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【第91回天皇杯 3回戦 山形 vs 京都】レポート:宮吉、圧巻のハットトリック! スタイルを貫いた京都が2点のビハインドを跳ね返して逆転勝利! 山形は3回戦で姿を消す(11.11.17)

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11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
山形 2 - 3 京都 (19:00/NDスタ/1,849人)
得点者:7' 長谷川 悠(山形)、9' 宮沢 克行(山形)、15' 宮吉 拓実(京都)、44' 宮吉 拓実(京都)、48' 宮吉 拓実(京都)
★第91回天皇杯特集
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立ち上がりから京都のパスワークに圧されていた山形が反撃を開始したのは7分。右サイドの伊東俊にボールが付けられると、そこから山崎雅人へのパスはいったん相手に触られながらも奪い返し、ダイアゴナルなスルーパス。左サイドに思い切り絞っていた酒井隆介の外側へと持ち出した長谷川悠のコントロールはやや大きくなったが、ボールに追いついて左足を振ると、内野貴志のブロックを弾いてゴールに転がりこんだ。
さらにその2分後、今度は左サイドに開いたボランチ・佐藤健太郎から流れるようなクロスがゴール前に飛ぶ。山崎のヘディングシュートはポストに跳ね返されたが、ゴール前に詰めていた宮沢克行がコントロールされたシュートを左隅に押し込んだ。ボールサイドに寄る京都の習性を逆手に取り、ピッチを広く使って横に揺さぶる狙いどおりの攻撃。リーグ戦で最近10試合複数得点がなかった山形が、序盤にいきなり2点をリードした。

しかし、山形が抱えていた守備の問題が、それで解決されたわけではなかった。
「2失点したあと、みんな中で声かけて、前半のうちに同点にできたというのは評価してもいいかなと思いますし、2失点しても自分たちがやろうとしたサッカーをそのまま続けられたというのが一番大きかった」(中村充孝)と、リーグ戦で6連勝中の京都は怯むことなく、これまで信じてきたスタイルを続けていった。
狙ったのは主に左サイド。狭いエリアの展開に持ち込み、山形のアプローチが来るより早くパスが次から次へと渡っていく。山形の選手たちが意識をボールへと傾けていくと、その隙を突いて人が裏へ飛び出し、パスが通る。ドゥトラのクロス、中村充孝のシュートとGK植草裕樹が処理するプレーが続いたあとの15分。破られたのは中央だった。ドゥトラからパスを受けた中村充がスルーパスを入れると宮吉拓実がゴール前でコントロール。ここでアプローチに行くべきセンターバックの園田拓也が逆を取られてバランスを崩し、宮吉はしっかりと狙ってゴールマウスに流し込んだ。

このあとは、狭いエリアを突き破りたい京都と、広いサイドへ展開したい山形の攻め合い、守り合いの展開が続く。互いに、相手の守備の壁をひとつかわせばゴール前まで攻め込むチャンスにつながるだけに展開はスリリングだったが、うまくゲームを運んでいたのは京都だった。30分、ようやくパスコースを限定し始めた山形だったが、タッチラインを割ったあとのスローインは京都。32分にはタッチライン際のボールを福村貴幸が持ち運び、セルフジャッジで足を止めた山形の選手をかわして左サイド深くからのクロス。中山博貴のヘディングは植草に防がれたが、球際の厳しさ、ゴールへ道筋の確かさで上回った。

その頃には、山形の攻撃はいつものように歯車の噛み合わせがズレ始めていた。プレッシャーを受けながら自陣から蹴りだす縦のフィードは、ラフに蹴るためにフォワードも追いつけないボールとなって相手に渡るばかり。ハイボールの競り合いで長谷川がフリックオンしても、裏へ飛び出す選手がいなかった。左サイドでボールの競り合いをしている際、猛然とダッシュしてきた小林亮が奪いペナルティーエリアまで入り込んだり、長谷川が左サイドで待つ佐藤健太郎に鮮やかなサイドチェンジを決めるシーンもあったが、シュートチャンスはつくれず。逆に、積極的な山形の左サイドの裏を京都が突く。ドゥトラのグラウンダーのクロスに宮吉が中央で合わせ、ハーフタイム直前に試合を振り出しに戻してみせた。

後半も、追いついた勢いそのままに立ち上がりから京都が主導権を握る。左サイドでのフリーキックからコーナーキックが2本続き、その2本目。低い弾道で中央まで抜けてきたボールを宮吉が押し込み、逆転のゴールネットを揺らす。48分、宮吉のハットトリックで、ブレない京都がついに逆転した。

ビハインドに追い込まれた山形は、うまくプレッシャーを外すパスが出たかと思うと、そこにまたプレッシャーを受け、ところどころでいいパスが単発でつながるものの、途中でミスが出たり、足元を厳しく狙われたりと、京都のプレッシャーの網を抜け出すまでには至らない。「何回かサイドを変えられるチャンスはあったんですけど、なかなかイメージが持ててなくて、ちょっと厳しかったです。視野の部分もあると思うし、判断もあると思うんですけど、相手もすぐスピードを切り替えて早く寄せてきた」(宮本卓也)と苦戦を強いられた。66分に廣瀬智靖を投入して以降は、左サイドに移った伊東俊の仕掛けからチャンスが増え、サイドチェンジから今度は右の廣瀬も高い位置まで攻め上がった。しかし、京都のディフェンス陣も踏ん張り、逆に77分には酒井のクロスから宮吉が4点目を狙うシュートを放つなど、最後まで山形はゲームをコントロールさせてはもらえなかった。

4回戦進出を決めた京都・大木武監督に笑顔はなかった。「3点取った宮吉、チームは本当によくやったと思いますけれども、山形相手に隙があるようなゲームというか、プレーを見せてしまったような気がして、反省点が非常に多いゲームだった」。上位のカテゴリーの相手を倒したこの試合は、京都にとってけっしてアップセットではない。「天皇杯はひとつ横に置いて、リーグ戦に集中したい」(大木監督)。結果に満足することなく、内容を厳しく見つめる京都は、この先の成長に向けてがむしゃらに走り続ける勢いを有している。

「2日前のトレーニングもゲームもそんなに悪くはなくて、モチベーションも高いんですけど、90分つながっていかなくて、プツッ、プツッって切れたところで失点食らったりというのが出てる」。リーグ戦から引き続いて露呈した現象に、山形・小林伸二監督も困惑を深めている。結果が結果だけに、サポーターからの厳しい声も正面から受け止めなければならないが、いつまでも改善されず、同じ過ちで何度もつまずいているのは、問題の核心が「やる気」といった事象よりもさらに奥深いところにあるためだ。今季限りでの退任が決まった小林監督が指揮する試合は、リーグ戦の3試合を残すのみとなった。「3試合を大事にしていくということで、悔しいのをひとつでも直していったり、財産になるようにして、次のシーズンにプラスになればいいなと思います。苦しいんだけども、この3試合はやり続けるというのが大事だと思います」と懸命に前を向こうとするが、次の福岡戦までは中2日。苦行には違いない。しかし、それと対峙する覚悟を持つことでしか、次の一歩はない。

以上


2011.11.17 Reported by 佐藤円
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