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【第91回天皇杯 2回戦 川崎F vs 高崎】レポート:高崎の堅守に苦しんだ川崎Fが、延長戦で試合を決める。(11.10.09)

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10月8日(土) 第91回天皇杯 2回戦
川崎F 2 - 1 高崎 (15:00/等々力/4,789人)
得点者:61' 小林 悠(川崎F)、69' 土井 良太(高崎)、105' 田坂 祐介(川崎F)
★第91回天皇杯特集
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アルテ高崎は、彼らにとって最も勝率を高める作戦で試合に臨み、それが川崎Fを苦しめた。試合は序盤から川崎Fが主導権を握る一方、高崎は要所要所を抑えた戦いを展開。自陣で守備ブロックを作り、川崎Fの攻撃をしのぎつつカウンターでゴールを狙うという戦いを推し進めた。そんな戦いが功を奏していた事もあり、この試合のファーストシュートは高崎の布施有太が4分に放ったものだった。川崎Fのシュートは15分の山瀬功治のクロスバーを叩くシュートまで待たねばならなかった。

試合後の川崎の選手たちは、同じような言葉を口にする。難しい試合になる事はわかっていたのだと。それは相馬直樹監督からしてこんなコメントを残すほどだった。
「初戦というのは難しいのはわかっていましたが、そうならないようにという事で、今週1週間しっかり準備してきたつもりだったんですが、ちょっと、あって欲しくないような形になってしまいました」

日本サッカー界のピラミッドで言うと、実質的な3部リーグで活動する高崎は、ジャイアントキリングを目論んで試合に臨んでいた。チームを率いる後藤義一監督は「J1のフロンターレさんに対してガチンコ勝負で行ったらなかなか勝機が見いだせないのかなと思ったので、引きながら、リトリートしながら、速攻をかけよう」という戦いを狙っていたという。

そしてそんな高崎の戦いぶりに、川崎Fは大いに苦しめられる。ボールはキープできるのだが、崩しの段階で思うような形を作れなかったのである。矢島卓郎はそんな前半の戦いについて、リスクを取りたがっていなかったと振り返っている。
「普段とは違わないんですが、崩す時にボールを取られたくない気持ちが強いのか、楔のパスとかのリスクを負ったパスがあまり出て来ませんでした。何回かに1回とかでも通ればいいので、そういうところのプレーもできればよかったと思います」
この認識はベンチから試合をスタートした選手も共有していたもののようで、例えば楠神順平は「今日はミスしたらダメだというような雰囲気で、そうしたパスワークでもあったので、どこかでリスクを怖がっていたところを感じていました。そういう難しさがありました」と話している。

カウンターを狙う相手に対し、できれば攻撃をシュートで終わらせたい。だからその前段階でパスを引っ掛けられたくない、という意図が強く働いたのであろう。それが前半の苦戦の理由となってしまった。相手の狙いがわかっていただけに、難しい試合運びを強いられることとなった。

後半に入っても高崎の守備意識の高さと、豊富な運動量によって川崎Fは攻め手を見つけられずにいた。そんな試合展開の中、先に動いたのは相馬監督だった。58分に山瀬に代えて楠神を投入する。ドリブルによる仕掛けを持つ楠神は、交代出場直後にその特徴を活かす。61分にピッチ中央でドリブルで仕掛けてファールを誘うのである。

楠神のドリブル突破をファールながら阻止したというその安心感があったのか、高崎はふっと気を緩ませていた。しかし、楠神は集中し続けていた。楠神の視野に入ったのは右前方にいる田坂祐介。その田坂は「目があっていたので、来ると思いました」とその場面を振り返る。楠神がクイックリスタートさせたパスは田坂へとつながると、これを小林悠へ。小林はこれをゴールに流しこみ均衡を破る先制点となる。

この得点により優位に立った川崎Fに対し高崎はわずか8分後に同点ゴールを奪う。カウンターから右サイドを松尾昇悟が突破して中央へ。ゴール前に走りこんだ小島直希のシュートは杉山力裕がファインセーブで止めるが、このこぼれ球を土井良太が押しこむのである。
「松尾が突破して、小島がつぶれてくれて、ラッキーなゴールでした。ただ、それでも点は点なので嬉しかったですね」とチームメイトの働きに謝意を述べる土井は、その言葉に続けて「ゴールした後は、自分たちでもやれるんだと思いましたし、行けるかなという思いが出ました」と振り返る。

息を吹き返した高崎に対し、川崎Fは90分で試合を決める事ができなかった。高崎は後藤監督が「なんとかPKまで持っていけたら良かった」と話すとおり、PK戦でOKだったのである。そんな相手から得点を奪うのは簡単なことではない。だからこそ、延長前半の15分の田坂のゴールはまさに値千金のものだった。
「順平からいいパスをもらえた。前のスペースも見えていましたし、ゴールも見えていて、GKから遠いところに蹴ろうと思ってファーに蹴りました。イメージ通りでした」と田坂。

105分を全力で戦ってきた高崎に、1点を追いつく力は残されていなかった。


延長戦で勝ち越し、かろうじて勝利した川崎Fはリスクを負うパスとつなぎのパスの組み合わせに苦労した試合だった。約3ヶ月ぶりに稲本潤一がピッチに立てたことは評価できるのだが、その一方で崩しのパスが出せる選手が不在でリズムを変えることができなかった。そんな試合を延長戦ながらも勝ち切れたことについては良しとすべきなのだろう。トーナメントは勝ち上がることに意味がある。

一方の高崎は「プロ契約ではないので普段はアルバイトしています」と話す土井の同点ゴールにより川崎Fに肉薄した。JFLでは下位に低迷するが、この戦いぶりは彼らにとって自信になるはず。土井は「リーグ戦ではこういう戦いができれば目標である一桁順位も可能だと思うので、そちらにつなげていきたいですね」と頭を切り替えていた。

アマチュアチームながら、川崎Fを追い詰めた事は評価に値するものである。そんな戦いを川崎Fサポーターも認めたのか、挨拶に来た高崎の選手たちに盛大なエールを送っていた。カテゴリーの違うチームが対戦する天皇杯らしい締めくくりだった。

以上

2011.10.09 Reported by 江藤高志
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