11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
清水 5 - 0 鳥取 (19:00/アウスタ/3,618人)
得点者:27' 岩下 敬輔(清水)、45'+3 高原 直泰(清水)、70' 杉山 浩太(清水)、79' 永井 雄一郎(清水)、81' 山本 真希(清水)
★第91回天皇杯特集
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システムも同じで、プレースタイル的にも似たもの同士。しかし、個の力という面では明らかな差がある。結果的に、その差がそのままスコアにも表われたゲームだったが、どちらにも課題と収穫があり、どちらにとっても今後に向けて価値のある1試合となった。
清水も鳥取も、システムはボランチが1枚の4-3-3。そして、パスをしっかりとつなぎ、ポゼッションしながら攻めるサッカーを志向している点も、できるだけ高い位置でボールを奪おうとしている点も共通する。同じスタイル同士が戦えば、地力で勝るチームのほうがかなり有利というのはセオリーだが、それでも鳥取は、自分たちの戦い方を変えることなく、アウェイの地で真っ向勝負を挑んだ。
当然、鳥取は立ち上がりから清水と同様にパスをつないで自分たちの流れを作ろうとする。だが、球際での1対1の強さや個々のキープ力では清水が上回るため、必然的に清水がポゼッションで上回り始める。ただし、それは鳥取としても想定済み。「ボールを奪う位置がいつもより若干低くなるが、サイドでボールを奪うという狙いを持っていた」(松田岳監督)という言葉通り、コンパクトな守備のブロックを保ちながら清水がサイドにボールを入れるのを待ち、そこから一気にプレスをかけて奪いに行く。
前半はそれがある程度はまって、清水にあまり攻めのリズムを作らせなかった。それでも危険な場面は何度かあったが、そこはGK井上敦史が好セーブを連発してゴールを死守。ただ、ボールを奪ってからのカウンターに関しては、鳥取はスピード感を欠き、今ひとつ恐さを与えられない。また、清水は危険な位置でのミスが目立ち、それで鳥取が何度かビッグチャンスを迎えたが、それを決めきる力も欠いていた。
そんな中、前半の2点は、清水が個のクオリティーを見せつけたゴールだった。先制点は27分の右CKから岩下敬輔が完璧なヘッドで流し込んだもの。単純に高さという意味でも、鳥取は180cmの選手が戸川健太1人だけなのに対して、清水は192cmのボスナーを含めて180cm超が4人。大前元紀のボールの質も素晴らしく、鳥取にとってセットプレーからの1失点はしかたない面もあった。
2点目は前半アディショナルタイム、久しぶりに右サイドバックに起用された村松大輔の素晴らしいアーリークロスから高原直泰が鮮やかなダイビングヘッドで決めたもの。これも、あまりにもスピードと精度が高く、組織力では止められないゴールだった。
この2得点で清水が楽になったのか、後半に入ると清水のパス回しがなめらかになり、逆に鳥取の守備は「後半はプレスに行くのが少し早すぎた」(服部年宏)ため、囲い込む前にサイドを変えられ、なかなかボールを奪えない状況が続いた。その展開が鳥取の選手たちの体力を奪っていき、後半の3点は、清水が打ち続けたボディブローが実った形となる。
後半25分の3点目は、村松が裏に飛び出して折り返しから枝村匠馬がシュートを放ち、GKが止めたこぼれ球を杉山浩太が押し込んだ形。これで攻めるしかなくなった鳥取が、服部を今季初めて途中交代させ、攻撃的な布陣で反撃に出たが、その後も清水がゲームを支配。鳥取の足が止まってきた中で、後半34分に永井雄一郎が4点目、36分に山本真希が5点目を決めた。
アレックスとGK山本海人を代表で、小野伸二をケガで欠いた清水は、代わりに杉山と枝村、GK碓井健平が久しぶりの先発。両サイドバックも、右・村松、左・山本真に代えて臨んだが、村松と枝村も2得点に絡み、碓井も要所を好セーブで締め、出番を得た選手がそれぞれ大活躍。とくに左サイドバックの山本真は、右サイドバックで出場したとき以上に多彩な攻撃参加を見せた。
また、今季かぎりで契約満了となる永井に対しては、サポーターも試合前から熱いコールを続け、20分あまりの出場だったが、本人も気持ちのこもったアグレッシブなプレーを披露。今季初ゴールとなった得点シーンでも、落ち着いたドリブルとシュートを見せ、ゴールが決まった後は本人以上にチームメイト全員が大喜びした。
左膝内側靱帯を痛めた小野が全治4週間と診断され、疲れがたまってきた選手も多い中で、これまでベンチスタートの多かった選手たちが結果を出したこと、また高原がケガから復帰して初めてのゴールを決めたことは、清水にとって非常に明るい材料となった。
結果的に5点差の大敗となった鳥取も、自分たちのサッカーで真っ向勝負を挑んだことは、けっして間違いではなかっただろう。付け焼き刃の小細工をしても通じる相手ではないし、ベタベタに守りを固めた末の0-1よりも、チャレンジした末の0-5のほうが未来につながる。鳥取はまだ発展途上のチームだが、全体の共通意識がよく浸透していて、「いろいろなことをしっかりと吸収して、自分たちのやれることをひとつひとつ増やしていくだけ」(松田監督)と方向性も明確。初めて彼らのプレーを見た清水サポーターにも、清々しい印象を残すチームだった。
以上
2011.11.17 Reported by 前島芳雄
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