10月22日(土) 2011 J2リーグ戦 第32節
東京V 1 - 2 富山 (17:06/味スタ/3,455人)
得点者:13' 苔口卓也(富山)、31' 朝日大輔(富山)、46' 阿部拓馬(東京V)
スカパー!再放送 Ch182 10/24(月)深00:30〜
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「残念」の一言に尽きる。J1昇格のために残り8試合全勝を期していた東京Vにとっては、あまりにも痛すぎる敗戦となってしまった。3日前に行われた第6節徳島戦では、劣勢の中でも全員の踏ん張りで90分間無失点に抑える“忍耐サッカー”で勝利を収めることができたが、この試合では、残念ながら耐えきることができなかった。
東京Vは、富澤清太郎を出場停止で欠くセンターバックに誰が入るかが着目点の1つであったが、可能性のあった高橋祥平と深津康太のうち川勝良一監督は深津の9月11日以来の先発起用を選択した。高橋はボランチに置き、その他のメンバー・布陣も徳島戦と同じ形でのスタートとなった。
深津のこの試合にかける思いは強かった。それは、周りの選手たちにも十分に伝わっていただろう。だからこそ、チームのためにも深津のためにも、絶対に結果を出したかっただけに、あっさりロングボール1本で決められた先制点のダメージは、とても大きかった。前半13分、こぼれ球を得た富山・大西容平が、高めにいた東京VのDFの背後に落とす好ロングパスを送ると、これに苔口卓也にタイミング良く抜け出され、懸命に後を追ったが追いつけず、右足で一閃された。
時間帯的にも、まだまだ下を向く時間ではなかったが、「相手が3−4−3で縦に速くダイレクトで入れてくるので、センターバックを含め中盤の選手もダウンを速くして、シンプルだけど裏を狙っていることに関してはケアをしようとして入った」(川勝監督)が、球際やセカンドボールへの反応など、運動量を含めて後手にまわる展開が続いた。
そして、なかなかチームとしてどう攻めていくかの突破口を見出せないまま迎えた前半31分、またしても富山の中盤から入れられたロングボールを土屋征夫が頭で弾き返したが、そのクリアボールがソ ヨンドクに渡り、瞬間にDFラインの後ろに出されて朝日大輔に決められた。
リーグ戦ではここ4試合2点以上取れていないだけに、川勝監督は早くもここで動く。「自分たちが先に失点して、追いつくために動かすというのは最悪の場合しか考えていなかったけど」という、できれば避けたかった“場合”だったが、「前半の入り方を見ていて、中盤とか攻撃で躍動感を感じなかった。3点目を失う心配より早く1点を返したい」と、2点目を奪われた直後に、左サイドでは前も後ろもでき、運動量もスピードもある中谷勇介を左サイドに迷わず投入する。同時に高橋をセンターバックへ下げると徐々にゲームは落ち着き、それまでほとんど作れなかった富山ゴール前でのチャンスが見られるようになった。
ハーフタイム、指揮官は「相当の発破をかけた」。加えてアポジを後半頭から右サイドハーフに入れると、試合の流れはガラリと変わった。そのアポジのファーストプレーだった。ボランチからパスが入ると、迷わず超高速ドリブルで中央へ向かっていき、左に上がった菊岡拓朗へ。菊岡も仕掛けてペナルティエリア内に侵入すると、富山DF2人に止められたもののこぼれ球としてゴール前に出る。これにマラニョンが反応し、中に入れたボールを阿部拓馬が押し込んだ。後半開始後、わずか1分にも満たない間の、一瞬の出来事だった。
これで勢いのついた東京Vは、前半のうっ憤を晴らすかのような猛攻をしかけ、反撃開始。3バックの富山に対して狙いとしながらも前半ではなかなか使えなかったサイドのスペースを広く使いながら、ボックス内で勝負する場面が増え、決定機を何度も作った。後半25分あたりまでは、ほとんど富山に何もさせないほど圧倒的な試合運びをした。が、得点できず。富山の踏ん張りもあり、結局、出鼻に返した1点のみに終わった。
これまでの戦いの中で、何度も直面し、反省し続けてきた勝利を逃す原因『決めるべき時に決められない』ことを、結果的にまたしても繰り返してしまった。チャンスにきちんと点を取る、という“勝負強さ”は、残念ながら現段階での東京Vには備わっていなかったということだろう。
東京Vはここから3試合、栃木、F東京、札幌と上位チームとの直接対決が続く。ダメージは決して小さくはないだろうが、数字上ではまだJ1昇格の可能性は残されている。この現状をどう受け止め、プロとしてどのように切り替え、立て直し、どんな結果を得て、先につなげていくのか。真の意味でのチーム力を見たい。
富山にとっては、まさにプラン通り、最高の勝利だったとも言えるのではないだろうか。前節の惨敗から、「もう1度自分たちのできることをやろう」(安間貴義監督)と、ある意味シンプルに原点に立ち返って臨んだこの試合、「裏をつく」という狙いはハッキリとしていた。もうひとつ、この試合のテーマとして、「東京Vは球際やセカンドボールにも最後の最後まで気持ちを出してくる」と、『戦うメンタリティ』が掲げられていたのだと吉川拓也は話した。この2つのテーマを徹底できたことが、間違いなく勝利を呼んだ。
富山は、今季のチーム目標として13位以内を設定している。優勝、または昇格圏内の3位という数字から比べたら、13位は一見、「低い」と感じてしまう部分もあるが、安間監督は「低迷といっても僕たちは現在地が低いところから入ったので現在地が低いとも思っていませんし、迷ってもいないのでこれから1つずつ付け加えていきたいなと思っています」と話す。現段階での富山にとって13位は、しっかりとした未来を見据えた、迷いなき的確な目標設定であると言えよう。そして、その段階に応じた目標を達成しようとするチーム・クラブの意欲は、この試合では、残念ながら“J1昇格”という大きな目標を掲げている東京Vよりもはるかに上回っていたように思う。富山の、謙虚さと目標達成への強い思いが生んだ金星だったのではないだろうか。
以上
2011.10.23 Reported by 上岡真里江
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