☆ヤマザキナビスコカップ特集ページ
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埼玉スタジアム2002で行われた前回対戦時、リーグ戦8試合を終えた時点での勝点は山形が5、浦和が6。ともに低迷するなかでの対戦だった。
前節と同じメンバーの浦和と、3人を入れ替えた山形の戦いは、浦和が攻め込んでこそいたが、山形は自陣での守備を崩さずに前半を無失点で終えようとしていた。しかし、まさに終了間際、高崎寛之が得たPKをエジミウソンが決めて浦和が先制。後半は途中から川島大地を投入した山形がチャンスをつくるものの、川島がペナルティーエリア内で倒されたプレーはファウルの判定はなし。逆に終盤は疲れからミスを連発するなか、カウンターから原口元気のゴールが決まった。第2戦のこともあるだけに、小林伸二監督が同点を狙った采配を「欲張ったかなあ」と悔やんでいたのが印象的だった。( /jsgoal_archive/game/2011/20110020060120110605.html )
あの試合から約2カ月。当然のことではあるが、両チームを取り巻く状況は変わっている。
0-2からのスタートとなる山形が勝ち抜けるには3-0のスコアが必要で、2-0なら前後半30分の延長戦に入る。また、1失点でもすれば4得点が必要だ。早い時間に先制すれば状況はおもしろくなりそうだが、失点が許されないなかで得点を取るためにリスクを冒さなければならないという、難しい舵取りを迫られる。アウェイゴールを与えず2点のリードを保って臨む浦和は、1点取って試合を決めてしまう狙いもあるだろう。しかし、最近の守備の安定感を見れば無失点で終わらせることがプライオリティの高い選択肢となりそうだ。
ただし、そうした両チームの思惑に大きな影響を及ぼすのがリーグ戦との日程の兼ね合いだ。この試合のあと、中2日で次のリーグ戦が控えている。これは、前後に1週間の間隔があった第1戦との違いでもある。
特に、山形の場合は深刻だ。週末の対戦相手は、ヤマザキナビスコカップ2回戦から出場の新潟。前節はJ1で1試合のみの日曜開催だった山形は、中2日の3連戦となり、1週間の準備期間が与えられる新潟との対戦は大きなハンディキャップを背負わされることになる。「新潟もヤマザキナビスコカップをやるんだったら、まともにぶつけて勝負するんだけど、きついよね、正直言って。次のゲームはどういうメンツで戦わせたらいいのか…」と小林監督もあまりの状況に言葉が淀むほどだ。
浦和の場合、週末は同じ条件の川崎Fとの対戦になるが、浦和はリーグ戦で7試合負けなしと安定したゲームができているだけに、ペトロヴィッチ監督の胸中には、勢いに陰りが見られる川崎Fとできるだけいい状態で対戦したいとの思いもあるだろう。
こうした日程の問題を考えれば、両チームとも前節から先発メンバーを少なからず変えることが予想される。
前節、福岡に勝利し、ようやく今季3勝目を挙げた山形はバックラインが安定しているが、13試合ぶりの出場で無失点試合に貢献した前田和哉は、この試合でも起用が濃厚だ。また、福岡戦で宮崎光平が負傷したため、中盤のメンバーも考慮しなければならない。すでに練習に合流している古橋達弥や船山祐二に出場機会が回ってくる可能性もある。なお、新加入の山崎雅人は登録が間に合わないため、早くても新潟戦からの登場となる。
浦和は前節、甲府を相手に2-0と勝利したが、この試合でGK加藤順大が一発退場となり、出場停止処分はこの山形戦で消化される。また、長く10人で戦ったことや、山形戦で2-0からの優位な立場で試合をスタートできることなどを考えると、平川忠亮など出場が続いている選手や、故障を抱えながら前節でフル出場した原口など、週末に向けて温存したい選手は多いだろう。また、さらに連係が必要なデスポトビッチにしても連戦の疲労を残した形で川崎F戦に起用する理由も薄い。
前回対戦の2-0というスコアを基準に、日程やそれに付随するさまざまな状況の変化を読んだうえでどう対応していくか。追う山形と抑え込みたい浦和の深謀遠慮はすでに始まっている。
以上
2011.07.26 Reported by 佐藤円













