9月11日(日) 2011 J1リーグ戦 第25節
甲府 1 - 2 仙台 (18:04/中銀スタ/11,176人)
得点者:55' 太田吉彰(仙台)、79' 赤嶺真吾(仙台)、83' ハーフナーマイク(甲府)
スカパー!再放送 Ch185 9/12(月)後11:30〜
☆投票してチームをサポート!totoリーグ(無料)開催中☆
----------
試合後、記者会見で甲府担当のある記者が仙台の手倉森誠監督に質問した。
「甲府は堅守を目指して今年のJ1の舞台に立ったが、なかなか上手くいかなかった(現在、リーグワースト2位の失点)。仙台はここまでリーグで失点が一番少ないが、(日本)代表選手がいないなかそれが出来る理由は」、と。甲府担当の記者が仙台の監督にこんなことを聞くのだから、よっぽどのこと。
「いかにコレクティブにサッカーをやれるかですね」が、手倉森監督の答えの冒頭。ウキペディアは教えてくれなかったので、ネットの辞書をいくつかみると、サッカーでは「組織的なプレー」というニュアンスでコレクティブという言葉を使う雰囲気。仙台が日本一コレクティブなチームかどうかは分からないが、甲府のことをコレクティブと言わないことはだけは明らか。甲府の選手は個々で頑張っているのだが、残念ながらスタンドプレーの集合体。これが日本代表や元日本代表という豪腕選手が5〜6人いるチームならスタンドプレーの集合体でも2〜3人のコンビネーションや個人技でゴールを決めたり、センターバック2枚で自陣のゴール前で相手のボールを跳ね返して無失点に抑えたりして、ある程度のペースで勝点3をもぎ取ることも出来るだろうが、甲府の日本代表選手はハーフナーマイクだけ。ACL組のG大阪(1位)や名古屋(4位)や鹿島(5位)に勝っているが、それは相手が甲府の良さを引き出してくれて偶発的にコレクティブになったり個がハマったりしただけなので、他のチームには勝てずに降格圏内から出られない。守備が堅くカウンターが得意なチームが相手では、偶発的コレクティブにはまずならない。
一番深刻な悩みは、立ち返るスタイルが今年の甲府には無いという点。堅守を目指して監督の人選・チーム編成をしたもののリーグワースト2位の失点…。G大阪のように失点してもそれ以上のゴールを決める攻撃力もない。これではシーズン終盤の修正でどこから手をつければいいのか、方向性が見えてこない。手っ取り早い対策で、ダヴィと金珍圭という実績のある選手を補強で獲得したもののコンディション不足と故障で昔のジャガー(イギリス車)みたいな状況。佐久間悟GMによると「(2人の移籍には)本当なら3億程度の移籍金が必要だったが、かなり安く獲得できた」ということで喜んだが、儲け損なった前のチームに呪いでもかけられているのだろうか。海外でプレーしていた選手をシーズン途中に補強するのはリスクがあるが、今年は上手くいくことが少なすぎる。
振り返りたいことは多くないが、前半は仙台のシュートミスと甲府のGK荒谷弘樹のセーブで無失点に抑えたが、甲府は14分の井澤惇のシュートか29分のハーフナーマイクのシュートを決めなければ勝機はなかった。結果的に。甲府はボールを保持している時でも大抵は2人の関係のパス交換だけなので、仙台の選手は少し動くだけでマークが出来てしまう。甲府には裏を狙う3人目の動きがほとんどなく、ゴールに向かうパスが回し出来なかった。これで勝つには、相手が凡ミスの多いチームという条件が必要になる。しかし、仙台は「コレクティブ」なチーム。前半はノーゴールでもワンタッチを入れて裏を取るコンビネーションや逆サイドを狙うプレーを発揮していたから、そのうち点が入りそうな流れで後半に入ることが出来た。後半の立ち上がり、甲府はシンプルにマイクを使ってその落しやセカンドボールを拾って打開する意図が見えたから、期待と一緒に甲府のパスに合わせて記者席で足が動く回数が増えた。ただ、前半同様にディフェンスラインとGKの連携に不安があったし、自陣でのパスミスもあって安定感は無かった。得点と失点の間にある塀の上を歩いているような内容。結局、甲府は失点の側に吸い寄せられた。仙台は失点に繋がるリスクの少ないプレーが出来るし、カウンターが上手いから55分の太田吉彰のゴールが決まった。ゴール前に走り込んだ太田にクロスを合わせた梁勇基に「(クロスが)精確だね」と言うと「フリーだったからあれくらいしないと」という答えが返ってきた。この自信が凄い。ただ、甲府に勝ったチームは次節の試合で負けることが多いので注意したほうがいい。
甲府のディフェンスラインはダニエルの出場停止とケガ人の続発でやりくりが難しいが、アップの時に頭にボールが当たって脳震盪気味な上に故障を抱える山本英臣や長く足首を痛めている内山俊彦はアグレッシブに戦った。しかし、アンチ・カウンターではダニエルというスーパーなフィジカルを持つ選手が必要だった。74分頃、スカパーの実況席からは「ベガルタ仙台は1点リードしてしまえば…」というアナウンサーの声が聞こえてきた。後半は聞き取れなかったが、仙台に有利な話だったはず。その5分後に仙台に2点目が入る。2失点目はパウリーニョが自陣のタッチライン沿いでルーズボールをキープしようとしたが、それを田村直也に奪われて赤嶺真吾の頭に合わされた。結局はこれで甲府は仕留められた。81分に仙台GK・林卓人のミスからPKをプレゼントされ、PKは林に止められたもののこの流れのCKからマイクが頭で決めて何とか1点。しかし、この1点は仙台に「凡ミスをするな」といういい教訓になっただけで、甲府の勝点には繋がらなかった。
仙台に負けたことは悔しいが、試合後にコメントを聞いた甲府の選手から(何をどうすればいいのか分からない)という雰囲気が伝わってきたことがショックだった。今のままなら、順位が下のチームに勝とうとするよりも、上位でもG大阪のように前に出てくる傾向のあるチームに勝とうとするほうが可能性があるかもしれない…とさえ思ってしまう。シーズンを通じたチーム作りの目標が雲散霧消してしまった現在、佐久間監督は選手の意見を尊重して1試合ごとに準備を進めるしかない状況。現状では一番合理的だが、残念ながら残留しても降格しても来年に繋がるものは少ない戦い方でもある。でもね、このままズルズルと後退することなんて出来ない。甲府は山梨の誇り。最後に立ち返るべき場所はここにある。多くのサポーターやファンが、親が子供を想うような気持ちで応援してくれる理由を考えれば、選手はもっとチームのために戦えるはず。そろそろ選手だけミーティングでもやって、お互いの考えをぶつけ合う時期ではないだろうか。
以上
2011.09.12 Reported by 松尾潤













