☆ヤマザキナビスコカップ特集ページ
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浦和は今、苦しい状況に追い込まれている。リーグ戦では4試合勝ち星に見放され、内容的にもシーズン序盤からずっと見え隠れしていた様々な問題がここにきて噴出。残り9試合となったところで柱谷幸一GMが解任される異常事態も起きた。直近のリーグ戦では山形になすすべなく屈した。降格圏に沈むチームに何もできずに敗れた事実はあまりに大きく、試合後の選手たちの表情は一様に沈んでいた。
「やろうと言っていることができていない。同じことの繰り返し。コンパクトにしようと言っても、ずっとコンパクトにできていないし。相手が引いてきたところにしっかり付こうと話していても、それができていない。動き出してほしいと言っても動き出していなかったり、守備もしっかり全体的に連動して追いかけようと言っても、それもできていない。やろうと言っていることが全部できていないから、こういう結果になっている」
柏木陽介の厳しい反省の言葉が示すように、浦和は問題点を自覚しながらも修正できないままシーズンの終盤まで来てしまったが、今までできなかったことがこれからの短期間で急激に改善されるとは考えにくい。逆境に追い込まれた今、いったい何をすべきなのか。
ペトロヴィッチ監督はカウンター戦術に否定的な見解を示してきたが、これまでの浦和の戦いぶりを振り返ると、こぼれ球からの仕掛けや個人の力で決めたゴールを除けば、チャンスの多くはカウンターから生まれていた。「いい試合をしているときはカウンターがはまっているのが多い。ブロックの時間を作ってやるのもいいと思う」と柏木。勝率を少しでも上げるために、今までの戦いのなかで最も効果のあった戦い方を選ぶというのは理にかなった判断だろう。
これまでの勝ちパターンを見ても、前半我慢で後半勝負という形が何度かある。柏木が「まずは失点をしないところから始めないといけない」と言うように、守備から試合に入って速攻でチャンスを狙うというのは今持っている選択肢のなかでは一番効果的な手だろう。カウンターからスペースを突く攻撃ができれば、得点源である原口元気のドリブルもより生きてくる。
「どういうサッカーをやりたいとか言っている場合じゃない」。山田直輝が言うように今は理想を追い求めているような段階ではない。「いいサッカーをするとかよりも、とにかく勝たないといけない」と永田充も悲壮感を漂わせる。選手は現状を理解している。監督がどういった決断を下すか注目したい。
浦和は降格の危機が少しずつ忍び寄るなかで今回のヤマザキナビスコカップを迎えるが、大宮戦はチームを立て直す好機と捉えたい。リーグでは不可能となったタイトルを狙えるチャンスであり、勝利を目指すのは当然だが、仮に負けても降格することはないので選手たちに余計なプレッシャーがかかることはなく、戦い方が整理できれば残留争いに向けて弾みがつく。「勝つためにやるのは当たり前だけど、戦い方を試すチャンス」と柏木も語る。
対する大宮もリーグ戦では苦しんでいる。勝点は浦和と並ぶ28。得失点の関係で15位に沈み、すぐ下には降格圏の甲府が迫っている。
大宮は“オーソドックスな4−4−2型”の戦い方を見せることが多い。攻撃ではサイドで起点を作り、サイドバックがオーバーラップをかけ、アタッキングサードにボールを運べたらクロスをゴール前に入れる。守備ではアグレッシブにボールを取りにいき、その結果としてピンチを招く場面もあるが、組織的に連動して守ろうとしている。攻撃でも守備でもベーシックな戦い方をしているように見える。しかし、うまく機能していない時はどこか型にはまりすぎているような印象を受ける。
G大阪戦後、鈴木淳監督は「なんとなく攻撃もできているし、なんとなく守れてはいる」と語ったそうだが、これはまさに言い得て妙。それなりに機能はしているが、厳しく言えばそこで止まってしまっていた。流れが全体的に読みやすいので、試合巧者のG大阪にはその点をうまく突かれていた。
ただ、浦和はG大阪のような器用な戦い方はできない。大宮も工夫ができるチームであれば下位には沈んでいないだろう。おそらく両チームともチャンスになるとしたら、セカンドボールからの展開か速攻、あるいはシンプルにクロスが味方に合ったという形が多いだろう。ポゼッションで相手を揺さぶり、守備の綻びをつくようなコンビネーションから得点というパターンはあまり期待できない。
浦和が一番警戒すべきは、やはりラファエル。これまで嫌というほどやられてきた“浦和キラー”には直近の対戦でもゴールを決められており、プレシーズンマッチを含めて5試合連続ゴールを奪われている。ラファエルは得点だけでなく起点になるプレーにも長けているので非常にやっかいな相手だが、彼を止められないと苦戦は免れない。
また、大宮の守備陣は組織的に守れるが、個の部分でシビアな対応を求められる場面では後手を踏むケースが見られる。エースの原口、あるいはパワフルなドリブルでボールを前に運べるエスクデロ セルヒオあたりが勝負する局面が作れれば、チャンスは生まれるはずだ。
以上
2011.09.13 Reported by 神谷正明













