10月10日(月) 第91回天皇杯 2回戦
京都 3 - 0 佐川印 (13:00/西京極/1,960人)
得点者:38' 中村 充孝(京都)、58' 宮吉 拓実(京都)、72' 久保 裕也(京都)
★第91回天皇杯特集
----------
天皇杯2回戦、西京極での京都対佐川印刷SCの一戦は京都が地力をみせて佐川印刷SCに3−0で快勝した。
京都は、中村充孝をインサイドハーフに、福村貴幸を左サイドに起用。安藤淳が最終ラインに戻った。
試合は、最終ラインの左に入った森下俊が積極的に攻撃参加をみせ、2分の福村の左からのミドルシュートを引き出すなど、京都が攻勢に試合を進めた。
だが20分、アクシデントが発生する。佐川印刷のCKで安藤が足首を捻挫し負傷退場。代わりに内野貴志が左に入り、森下俊が中央に入る。
すると、ここで流れが変り、京都は佐川印刷の反撃を許す様になる。29分にはスローインからカン ヒョンスにエリア内に侵入され、振り向きざまのシュートを打たれ、31分にも右サイドで展開され、内側を走り抜けるカン ヒョンスにドリブルで持ち込まれ、簡単にゴールエリア付近まで侵入されるなどヒヤリとする場面を作られる。
だが、この状況を中村充が変える。38分、中央から右の伊藤優汰へ送ると、自身もゴール前へ走り込み、クロスを受ける。それを大きな胸トラップで寄せてくるマークを外し、シュート。これが相手DFに当たりコースが変り、佐川印刷ゴールに吸い込まれる。押し込まれる状況を跳ね返すゴールで京都が先制する。
その後は京都がペースを掴み前半を終えると、後半も積極的に出たのは京都。後半5分こそ、上がって来た佐川印刷の左サイドバック日野竜一にシュートを許すも、京都が流れを掴んだ。そして迎えた後半13分。内藤洋平から中央の久保裕也とつないで、左の福村へ。福村のシュートはGKに弾かれるも、これがゴール前にいた宮吉拓実の前へ。これを宮吉がダイレクトで叩きこみ京都が2−0とリードを広げる。さらに後半27分には、中盤のチョン ウヨンから中村充にボールが入ると、後半から最終ライン右サイドに入った内野が前に飛び出し、そこにボールが渡る。この内野からのクロスに久保裕也が頭で合わせ、京都が3点目。セーフティリードへ持ち込んだ。そして京都は終盤も流れを相手に渡さずタイムアップ。快勝で3回戦へと駒を進めることとなった。
京都の試合運びは、信じられない程素晴らしいものだった。
というのは、前半で安藤が退場すると、「あれはデカかった」と試合後、カン ヒョンス(佐川印刷SC)も口にした通り、一気に佐川印刷ペースで試合が進む。こうなると、今までの京都は押し込まれたまま耐える、というものだったのだが、それを押し返した。何よりもまず、それが素晴らしかった。
何度も佐川印刷の波状攻撃を受ける展開の中、一度、内藤が前に出てボールを引きだすと、前へ走る宮吉へ送ったシーンがあった。パス自体はカットされたが、この辺りから内藤、中村充の二人が、動きが重ならない様にしながら、一つ前に出て攻撃に厚みを持たる動きをみせた。この判断は抜群だった様に思う。
佐川印刷に押込まれた時間帯、京都は最終ラインから前にボールを運ぶところで引っ掛り、相手の攻撃を受けた。だが、そこを抜けると京都の厚みのある攻撃が生まれた。その攻撃が今回、流れを盛り返す主な要因だった様に観えた。
その中で中村充の先制点が生まれ、その後も中村充、内藤がチョン ウヨンのパスを引き出しながら中盤を作り、京都ペースで前半を終わらせることに成功した。
さらに後半。これまでの京都ならリードしての後半は相手の攻撃をまともに受けて耐える時間がほとんどだった。だが、この試合ではそれが全くなかった。「これまでの京都の課題はどこに行ったのか」というゲーム展開。これも驚きで、結局は「前からボールに行く守備をして、中盤でボールをつなげるとこんなゲームになるのか」という見本の様な試合だった。
だが――、これが次の試合につながるのか、と問われれば、素直に頷けないのも正直な感想である。なぜ、と言われても非常に難しいのだが、強引に答えを探すと、チームに「芯がない感じ」を受けたということである。
安藤が抜けた京都。この時のフィールドプレーヤーの最高年齢は森下俊の25歳。非常に若いチームとなった。
「経験がない」と括る気はない。だがその逆の、この若いメンバーで素晴らしい試合を展開したのだから、ある意味「可能性が広がった」と表現するのも違う様な気がした。
どちらかと言うと、組織論的な、「人が集まり、その集団の中で中心的役割や補佐役といった役割が決まっていく過程の状態」を今回の若い京都に観た、という感じだ。
「精神的支柱が抜けた」という観方よりも、「新しいものが生まれてきた時の壊れやすい状態」の様に感じたのである。
中山博貴や安藤淳が京都にとって無くてはならない存在であることに疑いの余地はない。だが、その2人がいなくても素晴らしい戦いを演じた、というのも確かだと思う。
交代した選手、特に工藤浩平の働きもゲームを安定させ、攻撃を加速させる意味でも素晴らしかった。だから、誰が出てもしっかりしたゲームが出来るという意味では、好例を示した試合だったと感じたのである。
総論としては、若い選手の自立といった部分が、京都をさらに強くさせるのではないか、と考えさせられた。技術的なことはもちろん、人間的な、社会性的な部分も含めて、である。
今節の試合後の会見で、大木武監督は、選手の良かったところを褒めつつ、指摘点も多かった様に感じる(中村充への指摘はスタンドからも同様に感じた。さらに言えば、ホームでのF東京戦でも思い当たる部分がある)。大木監督の会見は指導者として、選手に向かって、「良かったけど、もっとしなくてはならないこと、気付かなければならないことがあるよ」と伝えようとしている様にも見えた。
以上
2011.10.11 Reported by 武田賢宗
J’s GOALニュース
一覧へ【第91回天皇杯 2回戦 京都 vs 佐川印】レポート:佐川印刷SCの猛攻を受けながらも若い京都が流れを引き寄せ3回戦進出を決める!(11.10.11)















