10月22日(土) 2011 J1リーグ戦 第30節
大宮 2 - 3 名古屋 (14:03/NACK/9,200人)
得点者:3' 田中マルクス闘莉王(名古屋)、64' 東慶悟(大宮)、66' ラファエル(大宮)、77' 玉田圭司(名古屋)、84' ケネディ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch183 10/24(月)前05:00〜
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勝利したストイコビッチ監督は、「エキサイティングなゲームだった」と、上機嫌で語った。先制、逆転、再逆転と、ゲームは激しく動いた。シュート数は大宮15本、名古屋17本。CKは大宮11本、名古屋9本。接戦であったことを物語るが、勝敗は紙一重だったとまでは言えない。大宮14位、名古屋3位と、これまでシーズンを戦ってきた順位が示す、大きな差が勝敗を分けた。
残留争いの渦中にあるとはいえ、降格圏との勝点6差の大宮は、引き分けでも悪い結果ではない。一方、首位の柏を勝点3差で追う名古屋は、勝たなければ優勝争いから脱落しかねない。大宮としては、相手は攻めてくるわけだから、前節の浦和戦同様にDFラインを低く設定し、粘り強く守ってカウンターをねらいたいところだったが、開始3分で「警戒していた、高さのあるセットプレー」(鈴木淳監督)によって田中マルクス闘莉王にゴールを許し、その思惑は崩された。
しかし今年の大宮は、堅守速攻の戦いしかできないチームではない。ラインを押し上げ、鈴木体制下になって磨いてきたパス回しで名古屋に攻めかかった。先制した名古屋が受けに回ったこともあり、サイドの高い位置で起点を作ると、「シンプルにクロスを入れても相手は中が強いので、マイナスに蹴ったりニアで一人つぶれたり」(渡邉大剛)と、名古屋対策として準備してきたクロスで脅かす。低い弾道の高速クロスが逆サイドまで抜け、名古屋守備陣を慌てさせる場面が何度も見られた。15分には渡邉のクロスからラファエルのヘッドが楢崎正剛の左を抜けたが、増川隆洋がライン上でクリア。36分には金 英權のクロスを橋本早十が合わせたがポストに嫌われた。
大宮に得点の予感は濃厚に漂っていたが、前がかりになって攻めていたぶん、作ったチャンスと同等、もしくはそれ以上にピンチを招いた。名古屋はこの日ダブルボランチに入った中村直志と吉村圭司を中心に、中でボールを動かしてサイドをフリーにし、ケネディにクロスを入れる「ウチの形」(小川佳純)が機能。特に大宮の左サイドが空く傾向にあり、田中隼磨や藤本淳吾からケネディへのクロスが、たびたび大宮ゴールを脅かした。
大宮は57分に、右SBの杉山 新に代えて李 天秀を投入。渡邉を右SBに下げ、李が右MFに入ると、前線に新たな起点ができ、攻撃がさらに活性化。64分、右サイドをえぐってチャンスを作った直後、名古屋が自陣に引いてきたケネディにボールを預けたところを、ケネディについてきた深谷友基と李がはさみこんでボールを奪い、中央のラファエルを経由して最後は東 慶悟が同点ゴールを決めた。さらにその2分後、李の低く速いクロスにニアで橋本がつぶれ、ファーのラファエルが詰める、ねらい通りの形で逆転に成功した。
ここから両ベンチの動きが激しくなる。名古屋は70分に吉村と小川に代えて、永井謙佑と金崎夢生を同時投入したが、この策はさほど効果的だったとはいえない。前線に4枚が張り付いてボールが回らなくなったし、それまで組織的だった守備は、個人がボールを追い回すだけになった。一方の大宮は73分、司令塔の上田康太に代えて金澤 慎を投入。前節の浦和戦同様に、中盤の守備を強化し、「ルーズボールを拾って速い攻撃につなげる」(鈴木監督)意図だったが、名古屋の様相が変わったことで、この策の効果も薄まっしまった。
つまり試合としては、この時点で壊れたといっていい。互いに中盤でボールを動かしてサイド攻撃を生命線とするチームで、その形で素晴らしい攻め合いを見せていたが、名古屋の主導で前後が分断されて攻め手はカウンター、いったん引かれて守備が整ってしまうと、どちらも手詰まりの状況になった。特に名古屋は、あまりの出しどころのなさにビルドアップを諦め、後方からケネディめがけて大きくフィードするばかりになったが、77分、楢崎のフィードしたボールがケネディから金崎を経由して、最後は玉田が押し込んで同点に。勢いづいた名古屋は闘莉王を前線に上げてパワープレー気味に出て、ケネディを押さえた深谷がPKを取られたことで、84分に再逆転に成功した。
その後の名古屋のゲームの締め方は、ほぼ完璧だった。再開のキックオフではまだ下を向いていない大宮に攻め込まれたが、その直後、選手交代に時間をたっぷり使って大宮の気勢を削ぎながら、玉田に代えて千代反田 充を投入し、5バックで守備固め。焦る大宮の単純な攻撃をはね返し、ロングボールをサイドでキープして時間を使う。PK判定でレフリーへの不信感を募らせていた大宮は、タッチライン際の判定にも神経をとがらせ、試合への気持ちを切らせていった。
もしPK判定がなくても、おそらく大宮は負けていただろう。前後分断でカウンターの撃ち合いの展開では個人能力の高い名古屋に明らかに分があるし、さらに得点シーンのように名古屋は「手詰まりになったときに、ゴリ押しするやり方を持っている」(渡邉)からだ。良い内容のサッカーができても、引いた相手に対して「残り1/3が崩せない」(青木拓矢)大宮と、『崩す』ことはできなくても、圧倒的な個人の力で『潰す』ことのできる名古屋と、その差がこの試合に出たし、そのまま積み重ねた勝点となって表れている。
柏とG大阪がともに勝ったことで、名古屋は勝点こそ詰められなかったが、首位に対して射程圏をキープした。ストイコビッチ監督が意図して試合を壊す展開に持って行ったわけではないだろうが、どんな勝ち方でもそれを自信と勢いにできるのが強豪というもの。残り試合の相手を考えると、優勝は十分にねらえる。
逆に大宮は、浦和が横浜FMに勝ったため、日曜日に行われる試合で甲府が勝てば、再び残留争いにどっぷり漬かることになる。最終節の甲府戦までに残留を決めるには、川崎F、鹿島、広島を相手に勝点4は取っておきたい。今日のようなゲームができれば決して過重な設定ではないはすだが、終了間際にはチーム全体が明らかに気持ちが切れていた、そのメンタル面は課題だろう。その点においても、強豪とはまだまだ差を感じずにはいられない。
以上
2011.10.23 Reported by 芥川和久
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