10月23日(日) 2011 J2リーグ戦 第32節
熊本 2 - 1 水戸 (17:04/熊本/9,461人)
得点者:31' 小池純輝(水戸)、78' ファビオ(熊本)、84' 根占真伍(熊本)
スカパー!再放送 Ch181 10/25(火)前04:00〜
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2度目のチャレンジとなったゴール裏のコレオグラフィは、シンプルな紅白の模様。その精度や人数は、例えば埼玉や茨城の赤いチームにはまだまだ遠く及ばないだろうが、昨年トライした時と比べても迫力と美しさは段違いだった。それはクラブがスタートした2005年、「数年後にこうなったらいいね」と当時の関係者が口にしていたのに近い光景。この試合は(社)熊本青年会議所サンクスマッチと銘打たれて、このゴール裏の取り組みも動員があって初めて実現したものではある。だが間違いなく、歩みは遅くても前に進んでいるのだと感じさせられた。
そうしたこともあって、この試合が初めてのスタジアム観戦となった人も少なくなかったと思われる。その点を踏まえれば、前半のサッカーは9,000人を超えた観客に見せるにはふさわしくない、「内容のない」(高木琢也監督)もの。チームに対してはここまで比較的温かく接する姿勢を貫いてきたゴール裏からも、前半終了時の笛と同時に大きなブーイングが発せられるほどだった。
熊本は連戦の疲労や片山奨典の出場停止を考慮し、右サイドバックにチョ ソンジン、左のMFに西森正明、さらに右FWにこの日誕生日を迎えた宇留野純を先発で起用。11分には、菅沼駿哉の長い縦パスから宇留野がシュート気味のクロスを入れて武富孝介がニアで触ったが、これはポストの右にそれる。しかしその後は、鈴木隆行と吉原宏太を2トップに据えた水戸がペースを握った。
水戸はこの試合、21日にお父様が亡くなった柱谷哲二監督に代わり、秋葉忠宏ヘッドコーチが指揮を執っていたが、ここまで培ってきた要素を随所に発揮。鈴木が納めてタメを作り、吉原が落ち着いてさばき、小澤司がいい距離感でサポートし、小池純輝が追い越す。守備でも塩谷司と加藤広樹を中心に熊本のロングボールに対応して、村田翔らが中盤でセカンドボールを拾った。そして31分、ついに水戸が先制する。それまでも好機を演出していた吉原が左に流れ、ファーサイドへ緩やかなクロス。熊本のDF陣も枚数は揃っていたものの、走り込んできた小池がほぼノーマークの状態で押し込んだ。
この場面での対応を始め、プレッシャーがハマらずに自由にボールを動かされ、攻めても長いボール、あるいは水戸の守備ブロックの外側を横に動かすばかりで、判断の遅さやミスで簡単に奪われてはまた守勢に回るという展開を繰り返す熊本。勝ちたいという気持ちは到底伝わってこない展開にスタンドの苛立ちもつのっていったのだろう、40分ごろだったか、前に運べずにボールを下げるという拙攻ぶりに、負けてんだぞ、攻めろ!——スタンドのそんな思いが容赦ないブーイングとなって飛んだが、前半はビハインドのまま折り返した。
記者席に配布されたハーフタイムコメントも、高木監督のものは主にメンタルを鼓舞するもの。合わせて後半開始時からエジミウソンに替えて原田拓をボランチに投入すると、少しずつペースを引き戻していく。立ち上がりの46分には、もう一息というところで合わなかったが筑城和人のクロスに長沢駿が飛び込む。それでも前への推進力はまだ足りず、高木監督は64分にソン イニョンをピッチへ。長沢を残して1列下げたことで、ソンが裏のスペースへ抜けるという場面が徐々に見え始める。
対する水戸は、「1点取って消極的になったのか、ボールを持っても、誰もができるプレーしかできていなかった」と吉原が振り返ったように、徐々に熊本の圧力に押されていく。果たして78分、熊本のカウンターが実を結ぶ。原田からのフィードを受けたソンが持ち込んで丁寧なラストパスを中央へ送ると、DFと重なりながらファビオが押し込んでまず同点。6分後の84分には、廣井友信のカットから左へ展開し、再びソンがマイナスのクロスを折り返す。そこへ「こぼれを狙おうと準備していた」根占真伍が走り込んで合わせ、右足で豪快に突き刺した。わずか6分間の逆転劇にスタンドの盛り上がりも最高潮に達し、危ない場面を迎えた6分のアディショナルタイムもしのいで、熊本が水戸に競り勝った。
水戸にとっては、柱谷監督不在の影響は小さくなかった。前半の流れがある時間帯に追加点が取れていれば、完勝という展開に持ち込めた可能性もある。本間幸司のJ2通算400試合出場を勝利で飾ることはできなかったものの、前半に見せたアグレッシブさ、そして鈴木と吉原の2トップとそこに中盤が絡む形、またアバウトに放り込まずにしっかりとつないで作っていくという姿勢は、秋葉ヘッドコーチも話しているように次につながるもの。敗れて順位は17位と下がったが、残り7試合でも継続していきたい。
熊本は今季2度目の逆転勝ちで10位に浮上。終盤の逆転はエンターテイメントとしては最高で、初観戦となった観客にも、結果も含めて「次も見に来よう」と思わせる事はできたかもしれない。しかしながら、会見場に現れた高木監督の声は今までにないほどしゃがれていたことからも分かるが、内容的に決して褒められるものではなかったことは、しっかりと胸に刻まなければならない。1つ1つ勝っていくしかない残りの7試合、大切なのはもちろん結果だが、ではどんな内容で結果を得るかは、来年以降にも関わってくる。鍵を差してノブを回したことで、ドアは開いた。再び中2日で迎えるのは連戦の4戦目となる鳥取戦。天皇杯のリベンジも込めて、次の1歩を踏み出したい。
以上
2011.10.24 Reported by 井芹貴志
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