9月17日(土) 2011 J1リーグ戦 第26節
山形 0 - 1 川崎F (19:04/NDスタ/10,333人)
得点者:53' 小林悠(川崎F)
スカパー!再放送 Ch181 9/18(日)深01:30〜
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試合終了のホイッスルと同時に、田坂祐介、小林悠、田中裕介、菊地光将らがバタバタと膝から、腰から崩れ落ちた。中2日の3連戦で中5日の相手と戦う日程面での大きなハンディキャップと、何よりリーグ戦8連敗という精神的な重圧と戦い続けた90分間。それをはね除けて1-0、9試合ぶりの勝利という形につなげた。「最後は気力だったと思うんです。今日の試合だけじゃなくて、ここまでの勝てなかった試合というのは、自分たちで相当厳しい、きつい部分もあったし、それが勝ったことで報われたと思います」。怪我明けで後半途中からビッチに入った中村憲剛は、チームの心情をそう代弁した。川崎F・相馬直樹監督は「特にこの2試合、神戸戦、ナビスコのマリノス戦と少し自信を失ったゲームをしてましたので、そのなかでやるべきことを統一しながら、今回、ある意味で割り切れた部分はあった」と、今季続けてきたスタイルをひとまず手放すことで得た勝点3に、安堵を隠さなかった。
「前半うまくいったと思う。特に入りがよかった」(山形・小林伸二監督)。今季初の連勝を逃し、残留ボーダーとの差を縮めるチャンスを逃した山形も、それまでのスタイルを変えた川崎Fに苦しめられていたわけではなかった。相手がリトリートする分、ディフェンスラインでは余裕を持ってボールを保持できた。サイドチェンジはディフェンスまで戻すだけに容易に対応されるシーンもあったが、10分過ぎからの約10分間は、園田拓也が田中雄大の背後に入れたフィードにサイドバックの宮本卓也が抜け出したのを皮切りに、左スペースへ飛び出した下村東美に秋葉勝からのパスが届き、下村、山崎雅人を起点に宮本がオーバーラップし、園田から左スペースを突いた石川竜也へパスを送った。この時間、的確にサイドに起点をつくり、クロスやセットプレーの機会も数多く得ている。ただし、守備の枚数がそろった川崎Fからゴールを奪うまでには至らず、前半にカウントされたシュートはわずか2本に終わっている。
主導権を握られた川崎Fにアクシデントが襲う。直近の2試合にフル出場していた楠神順平のプレー続行が難しくなり、代わって山瀬功治を34分に投入。結果として、この交代からプレーエリアを自陣から相手陣内に移すことに成功する。それまでは縦パスにジュニーニョや小林悠を走らせる単調な攻撃に終始したが、山瀬や田坂が中央でサポートすることで攻撃がつながり、ジュニーニョの反転シュートや、山瀬のミドルシュートなどにつながった。得点は奪えなかったが、「まずゼロで前半を終わらせるというプランでスタートしました」(相馬監督)と第一段階はクリア。さらに、「うちも点が欲しいですけども、より点が欲しいのはホームの山形さんであると選手たちにも話をして」、後半のピッチに送り出した。
追う山形が後半開始から攻撃的な姿勢を見せるが、攻守が切り替わると大きく開いたバイタルを狙われた。山形の守備がバタついていた53分、宮沢克行のコントロールミスを奪うと川崎Fがショートカウンター。足が止まったディフェンスラインの裏に田坂が浮き球を送り、オフサイドギリギリで抜けた山瀬のクロスに、小林悠がファーサイドで合わせた。リードを許した山形は、収まりが悪かった大久保哲哉をあきらめて古橋達弥を投入。しかし、これまでなら追加点を狙いにくる川崎Fはリスクを最小限に抑え、自陣でブロックを形成しスペースを与えない選択をする。
また、「今日はボールの出しどころが遠くて、中盤あたりで前を向けたりすると全然違うと思うんですけど、全部ディフェンスラインからボールが出る感じだった」(古橋)と、山形は引いた守備を突き崩すだけの攻撃スキルを発揮できず、75分までに3枚の交代をしたもののいずれも不発。ようやくくさびが入りかけても、サポートのズレなどでシュートまで成就させるケースは稀だった。逆に川崎Fは大島僚太に代えて怪我明けの中村憲剛をピッチへ。中村がテンポよくボールをさばくと全体の動き出しがよくなり、奪われても早い帰陣で山形の縦パスが入る前にブロックを整えた。3分のアディショナルタイムののち、1-0のまま試合はアウェイチームのものとなった。
「サポーターのみなさん、いろんな関係者のみなさん、すべて含めて初めての経験。ただそれを、本当に信じて、ついてきて、支えてくれて、その言葉以上のものはありませんでした」。9試合も勝利を待っていた人々に対し、相馬監督は「感謝」という言葉に思いを込めた。勝つためにやむなく選んだスタイルの変更だったが、結果を手にしてみれば、それは大事な回り道。山瀬は「今日こういう戦い方をしたからと言って、チームのめざすべきところは別に変わったわけではないですし、チームとして相馬さんとしてやりたいサッカーがあると思う。それはそれでめざしつつ、そのときそのときの状況に合わせて対応していくということも必要にはなってくると思う」という言葉でこの日の勝利を肯定した。
山形は川崎Fの思わぬ変貌により、アタッキングサードの精度や、相手が引いて守る場合の攻撃という課題が改めて浮き彫りになった。と同時に、「宮崎だったりフル(古橋)については間で受けるのが得意なので、そこにうまくボールを運ぶということを、守備的なボランチを代えてまでそういうことをしていったんですけど、なかなかうまくいかなかったというところが残念」(小林監督)と、代わって投入された選手を生かす臨機応変さにも課題を残した。前節・浦和戦の勝利を今節の連勝につなげたかったが、今季初の連勝はいまだ果たせていない。勝点を伸ばせなかったことはそのまま残留争いでの後退を意味するが、逆転残留の可能性を信じながら、残り8試合に懸ける。
以上
2011.09.18 Reported by 佐藤円















