今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第30節 仙台 vs 川崎F】レポート:ゴールは生まれず。だがサポーターの想いが導いた数々の見せ場がスタジアムを沸かせる。(11.10.23)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
10月22日(土) 2011 J1リーグ戦 第30節
仙台 0 - 0 川崎F (14:03/ユアスタ/15,224人)
スカパー!再放送 Ch184 10/23(日)後10:00〜
☆totoリーグ第4ターン開催中!
----------
2002年10月22日に、当時の仙台の名物サポーター「戦術くん」がこの世を去った。スケッチブックに独自の記号を書いて掲げ、大声でメッセージを送り続ける彼のスタイルには実際のところ賛否両論がある。しかし応援するクラブに無償の愛を送り続けた彼の姿勢に感銘を受け、現在も命日の近辺で開催されるホームゲームを「戦術忌」とする仙台サポーターも多い。今年は仙台vs川崎Fが10月22日に開催されることとなった。

この「戦術忌」に限らず、この日のスタジアムの空気には、多くのサポーターの想いがいつも以上に感じられた。東日本大震災からの再開初戦となった第7節の等々力でも、被災地・仙台のサポーターとそれを温かく迎えた川崎Fサポーターが試合の熱気を後押ししたが、この日もメッセージ入りのビッグフラッグを両チームのマスコットが持って場内一周する中、両サポーターがエールや応援歌の交歓をおこなっていた。

「雨の中、ともすれば等々力での試合(2-1の勝利)の再現を信じて集まってくれたサポーターの皆さんには勝点1で申し訳ないけれど、逆にいえば、今日の川崎の出来を見ると、勝点1を拾えたのもまたサポーターのおかげかな、と思っています」(仙台・手倉森誠監督)。「勝点3までは至りませんでしたが、非常に選手たちはいい戦いをして、アウェイの地で貴重な勝点1を持って帰ることができると思っています。これもサポーターのおかげで、あらためて感謝したいと思います」(川崎F・相馬直樹監督)。両監督が試合後、ともにサポーターへの厚い感謝を口にしたのは偶然ではないだろう。実際、90分間を通し、両チームが決定機を作り続けた熱い試合だった。

両チームにもうひとつ共通していたのが、バランスを重視した編成で先発メンバーを決めていたところだった。仙台は3-0で快勝した前節の流れを重視して松下年宏と関口訓充を先発起用、なおかつ川崎Fの攻撃に対して中盤の守備でエネルギーを使うと見て、攻撃的MFができる選手を3人(梁勇基、太田吉彰、武藤雄樹)を控えに置いた。川崎Fは山瀬功治と稲本潤一に代えて田坂祐介と楠神順平を先発に置き、後半に間延びしやすい布陣を中村憲剛・柴崎晃誠に引き締めてもらうとともに、自らボールを持ってしかける2列目を生かした。

その結果、バランスが大崩れしなかった両者は、互いに最後までゴールを許さなかった。14分、カウンターから抜け出した中村がGK林卓人をかわしてシュートするも、「卓人さんがはっきりチャレンジにいってくれたので僕はカバーに入れた」という富田晋伍が右足でこれを阻止。逆に32分、松下のサイドチェンジと赤嶺真吾の折り返しで大きく揺さぶった仙台のチャンスは、川崎Fの杉山力裕や伊藤宏樹が体を張って、柳沢敦のシュートをかき出した。

ゴールを奪うためにリスクを冒す姿勢を両方とも何度も見せていたことは事実だが、それ以上に「お互いにカウンターが武器のチームなので、お互いに固いゲームだった」と相馬監督も振り返ったように、相手カウンターに対する危機管理の方に重点が置かれていた。言いかえれば、両者合わせて27本のシュートが飛んだ攻撃の見せ場以上に、それを阻止する守備陣の見せ場が上回っていた。

スコアボード上では味気ない数字が並ぶ試合ながらスタジアムの高揚感がおさまらなかったのは、両チームがサポーターの声援のもとタイムアップまで中身の濃い見せ場を作ってくれたからだったといえる。勿論、どちらも勝ちを逃した試合であったことは事実だし、最もスタジアムが沸くゴールシーンが生まれればなお良かった。だが両サポーターの想いに応える試合内容だったことは、試合後の大音量によるエール交換が証明している。

以上

2011.10.23 Reported by 板垣晴朗
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着