11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
柏 6 - 1 甲府 (19:00/柏/3,950人)
得点者:10' ジョルジ ワグネル(柏)、13' 養父 雄仁(甲府)、26' 工藤 壮人(柏)、29' 北嶋 秀朗(柏)、37' 橋本 和(柏)、67' 田中 順也(柏)、80' 田中 順也(柏)
★第91回天皇杯特集
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甲府の流動的な前線のポジショニングに、「最初、相手の1トップに誰もいなかったので、戸惑った部分もありました」と大谷秀和が明かしていた通り、フレキシブル…というよりは捉えどころのないポジション取りの甲府アタッカーに対し、最初は柏のマーキングもそれに呼応してかはっきりしない面があった。2枚のボランチの間や、バイタルエリアにわずかに生じるゾーンで養父雄仁、ダヴィがボールを引き出し、彼らが空けたスペースには2列目の選手がフッと入り込む。マーキングがつかみづらいのだろうか、と気になったのも束の間。ここから柏が対応力と修正力を見せつける。前半の15分から20分過ぎになると、柏のボランチ、センターバック、サイドバックでのマークの受け渡しがスムーズとなり、中途半端なポジショニングを取る時は栗澤僚一と大谷が、高い位置に入れば近藤直也と増嶋竜也がカッチリと抑え始めていった。
甲府は伊東輝悦をアンカーに置き、守備に切り替わった際には陣形をリトリートしつつ、2列目の保坂一成か石原克哉が伊東と同じ高さまで降り、アンカー周りのスペースをケアすることで柏の攻撃、特にレアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルのプレーエリアを埋めようとする意図や、柏の外国籍選手とサイドバックが外のエリアで起点を作る際にも逆サイドが絞り、中央に密集地帯を発生させることで相手の攻撃を抑えようとした意図は十分に窺えた。だが「相手のサイドバックが上がった時に、中盤の前が絞ってそれにうまく対応ができなかった」(保坂)というように、まずサイドの攻防で単純に劣勢に回ってしまったこと、そして逆サイドのエリアで待ち受けるレアンドロへ、ワンステップでサイドを変えられるジョルジの高精度のミドルレンジパスがいとも簡単に通ってしまうことなどが影響し、ジワジワと柏の攻撃に翻弄されていった。
また、柏が前線にクサビの縦パスを入れた最初のワンプレーとツープレー、甲府の小林久晃が物凄い勢いのフィジカルコンタクトで工藤壮人にチャージを仕掛けたのだが、このプレーを見た時は、正直今日の工藤は小林のマークに苦戦するかもしれないと感じていた。ところがその点について、工藤は「こういうふうに来るんだなと感じ取れた」と振り返っている。実際に、2度のコンタクトで小林との距離間をつかんだ工藤は、その後ボールの収まりが格段に良くなり、前線でのポストプレーが効力を発揮し始める。これも個の対応力の表れと言っていいだろう。
10分の先制点と26分の2点目の場面は、そんな上記した点が発揮された主たる例だ。ジョルジの地を這うような先制弾は、酒井宏樹とレアンドロが右サイドを崩し、そのクロスを工藤がジョルジに落としたゆえに生まれたもの。26分の2点目はその逆で、左サイドでのジョルジと橋本和との連携から、北嶋秀朗のポストプレーが工藤のゴールを呼び込んだ。
13分には、甲府も右のオープンスペースへ駆け上がった吉田豊の折り返しから養父が決めて一時は同点としたものの、先述したように局面に応じる両者の修正力と対応力が次第に大きな差となっていくのだった。サイドから綻びの糸口を見つけ出し、それを中央の攻略へと波及させていく柏と、柏に急所を突かれ、広がる傷口を塞ぎ切れずに見る見る悪化させてしまう甲府。29分にはレアンドロのスルーパスからDFラインの背後へ抜け出した北嶋が決め、37分には酒井のクロスが左まで流れてところを橋本が強烈な左足ミドルでプロ入り初ゴールを挙げる。
後半になると、良いイメージを持って得点を挙げた北嶋と工藤に代えて林陵平と田中順也を投入。さらにこの後に続くリーグ戦の清水戦、C大阪戦の2試合、U−22日本代表の遠征でチームを離れる酒井の欠場に備えて、水野晃樹の右サイドバックという新オプションのテストを行う余裕すら見せた。67分と80分、ジョルジとレアンドロの高精度すぎるミドルパスから、田中が豪快な2発を決めて試合を締めた。
こうして点差に大きな開きが出てしまったのは致し方なし。もちろん甲府も勝つために日立台へと乗り込んできたであろうし、勝って週末のリーグ戦を迎えることが最も理想的なシナリオだったはず。ただ、残留争いの渦中にある甲府は中2日で迎える磐田戦がどうしても気掛かりになり、大幅にメンバーを入れ替えた。よって連携面や打開策という点で停滞、手詰まりになるのはやむを得ず。しかも柏には清水戦に向けて、リーグ戦で4連勝している「チームのリズム、調子を維持する目的」(ネルシーニョ監督)がこの試合にはあり、指揮官が「天皇杯のタイトルを取りにいく」とまで公言しているだけに、実力云々、双方のこの試合の捉え方が異なっていた点も、6−1というスコアに反映されたと見るべきである。
以上
2011.11.17 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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