10月30日(日) 2011 J2リーグ戦 第33節
岐阜 4 - 4 鳥栖 (19:04/長良川/2,824人)
得点者:16' 嶋田正吾(岐阜)、45'+3 西川優大(岐阜)、52' 豊田陽平(鳥栖)、58' 豊田陽平(鳥栖)、66' 押谷祐樹(岐阜)、76' 豊田陽平(鳥栖)、82' 西川優大(岐阜)、90' 丹羽竜平(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch181 10/31(月)前11:00〜
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4−4。壮絶なシーソーゲームだった。だが、この展開は『ある一つのきっかけ』によってこうなった。この試合のキーは後半のキックオフにあった。
この試合、岐阜・木村孝洋監督が動いた。前節の北九州戦からメンバーを5人を入れ替え、ポジションも修正を加えてきた。
西川優大を1トップに置き、菅和範をトップ下に起用。ダブルボランチは新井涼平と三田光のコンビを起用。嶋田正吾と地主園秀美の両サイドハーフという布陣を敷いてきた。
狙いは運動量豊富な菅をトップ下に置いて、両サイドにカットインが出来るドリブラーを置くことで、バイタルエリアを活性化させること。守備面ではダブルボランチの形をいつもの縦関係から、三田と新井を平行に並べ、DFラインの前にブロックをつくって、相手のバイタルエリア侵入を防ぎ、菅とダブルボランチで挟み込んでボールを奪うこと。この2つの狙いがはまるかどうかが、この試合のポイントとなった。
前半立ち上がりは、これがはまった形となった。菅がトップ下で激しく動き回って、相手の攻撃を遅らせると、新井との息の合ったプレスバックでボールを奪っては、嶋田と地主園の両サイドが得意のドリブルで容赦なく仕掛け、さらに中央では菅と西川がポジションを頻繁に変えながら、2人のドリブルコースを作り出した。
そして16分、嶋田が左から仕掛け、思い切りよくシュート。これがブロックに来たDFの手に当たり、PKを獲得。これを嶋田がきっちりと決めて、岐阜が先制に成功する。最高の出だしを切った岐阜は、その後も鳥栖から自由を奪い、試合を優勢に進めた。
しかし、26分、大きなアクシデントが起こる。左サイドバックの村上一樹が負傷し、そのままプレー続行が不可能に。この緊急事態に木村監督は押谷祐樹を投入(同27分)。菅を左サイドバックに、嶋田をトップ下に移し、押谷を右サイドハーフに置いた。
だが、これがほぼ完璧だった岐阜のペースを乱してしまった。これまでは菅がトップ下で攻守にわたって大きなアクセントとなっていたが、それがそっくり無くなってしまった。これにより鳥栖は封じ込まれていた中盤での組み立てが出来るようになり、アタッカー陣もDFラインの裏や間のギャップを狙えるようになった。
鳥栖の攻撃が活性化をしていき、岐阜が押し込まれる。試合はやがてこれまでと同じ、終始劣勢の展開となっていった。しかし、鳥栖の攻撃がじわじわと効力を発揮し始めた前半終了間際。岐阜が鳥栖の一瞬の隙を突いた。
45+3分、中盤でボールをキープした新井が、相手の前がかりなDFラインの裏に浮き球のパスを送り込む。これに反応したのは西川。DFラインの裏にポトリと落ちたボールのバウンドをうまく合わせ、ゴール右隅に貴重な追加点を蹴り込んだ。
2-0。先制点を取るのも久しぶりで、追加点も奪うことが出来た。岐阜にとって最高の形で後半を迎えることになった。
しかし、後半状況は一変する。ハーフタイム、鳥栖はボランチの岡本知剛に代えDF田中輝和を、MFキム・ビョンスクに代えMF國吉貴博を投入。田中を右サイドバックに、丹羽竜平をボランチに起用した。そして、早坂良太を左から右サイドハーフに移した。
この配置展開がはまったからなのか、それともハーフタイムの尹晶煥監督の「走らずに何かを得られるはずがない」という檄に、選手がしっかりと呼応したからなのかは分からないが、試合の流れを決定的に変える瞬間がやってきた。
ハーフタイムが終わり、両チームの選手がピッチ上に散らばる。鳥栖ボールで主審の後半開始の笛が吹かれた瞬間だった。鳥栖の攻撃陣の選手全員が一斉に岐阜陣内に全力疾走。ロングボールではなく、キックオフをしたツートップがそのままドリブルとパスで、バイタルエリアまで切れ込んできた。
このプレーに岐阜は完全に面を食らった。たったこのワンプレーで岐阜のDFラインは2m、いや3mは下がってしまった。そしてそのラインの位置がここから先、上がることはなかった。
これが意味するのは何か。DFラインが下がり、DFラインの前に張るボランチの三田のポジションが下がった。こうなると中盤のスペースは一気に広がり、鳥栖が得意とする中盤のポゼッションがしやすくなってしまった。
この状況で一番苦しんだのは新井だった。
「あの瞬間、一気に受け身に回ってしまい、そのあとも後ろと前の距離が開いてしまって、ポジショニングに戸惑ってしまった。あのワンプレーがすべてだった」。
新井は必死で攻守のバランスの取れるポジショニングを模索したが、鳥栖の勢いはそれ以上に強かった。これまでかかっていた中盤でのプレスがかからない。サイドのプレスもゆるくなり、いつもの岐阜の拙い守備に逆戻りをしてしまった。
52分、早坂の右からのクロスを、ファーサイドでフリーで受けたFW豊田陽平が突き刺し、1点を返すと、58分にはMF磯崎敬太の左からのグラウンダーのクロスを、またもファーサイドでフリーの豊田が確実に沈めて、ついに鳥栖が同点に追い付いた。
この2失点とも、ファーサイドの対応が甘すぎた。クロスに対しボールウォッチャーになり、逆サイドのケアが全くできていなかった。直後の62分にも左サイドを突破した早坂のグラウンダーのクロスを、ファーサイドでフリーのMF藤田直之に合されるが、これはサイドネットに助けられた。
だが、この試合は相手のミスを効果的に突くことが出来ていたことが、差を広げられなかった要因だった。66分、嶋田のロングボールの対応にもたついた隙を突いて、押谷が右サイドでボールを受けると、そのままカットインから技ありのスーパーシュートをゴール左隅に突き刺した。だが、全体の内容を見ると、さきほど指摘した通り、鳥栖の守備よりも岐阜の守備が崩れているのは明らかで、追いつかれるのも時間の問題だった。
76分、猛攻を仕掛けた鳥栖は、右CKを得ると、國吉の蹴ったボールをファーで豊田が高い打点のヘッド。これが決まり、鳥栖が再び同点に追い付いた。83分、右サイドを突破した押谷のセンタリングを西川がニアで受けると、DFと交錯をしながらも、執念で左足を一閃。GKに当たったボールはギリギリゴールラインを割った。
だが、これも追いつかれるのも時間の問題だった。90分、ゴール前の混戦から丹羽に蹴り込まれ、三度同点4−4。
ゴールラッシュはこれで幕を閉じた。13戦負けなしで2位の鳥栖を相手に4−4のドロー。今の岐阜の順位を考えれば、非常によくやったと言える。しかし、今日の流れは勝ち試合の流れだった。確かに村上負傷のアクシデントはあったが、掴んでいた流れをあっさりと失ったことは反省すべきだ。しかも、後半のキックオフで強烈なパンチを受けてから、岐阜の守備は立て直しが利かず、後半の45分間だけで4失点を喫した。しかもすべてがクロス、セットプレーからの失点。守備の綻びがモロに出てしまった。
4得点の陰に隠れてしまいがちだが、岐阜の改善しきれないモロさが露呈した。根本的な問題は変わっていないだけに、この結果は収穫ではなく、課題として真摯に受け止めなければならない。
以上
2011.10.31 Reported by 安藤隆人















