
■この試合のHOT BALLER:ハーフナー マイク(甲府)
以上
2011.07.17 Reported by 松尾潤















