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【第91回天皇杯 3回戦 名古屋 vs 北九州】レポート:結果は順当も内容面では互角に近かった一戦。勇敢に戦った北九州を1点差で振り切った名古屋が、“無事に”4回戦へ駒を進めた(11.11.17)

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11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
名古屋 1 - 0 北九州 (19:00/瑞穂陸/2,840人)
得点者:57' 小川 佳純(名古屋)
★第91回天皇杯特集
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北九州の結束力と勇敢さには、正直驚かされた。三浦泰年監督がチームに持ち込んだパスサッカーを貫き、J1で優勝争いを繰り広げるトップクラスに真っ向勝負を挑んだ。決して引くことなく、アグレッシブに前に出るスタイルからは日々の鍛錬が如実にうかがえる。機能美に満ちた組織サッカーは、急に冷え込んだ夜の瑞穂で、一際光って見えた。

12日に行われたJ2の35節から中3日でアウェイに乗り込んできた北九州は、出場停止の2選手を除く現状でのベストメンバーを揃えてきた。中盤をダイヤモンド型に配する4-4-2の看板であるMFには、大ベテラン桑原裕義を底に、左右をそれぞれ森村昂太とキャプテンの木村祐志が務め、トップ下に安田晃大が入った。エース池元友樹を出場停止で欠く2トップにはリーグ前節で途中出場から2ゴールを挙げた長身FW林祐征と、運動量のある大島康明をチョイス。攻撃的にも守備的にも傾かない、普段通りのメンバー構成でジャイアントキリングを目論んだ。

迎え撃つ名古屋は予想外とも言えるスタメンを揃えてきた。ベストメンバーの11人から、負傷の中村直志とダニルソンを除くと温存されたのは玉田圭司とケネディ、田中マルクス闘莉王のみ。守護神・楢崎正剛を始め各ラインには主力の名がズラリと並ぶ陣容からは、アップセットの可能性を排するだけでなく、J2で6位と勢いだけでない強さを見せている北九州に対する警戒心も見て取れた。布陣は金崎夢生と永井謙佑が前線を務める4-4-2でスタート。ここ数試合でコンビネーションの良さを見せている同世代コンビに、フィニッシャーとしての役割を託した。

前半はほぼ互角の戦いとなった。北九州は「相手の攻撃に対して食いつかず、引きすぎず、うまい間をとって何とか失点を許さないでゲームを進める時間帯もあった」という三浦監督の言葉通り、実にコンパクトでバランスの良い守備ブロックを敷いて名古屋に対抗した。ピッチの横幅68m×15〜20mのゾーンに8人が集まり、守備の“帯”を形成。ケネディの高さを欠く名古屋は地上戦で突破を試みたが、この守備“帯”に足を踏み入れた瞬間に2〜3人に囲まれ、たびたびボールを失った。北九州はそこからショートカウンターを仕掛け、惜しいチャンスも作ったが、突破あるいはフィニッシュの場面で精度を欠いて得点には至らず。停滞する名古屋と好機を逃す北九州という互いに決め手のない展開のまま、45分はあっという間に過ぎていった。

だが、試合は後半に一気に動いた。未知の相手に対する様子見を終えた名古屋が攻勢に出たからだ。「後半はグラウンダーのパスを意識した」と藤本淳吾が語るように、ケネディ不在でクロスが普段通りの効力を持たないと悟った名古屋は速く低いパスで北九州の守備を崩しにかかった。これで生き生きとし出したのが金崎と永井の2トップだ。もともと足元でもらいたい金崎と、スペースに走りたい永井は地を這う速いパスに次々と反応。彼らがいい形でボールを受けられるようになったことで、攻撃のリズムも次第に良くなっていった。良い攻撃は良い守備を生む。敵陣深くまで攻め入ることができれば、ボールを失った際のリスクも軽減される。さらにはつなぐことに固執する北九州は大きくクリアすることが少なく、ボールロストからすぐさま前線で守備をすることにより、高い位置でのボール奪取率が飛躍的に上がった。

そして名古屋の先制点にして決勝点が、その押せ押せの流れの中で生まれる。57分、本来は「パスをもらおうと」上がったボランチの磯村亮太が相手ボールホルダーに猛然とチェック。バックパスをカットすると、ゴール前にいた小川佳純の足元に転がり、小川がきっちり押し込んだ。前半での反省点をすぐさま修正し表現してみせるあたりは、J1王者の面目躍如といったところ。その後の指揮官の動きも実に速かった。

ストイコビッチ監督は得点直後に阿部翔平に代えて三都主アレサンドロを投入し、磯村をDFラインに組み込む3バックに布陣を変更。北九州の反撃に対して先手を打った。前半はあまり下がってこない北九州の2トップに対してセンターバック2枚の同数で対応していたところを、数的優位を保てるように布陣を改良したわけだ。この決断が奏功し、後半は前半の不出来が嘘のように名古屋がゲームを支配した。鋭く精度の高いグラウンダーパスでチャンスを作り、次々と北九州ゴールに迫る。北九州も桑原に代えて金鐘必、大島に代えてスーパーサブのレオナルドを入れるなどあくまで攻撃的姿勢を貫いたが、反撃はかなわず。名古屋もまた追加点を奪えなかったが、攻守にわたって試合を掌握し、危なげなく試合を終わらせた。

勝った名古屋の面々は、結果重視の試合だったことを強調した。「難しい試合になることはわかっていた。今日は勝てばいいと思っていた」という藤本の言葉を引用するまでもなく、天皇杯ならではの重圧に打ち勝ち、下馬評を覆させなかった安堵感は想像に難くない。
一方で北九州の監督、選手ともに自分たちのスタイルが通用したことに手応えを感じた様子で、それは負け惜しみでも誇張でもない真実だった。「選手個々のスキルと精度には明らかな差があったが、選手の特性をチームで生かすことでは我々の方が上だった」と、三浦監督は胸を張る。格上相手に自分たちのやり方が部分的であれ通用したことは、残る今季のJ2リーグ戦にも必ずや生きてくるだろう。

もちろん、勝利した名古屋にも収穫はあった。リーグ前節のC大阪戦から2週間も試合間隔が空いてしまい、鈍った実戦感覚を取り戻すことができた。選手交代によって主力の3名を早めに休ませることもでき、週末のリーグ戦への良い前哨戦となったに違いない。
「まずは大事な結果を残したので、次はリーグ戦。今はそちらのほうが重要で、元からそちらにフォーカスしている部分もありました。しっかりと調整したい」(名古屋・増川隆洋)
J2相手の“順当勝ち”で4回戦への切符を手にした名古屋は、ひとまずの安堵の後、すぐさま意識をリーグ戦へと切り替えていた。

以上


2011.11.17 Reported by 今井雄一朗
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