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ここ4試合、白星と黒星が交互に続く新潟。前節清水戦はアウェイで逆転負けをしているだけに、ホームの今節で勝利を挙げることは、精神的なダメージを癒やすことにもつながる。そのための秘密兵器が右サイドバックの村上佑介だ。14日に柏から完全移籍してきた新戦力。今節は初のベンチ入りが濃厚で、出場の可能性も高い。得意のオーバーラップで新潟の攻撃を活性化させる。川崎Fは前節、終盤に勝ち越して首位柏を突き放した。勝負どころで得点を挙げる攻撃力で、連勝を狙う。
新潟の黒崎久志監督が思わず笑みを浮かべた。「村上は、もう何年もうちでプレーしているみたいだね。違和感がないよ」。21日の紅白戦。村上は1本目、サブ組の右サイドバックに入った。給水後の2本目は主力組の右サイドバックに。本人が「（右サイドハーフの）田中亜土夢にボールをあずけて、そこから追い越していくイメージを持ってやった」というように、バックラインからボールをもらうと、すぐに押し上げを図る。田中やボランチ陣とのボール回しから一気にサイドを駆け上がった。守備でも1対1の局面では激しくくらいついた。
スムーズなプレーの繰り返しに、黒崎監督は「フロンターレ戦でも状況によっては使うでしょう」と起用の可能性を口にした。もちろん、村上自身にも迷いはない。「行けといわれたら、いつでも行きます」。川崎F戦のイメージもできている。「高い位置を取ってくるサイドバックの裏を狙う」。そのために不可欠なサイドハーフとの連係に問題のないことを、紅白戦で示した。
14日に柏から電撃移籍。右サイドバックのスペシャリストに求められているのは、積極的な攻撃参加だ。柏時代にはデビュー戦となった2008年の第28節大宮戦で、ハットトリックを達成するなど突破力には定評がある。新潟は現在15位。ゴール数はリーグ16位の16と、得点力不足が低迷の要因にある。村上には攻撃に厚みを加える仕事が待っている。
その期待を受け止めつつ、ほかにも自分の役目があることを自覚する。「もっと激しくやらないと。できるはず」。紅白戦、村上は球際で激しくボールを奪い合った。気持ちをみせたプレーに影響され、ゲームの雰囲気は自然と引き締まったものになった。首位を走るチームで培ったものがあるとすれば「激しく戦う気持ち」。それを新天地で体現することは、自らのアピールとともに、新しいチームメートを刺激することになる。
「ビッグスワンは独特の雰囲気がある。あの中でプレーするのが楽しみです」。ホームのサポーターに、名刺代わりの熱いプレーと勝点3を届ける。
川崎Fは攻撃力が安定している。前節柏戦は追いつかれながらも、終盤にジュニーニョが決勝のPK。ここまでの総得点は33と新潟の倍以上。しかも前節は中村憲剛、稲本潤一がコンディション不良でメンバー外、矢島卓郎、柴崎晃誠が負傷で途中交代と、戦力を欠きながらの勝利だった。選手層の厚さがそのまま得点力につながっている。
昨季までは、守備の際、前線の選手が残る場面が多かったが、今季は攻守で全員が連動。ツートップ、中盤が絡んだ形に両サイドバックが加わり、どこからでもチャンスを作ることができる。決定機を逃さない攻撃を前半から仕掛けることで、主導権を奪いに行く。
J1で、両チームの新潟のホーム戦の対戦成績は、新潟の5勝1分。川崎Fにとっては鬼門。ただ、そのジンクスに影響されない総合力がある。一方の新潟は、低迷から脱出し、上昇するためにはたたいておきたい相手だ。
新潟のホームの6試合は、どちらも得点は2点以内。接戦が予想される中、先制点と、均衡が破れた直後の攻防が勝敗ポイントになる。
■この試合注目のHOT BOALLER：村上佑介（新潟）
以上
2011.07.22 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）
