天皇杯3回戦でG大阪を延長戦の末、3対2で下して“大金星”を挙げた水戸。クラブ史上初となるJ1撃破し、水戸の歴史に新たなページを刻むこととなりました。
2度のビハインドを追いつき、そして延長戦で勝ち越すという劇的な勝利となったわけですが、水戸に戻ってきてから新たに取材すると、勝利の裏にさまざまな(笑える?)エピソードがあったことが分かったので、紹介したいと思います。
まずは試合前、選手たちが感動したのは万博競技場の芝でした。「まるで絨毯でしたよ。一歩入っただけで今までやってきたグラウンドと違うのが分かりましたね」と小澤司は目を輝かせて語りました。チームに帯同した吉原宏太はウォーミングアップを見てこう思ったそうです。「いい芝だから、水戸の選手たちがいつもよりうまく見えました(笑)」。
試合がはじまると、緊張の連続。失点しては追いつくという繰り返し、一進一退の攻防のまま試合終盤を迎えました。そんな緊張感を一瞬和らげたのが、ベンチにいた常盤聡でした。90+1分、水戸は足をつった西岡謙太を下げて、代健司を投入しようとしました。西岡を下げるため、第4の審判員は西岡の背番号6の電子ボードを掲げました。それを見た常盤が「アディショナルタイムが6分もあるぞ!」と叫んだのです。「いやいや、違うから」と周りからツッコミが入ったのは言うまでもありません。かわいい天然ボケがチームを和ませたのでした。
そして、99分、伝説のシーンが訪れます。左サイド島田祐輝からのクロスをゴール前に走り込んだ小池純輝が頭で合わせてついに勝ち越し点を決めることに成功したのです。歓喜に沸くベンチ。しかし、ゴールを決めた小池はまったく喜びを見せませんでした。「一瞬オフサイドなのかなと思って喜べなかったんです」と振り返ります。しかし、柱谷哲二監督はそうは思っていないようです。「疲れて喜べなかったんですよ」。その後、早くキックオフをしようとGKが投げたボールが当たっても淡々と自陣に戻っていった小池を見て、「勝ち越し点を決めて喜ばない選手を僕ははじめて見ましたよ。おそらく吐きそうだったんじゃないかな」と柱谷監督は苦笑い。小池は極限まで走っていたということ。それでゴールを決めたのだから、天晴です。
そんな柱谷監督も“らしい”ところを見せてくれました。延長後半の終盤、G大阪がパワープレーをしかけて攻め込んできました。その際、前半から走りまわっていた小澤が足をつってしまったのです。なんとか立とうとしても、なかなか立てない。結局、担架でピッチの外に運ばれたのです。そんな小澤に対して、柱谷監督は「何やってんだ!早く戻れ!」と鬼の檄を飛ばし、トレーナーに対しても「早く治してやれ!」と怒鳴ったのです。これぞ、闘将!ギリギリの勝負を勝つための“本気度”が伝わってきます。ちなみに小澤は闘将の気迫に気圧され、「よく分からずに『すみません、すみません』ってとにかく謝っていた」とのこと。その後、すぐにピッチに戻って最後まで走り続けました。
そして、待望の瞬間がやってきました。120分の激闘の末、水戸が3対2でG大阪を下したのです。しかし、“事件”はそれだけではありませんでした。試合前日から事件は起きていたのです。
試合前日、東京駅から新幹線に乗って新大阪に移動しようとしていたところ、ある選手3人(名誉のため名前は伏せておきます)がなんとホームを間違え、乗り遅れることとなってしまったのです。結局、1本後の新幹線に乗って、新大阪に向かったそうです。
まあ、本当にいろんなことがあった大阪遠征。試合に勝った今となっては、すべてが笑い話。このほほえましさも水戸の魅力なんでしょうね。これからも新たな歴史を作りながら、たくさんの逸話を残していってもらいたいなと思います。
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2011.11.18 Reported by 佐藤拓也













