10月26日(水) 2011 J2リーグ戦 第7節
徳島 0 - 2 札幌 (19:04/鳴門大塚/3,571人)
得点者:51' 近藤祐介(札幌)、80' 内村圭宏(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 10/27(木)後04:00〜
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まるで変わってしまった。前半あれほど正確な繋ぎと精力的かつ積極的な動きを見せていたにもかかわらず、後半の徳島はほとんどリズムや勢いが感じられない内容…。精度を欠いたパスやタイミングのズレた連係ミス、さらには組織としての流動性までもなくしてしまったのだ。
ただ、そうなった理由はハッキリしている。後半立ち上がりに許してしまった先制点がそれであることに間違いはないだろう。プレビューでも注意すべきポイントとして挙げていた部分でまたしても同じ過ちを繰り返してしまった徳島は、それによって自分たちのすべき戦いが出来なくなり、結果としてこの大一番に敗れることとなった。
前半は全く悪くなかったと言っていい。選手たちは開始のホイッスル直後から集中と厳しさを感じさせる姿勢で球際をファイトし、この一戦に賭ける想いを強く出していた。だからこそ徳島は10分過ぎから徐々に主導権を握ってピッチ上の支配を強め、たびたび好機を創出。12分には柿谷曜一朗のドリブルをスイッチにした高速カウンターから濱田武のフィニッシュにまでもっていったし、その5分後にはバイタルエリアに空いたスペースへ上手く入り込んだ柿谷が濱田のパスを受けて強烈なミドルで札幌を大いにヒヤリとさせる。さらにチームは前半終了間際、一番のビッグチャンスを生み出す。ぺ・スンジンの絶妙クロスに津田知宏と佐藤晃大が飛び込んだそのシーンは、あとほんのコンマ何秒入り込みが早ければ確実にゴールを奪えたほどのものであった。
しかし、後半スタートの笛から間もない51分、その徳島は一瞬の隙から落とし穴に落ちてしまう。エリゼウが自陣に入ってきたロビングボールに対応するも跳ね返せずボールが後ろへこぼれると、それを札幌に拾われ、あっという間に近藤祐介に決められてしまったのである。
するとこの失点を境にして一気に徳島の戦いが崩れていく。冒頭で述べたようなミスや動きの低下が誰の目にも明らかとなり、効果的な攻撃の形を見せられなくなっただけでなく、守備のバランスまでもが狂ってきたのだ。まさに焦り。そう言わざるを得ないだろう。そして何かバラバラ感さえ漂い始めた徳島はついに2失点目を喫する。衛藤裕のパスミスでボールを失うとロングボールでDFライン裏を取られ、内村圭宏のスピードに屈する形で致命的な追加点を奪われた。
その後徳島はリーグ初出場となるキム・ジョンミンをも投入し反撃の糸口を探ったが、結局最後までそれは見付けられないまま。チームは昇格圏から弾き出される厳しい終了のホイッスルを聞くこととなった。だが、これも自らが招いた現実としか言い様がないであろう。ターニングポイントとなった後半立ち上がりの失点場面を思い返すと、エリゼウの周囲にいた選手たちは明らかに足を止めてプレーウォッチャーになっていた。もちろんその時間までパーフェクトな空中戦を披露していたエリゼウへの信頼があったのだろうが、それでもその後方にいた札幌のジオゴと近藤に対するケアが十分であったかと言えばそうでないはず。いずれにしても90分全てで絶対に失ってはならなかったはずの集中と厳しさを、一瞬とは言え欠いた代償はあまりに大きかったということだ。
ただ、こうして大一番に敗れたとは言え、選手たちには顔を上げてもらいたい。シーズンはまだ6戦残っており、昇格争いについてもまだ何ひとつ決まっていないのだから。それに次の戦いはすぐまた中3日でやってくる。それだけにチームは反省点こそしっかり受け止めながら一刻も早く気持ちを切り替え、全ての力を次節・千葉戦(@)フクアリへ向けなくては。
クラブとしての夢、また多くのファン・サポーターの夢でもあるJ1昇格。苦しい時も乗り越えてここまで来たのだ。徳島にはもう一度前進する逞しさと強い気持ちを見せてほしい。
それにしても札幌は見事な戦いぶりであった。「札幌らしい戦い方にやられてしまった」とは古巣に苦汁をなめさせられた徳島・西嶋弘之のコメントだが、辛抱強く耐えながら一瞬のチャンスを逃さずモノにし、そこからさらに堅い守りを敷いたその戦いはまさしく彼らの真骨頂。3連敗と厳しい状況の中にありながら選手たちはタフに自分たちのサッカーを取り戻していた。
また特に活躍が際立った最終ライン4人にもぜひ触れておきたいと思う。石崎信弘監督も試合後の会見で「とても集中して戦えたのではないでしょうか」と彼らへ賛辞を送っていたが、高校生らしからぬ落ち着きと決断力の早さを見せていた奈良竜樹をはじめとする4人全員は90分間非常に粘り強く徳島の攻撃に対処。身体を張り続け、献身的なカバーも徹底して最後までゴールを許さなかった。その働きから、彼らこそがこのゲームの行方を決めたと言っても過言ではないだろう。
このように再び息を吹き返した札幌。前節まで陥っていた苦境を自らの力で切り抜けた北の雄はこれをキッカケに昇格まで突っ走るのか。また次節以降が注目される。
以上
2011.10.27 Reported by 松下英樹













