7月23日(土) 2011 J1リーグ戦 第6節
仙台 0 - 1 大宮 (19:00/ユアスタ/12,018人)
得点者:52' 李天秀(大宮)
スカパー!再放送 Ch186 7/24(日)後01:00〜
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大宮・鈴木淳監督はこの日の大宮の出来について「ゲームは全体として、そんなにいい出来でなかったと思う」と開口一番振り返っていた。だがその大宮に、仙台は立ち上がりから先手を取られ、押し切られた。戦術の相性という要素もあったのだが、それにしても仙台は、劣勢をなかなか跳ね返すことができなかった。
キックオフと共に、大宮は左右両サイドの高い位置で起点を作る。「(仙台の)前節鹿島戦での敗戦を受けて、大宮は長いボールを入れてくるだろうと考えた」とは仙台・手倉森誠監督の戦前の予想だった。たしかにそういう時間帯もあったのだが、筆者が見る限り、大宮は丹念にサイドを使おうとしていたように映る。左では藤本主税に、サイドバックの村上和弘、さらにはセンターバックの金英權までもが流れれば、右では東慶悟に、杉山新、ボランチの青木拓矢あたりが寄り添いボールを回す。さらにトップの二人までサイドに加勢することで、仙台は両サイドから自陣に押し込められる形となった。東が「仙台はすごく中央が固くて、カウンターを仕掛けてくるとミーティングでも言われていて、サイドでしっかり起点を作るように言われていました」と振り返っていたことからも、大宮のこの展開は、仙台のストロングポイントを回避して攻めるためにデザインされたものだった。
そしてこの展開が、仙台のこの日敷いた布陣を無力化する。
仙台はここ最近の4-4-2ではなく、赤嶺真吾の1トップの後方に、右から関口訓充、松下年宏、梁勇基を並べた4-2-3-1を採用したのだが、このMF陣が、大宮の高い起点への対応を余儀なくされ押し下げられる。その結果、前線の赤嶺は孤立。攻撃が困難な状況になった。時折、大宮のアタッキングサードまでボールが収まりかけるのだが、ポストと2列目の呼吸が微妙にずれたり、フィニッシュの積極性を欠くシーンが続き、脅威を与えるには到らない。遠巻きから松下が左右両足でミドルを狙うものの実らず、状況は大きく変わらなかった。
それでも前半を0-0で終えたことで、まだ希望は保てていた仙台だったが、前節同様、セットプレーでビハインドを負ってしまう。52分、大宮は右CKを得ると、上田康太からのショートコーナーを受けた藤本が、もう一度上田に戻す。右45度から左足で入れられた上田からの鋭いクロスに、ファーから飛び込んだのは李天秀。ゴール右へ飛んだ強烈なヘッドにGK林卓人はよく触れたものの、ボールを枠から掻き出すことはできなかった。
リードを奪われた仙台も、遅ればせながら反撃に本腰を上げる。60分に松下に代わり中島裕希が入って4-4-2となり、ボールが前半よりも前線に渡るようになったことで、若干攻めにスピードが加わる。だがしかし、前半からの劣勢が尾を引いてか、攻撃の最後の最後の局面で、仙台はプレーの精度が欠けた。一番の決定機は、林からのフィードで左前方へ出たボールを、梁が相手と上手く競り合ってキープの後、中央の赤嶺へ。そして赤嶺からのスルーパスを受けて抜け出し、GK北野貴之と1対1を迎えたシーンだったが、低めを狙った梁のシュートに北野は反応。それでもボールは北野の身体の後ろにこぼれ、ゴールマウスに向かい転がっていたが、これも詰めた関口より先に戻ったDFにクリアされて得点ならず。
これ以外にも、後半は大宮のサイド裏を使えるようになった仙台が、特に左サイドから素早い攻めを仕掛けるが、ゴール前で崩し切るには至らない。また、前半から続くミスも、最後まで減らなかった。弱いラストパスがカットされる、後方からの走り込みがずれるなど、サポーターのため息を誘う場面が続いてしまった。「もっと運動量を増やさないといけない。パスコースが少ないので、そこを限定されて。向こうが守りやすい動き方にしてしまったのかなと思います」とは松下の言葉だが、60分間走り続けた彼が退いて以降も、状況はさほど変わらなかった。
終盤、仙台は、攻めに出た際に両サイドバックが高い位置に張り出し、代わって角田誠がセンターバックの間に下がる3バックに近い布陣となって大宮を攻め立てる。それなりに意図通り機能し、逆サイドに一度振っての左右に揺さぶる攻めを打てていたのだが、そこからの折り返しのボールに精度が無く、ゴール前での脅威は最後まで与えられなかった。
大宮は6試合ぶりの勝利。セットプレーのみの得点というところに、選手、監督共に若干の物足りなさを感じている様子もあったが、それは裏返せば、内容で仙台を上回っていた自信の表れとも言える。一方の仙台だが、これで6試合勝ち無しとともに、6試合で得点わずか1という深刻な得点力不足に陥っている。「ディフェンスは最低限の失点で踏ん張ってくれている」と、赤嶺は攻撃陣の責任を感じている様子だが、打開のカギはどこにあるのか。陣容としては多士済々の攻撃陣を持っていると思われる仙台だが、今節はスタート時の布陣が、大宮の狙うサッカーとの相性が悪かった。そこをアジャストしようにも、序盤の菅井直樹の負傷で交代枠を1つ使ってしまっていたことで、流れを変える交代に慎重にならざるを得なかったのは否めない。だが、固い守備を維持しつつ、試合序盤から攻撃へのエネルギーをどこからひねり出すか、そろそろ少々思案が必要か。「やはりホームはもう少し強気の戦略を構築したいと思う」と手倉森監督は反省をこめて語っていたが、来週はホームで柏との2連戦(ヤマザキナビスコカップとリーグ戦)が早速控えているだけに、その言葉がいきなり試される状況がくるかもしれない。
■この試合のHOT BALLER:李天秀(大宮)
以上













