11月16日(水) 第91回天皇杯 3回戦
F東京 2 - 1 神戸 (19:00/味スタ/5,937人)
得点者:13' 高橋 秀人(F東京)、37' 河本 裕之(神戸)、120'+1 森重 真人(F東京)
★第91回天皇杯特集
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劇的な結末を手繰り寄せたのは、F東京が今季積み上げてきたサッカーだった。
F東京が、J1神戸を延長戦の末に2−1で破って天皇杯16強進出を決めた。1−1で迎えた、延長後半アディショナルタイム、DF森重真人が決勝ゴールを決めて120分の激闘に終止符を打った。
神戸の和田昌裕監督は試合後、「最後は、FC東京の執念を感じた」と言う。燃料では、神戸のほうが優位だった。残留を決めた3日の山形戦から3連休を与え、この試合に調整してきた。事実、試合経過とともに、神戸以上に、F東京の選手たちの疲労の色は濃くなっていった。それでも、F東京は最後まで戦い抜いて勝利を飾った。しかし、勝因は精神的な部分のほかにもあった。
試合は13分、左CKからMF高橋秀人が頭で合わせてF東京が先制した。しかし、神戸も譲らず、DF河本裕之が37分に同点ゴールを決めて追いつく。後半は互いに決定機を作ったものの、スコアは動かず、延長戦へと突入する。
延長102分、神戸MF大屋翼がこの日、2度目の警告でピッチを離れてしまう。ゲームの分水嶺となったのは、この退場劇だった。しかし、それは、この直後のF東京の選手たちが取った行動によって決まった。数的優位を生かして攻めきりたいF東京が選択したのは、ボールをどんどん前に動かすことではなく、繋ぐことだった。成長の証しは、得てして追い込まれた状況下で表れるのかもしれない。選手たちは、繋ぐことが勝利に向けて最も確率が高いと選択した。
最終ラインからポジションを改めて取り直して、ボールの保持率を確保した。それは、正しい選択だった。神戸は、しっかりとした守備からのカウンターを得意とするチームだ。この試合でも、勝負どころだと判断した時は、ギアを入れ替えて複数の選手が前線へと押し寄せてきていた。不用意なボールロストを続けていけば、たとえ数的優位な状況でも違う結果になってもおかしくなかった。チームの意思決定権を下すセンターバックの2人は次のようにゲームを述懐した。
DF徳永悠平が「相手が1人退場して数的優位になってから、我慢してパスを回して、最後のセットプレーに繋げることができた」と語れば、森重は「僕たちは、カウンターを受けないボール回しを求めている」と続いた。
延長後半は数的優位を生かしてボールを繋いで8本のシュートを放つ一方で、神戸のシュートを1本に抑えた。このゲームの勝因は、紛れもなくF東京が今季続けてきた繋ぐサッカーを最後の最後に信じた結果だ。
森重が、延長後半アディショナルタイムに左CKをファーサイドで合わせると、ゴールラインを割って選手全員が喜びを爆発させた。パスを繋ぐためには、ピッチ上の11人がボールに関与しなければ始まらない。だからこそ、選手全員で喜べる。パスを繋ぐことは、選手全員が繋がらなければいけない。その意味をこの勝利で改めて知ったはずだ。
神戸は、やはりJ1のチームだった。J2との違いに気づかされる場面に何度も出くわした。まず、そのプレータイムの長さが違っていた。ボールがピッチ上を動いている時間が明らかに長いと感じた。相手のミスが少なく、それによって取り返すためのファールも少ない。攻撃のスイッチの入れどころも心得ていた。カウンターを売りにするチームは、J2でも多くあるが、やはりその迫力は別物だ。競り勝つことはできたが、90分間では攻めあっての1−1。シュート数もF東京が上回ってはいるが、90分の中では15本も打たせてしまった。神戸のような相手に、より確実に勝点を積み上げていくためにはさらに質の高いパス回しが求められる。J1に“強くなって”戻るためには、まだまだやるべきことが多く残されている。
勝利の余韻に浸りながらも、彼らは一つの事実に気づく。その手の中にはまだ何もない。F東京は19日、鳥取には何かを掴み取りに行く。
以上
2011.11.17 Reported by 馬場康平
J’s GOALニュース
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