10月23日(日) 2011 J1リーグ戦 第30節
清水 3 - 0 甲府 (13:05/アウスタ/19,832人)
得点者:36' 高木俊幸(清水)、45'+1 小野伸二(清水)、66' 大前元紀(清水)
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3-0というスコアとゴールシーン中心のダイジェスト映像だけを見れば、清水が甲府を圧倒したように感じられるだろうが、90分を通した内容は、けっしてそういう試合ではなかった。今節は他にも点差が開いたゲームがあったが、リーグ終盤では、ちょっとした試合のアヤが大きな明暗差に結びつくことがある。
前半、スコアが動くまでは、ある意味我慢比べのような展開だった。「清水にボールを保有される時間が少し長くなるかなと思っていた」と甲府の佐久間悟監督が予想していたように、ポゼッションでは清水がやや優位に立ったが、甲府はしっかりと守備を整えてカウンターを狙うという形で意思統一ができていた。そのため、序盤から何度か甲府がカウンターで清水ゴールに迫る場面を作り、その影響で清水のパス回しが必要以上に慎重になり、長いボールが増えてくる。
これは清水にとっては悪いパターンで、なかなか攻撃のリズムが上がってこない。そのためシュートまで行く場面がほとんどなく、守備に関しては甲府の狙いが形になっていた。ただ、甲府のカウンターに対しては、ヨン ア ピンの出場停止で久しぶりにアンカーを務めた平岡康裕が、甲府の起点となる片桐淳至によく対応し、DFラインもハーフナー・マイクやパウリーニョといった恐い選手をしっかりと抑え、こちらもシュートまで行かせない。公式記録では甲府の前半のシュート数が0本だったが、清水も36分まではほとんどシュートを打てなかった。
そう考えると、自分たちの狙いにより近い形で戦えていたのは、アウェイの甲府のほうだったと言える。「あのまま辛抱強く続けていれば、チャンスは必ず来ると思っていた」と、昨年まで清水にいた伊東輝悦が試合後に語ったが、その裏付けは十分にある。両チームとも攻撃陣にはスペシャルな能力を持つ選手が揃っているため、その膠着状態をワンチャンスで一変させる力を備えているからだ。
ただ、それを先に実現したのは、清水のほうだった。前半36分、GK山本海人のゴールキックを高原直泰が競ってボールが右サイドの裏に流れ、そこに大前元紀が飛び出してクロス。DFがクリアしたボールを逆サイドの高木が拾うと、ドリブルで中に仕掛けてキックフェイントで2人のマークを外し、右足シュート。これがDFの足に当たって微妙に変化し、ゴール右上に決まった。
多少ラッキーな面はあったものの、これまでシュートをDFにブロックされたり、強打して枠を外したりすることの多かった高木が、非常に冷静なフェイントでシュートコースを作り、きっちりコントロールされたシュートを見せたところは、彼の中での変化が感じられる部分だった。
これで流れは一気に変わり、甲府も冷静さを失ったため、前半の終盤は清水が立て続けに決定機を作った。その中で高原が2回大きなチャンスを迎えたが、ここはオフサイドとわずかなズレで決めきれなかった。しかし、清水が押しこむ中で得たアディショナルタイムのCKから、こぼれ球をつないで小野伸二がミドルシュートを放つと、DFに当たってちょうど良いドライブがかかり、GKの上を越えてゴールネットを揺らす。清水が前半のうちに追加点を奪うことに成功した。
2点とも甲府の選手に当たって決まったゴールということで、「今日はツキもあった」(太田宏介)と清水の選手も、運が自分たちに味方したことを認める。甲府の選手は天に不満を言いたくなるだろうが、どんな形であれ2点のビハインドは、残留争いの渦中にあるチームにはあまりにも重かった。
後半は、清水がスタートからフレドリック・ユングベリを投入し、ついに小野、高原との共演が初めて実現。ユングベリが90分間プレーするのは難しいということでスタメンは回避されたが、その3人を一緒にプレーさせたいという思いは、サポーターだけでなくゴトビ監督も強く持っていた。
また甲府のほうも、より攻撃的に戦うために元清水の市川大祐を右サイドバックに投入。伊東と市川が揃ってピッチに立ったことで、清水サポーターにとってはもうひとつうれしい状況が生まれた。
試合展開のほうは、まだ試合を諦めるわけにはいかない甲府が押し返す場面が増えてきたが、清水の3点目は、ある意味甲府の選手たちには残酷な1点だった。後半21分、自陣でボールを受けたユングベリがドリブルでマークを打開して右サイドを駆け上がり、大前とのパス交換でさらに前に突き進んで、小野にパス。ユングベリが思いきり相手を引きつけたことで小野は完全にフリーとなり、裏に走り込む大前に精密機械で計ったようなスルーパスを送る。これで大前がGKと1対1になって冷静にゴールに流し込み、決定的な3点目を決めた。
清水の個の力を存分に見せつけたあまりにも鮮やかなゴールは、甲府にさらなる精神的なダメージを与えるには十分すぎるものだった。その後、清水は少しホッとしたのか、「サッカーをするのをやめてしまった」とゴトビ監督が例える状況になり、甲府に押し込まれる時間が増えたが、甲府のほうは焦りが強かったのか、チャンスがあっても決めきれない。GK山本海を中心に清水守備陣が最後のところで踏ん張ったこともあって、3-0のままタイムアップの笛を迎えた。
これで清水はホームで12戦無敗(天皇杯を含む)となり、7位に浮上。目標とする4位の横浜FMの背中も、かすかながら見え始めた(勝点8差)。
一方、甲府のほうは、浦和が勝ったため降格圏の16位に逆戻り。佐久間監督が残留の目安とする「勝点39以上」に届くためには、残り4試合で3勝しなければならなくなった。
ただ、この試合に関しては、清水が特別に強かったわけでもなく、甲府が弱かったわけでもない。したがって、清水はこれで安心することなく、さらなる完成度の向上を目指していかなければならないし、甲府は自信を失うことなく、今後の試合で最大限の力を発揮するしかない。もちろん、そんなことは誰かに言われてなくても、両チームとも百も承知のことだろう。
以上
2011.10.24 Reported by 前島芳雄
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