11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
仙台 3 - 1 福岡 (19:04/ユアスタ/4,831人)
得点者:18' 田村 直也(仙台)、22' 田村 直也(仙台)、68' 岡本 英也(福岡)、82' 中島 裕希(仙台)
★第91回天皇杯特集
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フォトニュースでもレポートしたが、天皇杯3回戦のキックオフを前にしてユアテックスタジアム仙台に並んだ横断幕の中に、JFL・ソニー仙台の旗が並んでいた。今年の10月8日に、同じスタジアム、同じ大会で、J1のベガルタ仙台と延長戦までもつれ込む「仙台ダービー」の熱戦を繰り広げたチームの心は、勝ち進んだベガルタ仙台が次のステージを戦うこの日にまた、スタジアムで空気をともにしていた。
一方、対戦相手の福岡はJ1残留こそ果たせなかったものの、残されたタイトルである天皇杯を戦うためにこのスタジアムに乗りこんできた。それは東日本大震災による日程変更のために幻となっていたJリーグヤマザキナビスコカップでの対戦を、自ら勝ち上がることでまた別のカップ戦に於いて実現できたということでもある。福岡はこの日、東日本大震災で被災した宮城県の親子109名を招待し、スタジアムの空気をともにしていた。
それぞれに、強い思いがある。そして、試合が始まれば4回戦進出とその先のタイトルへの道を目指し、勝負に徹する。そんな試合で、思いをより強くプレーに反映させたのは仙台のほうだった。
「福岡のこの天皇杯にかける思いを思えば、激しいゲームを予測しよう。ただ、今度は自分達の思いを一つにしよう。このゲームも我々を高めさせてくれるゲームだ」
手倉森誠監督にそう呼びかけられてピッチに入った仙台の選手達は、福岡の守備が落ち着かないところを見ると、サイドを中心に相手の裏を取ってチャンスを量産。太田吉彰が得意の高速ドリブル突破でサイドを切り裂けば、松下年宏や高橋義希が中盤の底から糸を引くようなスルーパスを前線に通す。公式戦初先発の武藤雄樹はサイドでの1対1から相手ゴール前まで一気に進出した。
極めつけはこの日に右サイドバックに入った田村直也だった。18分にCKのチャンスで「いつもはあまりセットプレーで上がる役割ではなかったけれど、今日は上がることができたし、シュート練習もしていたので」と、チャンスを生かして先制点を決めた。さらに22分には再三チームで突いてきた相手センターバックの間が空くところを見逃さず、その前に追い越してきた武藤が後ろから送ってきたパスを蹴りこんで2点目をもぎ取った。
前半を終えた時点で、仙台と福岡の公式のシュート数は12対2。2-0で済んだのが不思議なくらいの一方的な展開だった。ここで「前半は前のプレッシャーもなく、簡単に自陣にボールを運ばれて悪いときの流れになってしまった」と反省した福岡の浅野哲也監督が直近のリーグ戦第31節(vs清水)で2点差を追いついたことの再現を狙い、「相手センターバックとボランチにプレッシャーをかけてミスを誘おう」と後半を前にチームに指示。これにより仙台は福岡に押される展開となり、サイドの裏を取るプレーが減少。右サイドの隙を突かれて岡本英也に1点を返される展開となった。
しかし「2-1のままだと最後に何が起こるかわからないので、点を決めて差を広げたかった」という中島裕希が81分にピッチに送りこまれると、なんとその直後にこの背番号13はディエゴのパスを受けて見事なミドルシュートを決めた。再び2点差に広げてからは試合運びに余裕を取り戻した仙台がこのまま逃げ切り、4回戦進出を決めた。
「自分達の勇姿を東北の皆さんに1試合でも多くお見せしたい」。手倉森監督がそう意欲を語った仙台が目指す先は、この天皇杯のタイトルである。
ピッチ上では仙台が貫禄を見せて勝利した試合だったが、強く印象を残したのはピッチ上の展開ばかりではなかった。支援の手をさしのべた福岡に対しては仙台からのコールが送られたし、この試合を観戦したソニー仙台の田端秀規監督は冒頭で紹介した旗をしっかりと見て感謝していた。冬も近い仙台でのナイトゲームということで9.5度の寒い中での試合ではあったが、温かい気持ちも強く感じられた試合だった。
以上
2011.11.17 Reported by 板垣晴朗
J’s GOALニュース
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