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【J2:第32節 鳥栖 vs F東京】レポート:90分間の死闘。両者にとって価値ある引き分け。互いに持ち味を出し尽くした一戦。(11.10.24)

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10月23日(日) 2011 J2リーグ戦 第32節
鳥栖 0 - 0 F東京 (17:04/ベアスタ/15,489人)
スカパー!再放送 Ch180 10/24(月)後00:30〜
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8戦負けなし(7勝1分)、6連勝中で今節を迎えたF東京。11戦負けなし(9勝2分)、4連勝中で今節を迎えた鳥栖。
この好調なチームの勢いを止めることができるのは、どこのチームだろうか。冷静に考えると、この両者が直接に対決して止めるしかない。それが実現したのが、第32節の鳥栖対F東京戦だった。そして、結果はスコアレスドロー。互いの連勝は互いに止められた。しかし、負け無しの記録は1試合ずつ伸ばすことができた。
首位のF東京と2位の鳥栖。今節の勝点1の上積みは、互いに最低限の結果を残し、最高の試合を見せてくれた。

今季最多の入場者数(15,489人)を記録したベストアメニティスタジアム。この試合を見終えた人たちは、終了後に惜しみない拍手をしたに違いない。攻めにかかると長短のパスを織り交ぜゴールに迫り、守りに回るとFWまでもが自陣ペナルティエリア前で身体を張る。無駄なボールデッド時間は無く、常にボールはピッチの中で動いていた。そこに人が集まり、激しくぶつかり合い、互いの意地と気迫を出し続けていた。前半の主導権は鳥栖が握り、後半はF東京が握るという文字通りの熱戦であった。

キックオフの笛がなると同時に鳥栖はF東京陣内に攻め込んだ。ワントップのFW豊田陽平に的を絞ってボールを出し続けた。その周りをFW池田圭がケアしているので、簡単にはボールはF東京には渡らない。奪われても、争点に人数をかけて相手を窮屈な状態にしてパスコースを限定してしまう。残ったパスコースから出たボールをMF岡本知剛と藤田直之が常にインターセプトを狙っている。もちろん、奪えばDFラインは高く押し上げられ、全員の攻撃スイッチが入る。今節まで、J2で2番目に得点を挙げている(54得点)F東京のお株を奪う攻撃を見せた。しかし、J2最少失点(15失点)を誇るF東京は、前半の45分間はその攻撃を跳ね返し続けた。最大の決定機であった豊田陽平のGKとの1対1のシーンも、ボールは無常にクロスバーの上を通過していった。

後半開始のキックオフの笛がなると、前半とは一転してF東京が鳥栖陣内に攻め込んだ。ピッチ幅を有効に使い、鳥栖の選手をボールサイドに寄せては、守備の綻びを探していた。FWルーカスがボールを受けに下がると、その空いたスペースにMF田邉草民、谷澤達也が飛び込んではボールを引き出した。56分からピッチに立った石川直宏は自ら仕掛けてクロスを送り続けたし、自らもミドルシュートを放って鳥栖のゴールを脅かした。72分からピッチに立ったロベルト セザーは、常に前線でボールを待ち鳥栖のDFラインを下げ続けていた。しかし、失点がF東京に次いで少ない(23失点)の鳥栖は、CB木谷公亮を中心に身体を張ってブロックし続けた。J2屈指の得点力を誇るF東京の攻撃を無失点で終えることができた。

鳥栖サイドから見ると、前半はF東京の守備をこじ開けることができず、後半は猛攻に耐え続けたということだろう。F東京サイドから見ると、前半は鳥栖の出足に押し込まれながらも耐え、後半一気に攻め込んだということだろう。
「勝てなかったが、勝点1を得たことに満足しています」と尹晶煥監督(鳥栖)は振り返った。
「満足も不満もない」と大熊清監督(F東京)は振り返った。
この差は、首位と2位の差であり、J1昇格が命題であるF東京と昇格未経験の鳥栖との差であろう。また、個人技と経験を持ったF東京とチーム全員で戦う鳥栖と差とも言えるかもしれない。しかし、私には王者のF東京と挑戦者の鳥栖との差であるように見えた。そして、この差は確実に開幕戦(3月5日味の素スタジアム)の時より縮まっていると確信がもてた。今節の試合は、J1での戦いにも引けを取らない好勝負だった。

最後になるが、F東京の強さの一端をリスペクトの気持ちを込めて記しておきたい。
豊田陽平(鳥栖)の身長は185cm。鳥栖のターゲットであることは周知の事実である。彼に入るロングボールを競っていたのがMF高橋秀人(F東京)である。彼の身長は182cmなので、わずかながら豊田陽平のほうが勝っている。
が、この豊田陽平に競るのがボランチであることがF東京の強さの一端でもある。この後ろにCB今野泰幸と森重真人がいるのだから、リーグ最少失点もうなずける。
目立ちはしなかったが、相手FWに対する守備の位置が高いということは、それだけ失点のリスクが減る。豊田陽平のシュート数4本のうちペナルティエリア内でのシュートは1本だけで、ロングシュートが多かった要因であった。

サッカーができる喜びがあれば、サッカーを観る喜びもある。
街に贔屓にできるチームがあり、その結果に一喜一憂できる幸せは、何事にも変え難い。
ボールを蹴ることができなくても、そのボールに気持ちを注入できるサッカーは選手とともに戦うことができるスポーツとも言える。
決めたシュートに一緒に歓喜し、外したシュートに一緒に悔しがる。
得点を決めれば一緒に雄たけびをあげ、失点すると一緒にため息をつく。
サッカーを観る幸せは、選手がプレーする幸せに通じるものであり、サッカーを共有できる時間でもある。
サッカーは至福の時を与えてくれる。

以上

2011.10.24 Reported by サカクラゲン
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