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【第91回天皇杯 2回戦 清水 vs 岐阜SE】レポート:清水に新たな“持っている男”が登場。初出場・竹内の2点に絡む活躍で、自分たちの力を存分に発揮した岐阜セカンドの挑戦を退ける(11.10.09)

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10月8日(土) 第91回天皇杯 2回戦
清水 2 - 0 岐阜SE (13:00/アウスタ/3,648人)
得点者:44' 竹内 涼(清水)、45'+1 大前 元紀(清水)
★第91回天皇杯特集
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若い攻撃陣が台頭してきた清水の中で、新たに現れた“持っている男”。浜松開誠館高初のJリーガーとして清水に加入して3年目の20歳、静かに力を蓄え、ようやくプロ初出場・初先発のチャンスをつかんだ竹内涼は、普通ならば雰囲気に慣れるのが精一杯という状況の中で、いきなり自らのプロ初ゴールを決め、2点目もお膳立て。チームを3回戦に導く大活躍を見せ、最後はキャプテンマークを巻いてプレーした。これを“持ってる”と言わずして、何と言ったら良いのだろう。

東海社会人リーグ1部に所属するFC岐阜SECONDと戦うことになった2回戦、清水はユングベリやボスナーは休ませたものの、小野伸二は先発に残し、好ゲームを見せた前節・名古屋戦からのメンバー変更は3人だけにとどめた。そのうち平岡康裕と鍋田亜人夢は、十分に計算のできる選手で、唯一のテスト的な起用となったのが、竹内涼だった。
ただ、チームとしては、まず守りから入った岐阜セカンドに対して、ややスローすぎるスタートを切り、なかなかリズムが出てこない。このあたりは、相手のペースに合わせてしまうという清水の悪いクセでもある。
それでも、DFラインにはほとんどプレッシャーがかからず、個々の1対1でも優位に立てるため、必然的にボールを持つ時間は増え、少しずつリズムは良くなっていった。初めは遠慮がちな動きだった竹内も、徐々に大胆な動きを増やし、スルスルと良いポジションに入っていくという戦術眼の高さを発揮し始めた。また広い視野を生かした効果的なパスも見られるようになってきた。
だが、最後の部分では思うように崩せず、なかなか決定機を作ることができない。それは、岐阜セカンドにとっては、ゲームプラン通りの展開でもあった。
岐阜セカンドの狙いは、「できるだけ0点でいって、カウンターなりセットプレーなりで点が取れればいいなと思ってました」(伊藤哲也監督)というところ。自陣内で4-4-2の3ラインをコンパクトに保ち、清水が危険なエリアに入ってきたところで、ボールサイドに人数をかけてプレスにいくという守り方は、清水の攻撃にも十分対応できていた。
2トップの選手も、清水のセンターバックにプレッシャーに行くのは捨てて、ボランチの位置から自由に展開させないことに集中。「ボランチを自由にしてサイドチェンジをされるときつくなると思っていたんですが、そこはある程度できたと思います」と、FWでキャプテンの松江克樹も振り返ったが、素早いサイドチェンジをさせなかったことで、よけいな体力の消耗も抑えることができた。

そんな岐阜セカンドにとって、計算違いだったことも2つあった。ひとつは、狙い通りにボールを奪ってからのカウンターが、ほとんど通用しなかったこと。良い形で前線にボールがつながっても1対1でつぶされることが多く、そこは個の力の差が如実に表われた部分だった。そのため、セットプレーの回数もなかなか増やすことができなかった。
もうひとつは、狙い通りに進んだ前半の最後で、守備に乱れが生じたことだ。それまでは自由にクロスを入れさせる場面は少なく、クロスにも集中して対応できていたが、44分の辻尾真二の右クロスに対しては、173cmの竹内にフリーでヘディングを許し、先制ゴールを決められてしまう。
ただ、この場面は、距離のあるヘッドをしっかりと決めた竹内を称えるべきだろう。竹内は、その前にも17分に惜しいヘディングシュートを放ち、37分にミドルシュートをクロスバーに直撃させて、ゴールの匂いを漂わせていた。彼自身にとってはめずらしい頭でのゴールだったが、これが記念すべきプロ初ゴールだとは思えないほどゴール直後も冷静なリアクションを見せ、大物ぶりを漂わせた。
さらに、その2分後のアディショナルタイムには、竹内がタイミング良く右サイドに飛び出し、難しい角度から正確なクロスを入れる。これを小野が頭で折り返し、後方から走り込んだ大前元紀が押し込んで、岐阜セカンドに大きなダメージを与える追加点を決めた。大前にとっては、これが自身2度目の3試合連続ゴールとなったが、それが霞んでしまうほど、竹内の続けざまにゴールに絡む仕事は印象的だった。

前半のうちにリードを2点に広げたことで、後半はある程度実験的な選手起用もできるようになった清水は、ハーフタイムで膝に不安のある岩下敬輔に代えて、アンカーの位置に杉山浩太を投入。ヨン ア ピンを初めてセンターバックに置き、杉山のアンカーと共に、今後に向けて貴重なテストができた。それほどプレッシャーがなかったこともあり、2人とも無難なプレーと自分らしさを随所に見せ、今後に向けて計算の立つところを示した。
もうひとつ非常に大きかったのは、左足裏のケガから復帰してきた高原直泰の試運転ができたこと。後半27分に1カ月半ぶりにピッチに立った高原は、患部も「全然気にならなかった」と楽しげにプレー。29分にはさっそく大前にビッグチャンスをプレゼントしたが、大前のシュートはゴールをカバーしたDFに阻まれた。
また後半7分にも竹内の決定的なヘディングシュートのシーンがあったが、これは枠をとらえられず、結局後半は清水も無得点。ボールを支配する時間という面でも、攻撃はやや物足りない印象が残った。
だが、そんな中でも別の面で見せ場を提供したのが、キャプテンの小野伸二。後半16分に枝村匠馬と交代する際、岩下もすでにいなかったため、キャプテンマークを竹内の腕に自ら巻き付けてピッチを去った。その後、竹内は少し照れながらもキャプテンマークを巻いたまま最後までプレー。この試合で誰がチームを引っ張っていたのか、サポーターへのサービス精神が旺盛な、小野らしい演出だった。

清水が一息ついた分、後半の岐阜セカンドは、前半よりも攻撃の時間を増やし、清水ゴールに迫る場面を作った。その中で決定機と言えるのは、13分の右クロスからの松江のヘッド、16分の細野元伸のシュート、45分の松井義隆のヘッドなどがあったが、どれもイージーなシュートではなく、J1の清水に一矢を報いることはできなかった。
ただ、全員が身体を張ってゴールを守り、最後まであきらめずに1点を狙い続けた岐阜セカンドのひたむきなプレーが、清水サポーターにも強い印象を与えたことは間違いない。試合後、清水サポーターから“セカンド、岐阜っ!”と大きな岐阜へのコールが送られ、限られた人数ながらも最後まで熱い声援を続けた岐阜サポーターも、清水コールを返す。これも、じつに天皇杯らしい清々しい一コマだった。

以上

2011.10.09 Reported by 前島芳雄
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