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【J2:第36節 熊本 vs 横浜FC】プレビュー:連敗中の熊本が、13試合ぶりの勝利を挙げた横浜FCを迎える。いずれも昇格の夢は断たれたが、誇りをかけて臨む一戦であることに変わりはない。(11.11.20)

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11月20日(日)J2 第36節 熊本 vs 横浜FC(16:00KICK OFF/熊本チケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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「あと3つ、バラバラにならないで1つになってやっていけたらと思います」
前節の北九州戦後、失点場面に絡んだ悔しさをにじませながら、廣井友信はそう口にした。今季の目標に掲げていた昇格の可能性は消え、開幕当初のモチベーションを保つ事は難しい時期である。3連敗という状況にあってもチームの雰囲気は決して悪くないが、選手それぞれが抱く思いには微妙な差もあろう。廣井の言葉には、このシーズン特有のそうした事情が含まれているが、それでも、このメンバーでサッカーができるのはあと3試合。幸い、今節を含めてホームゲームが2試合、最終節はアウェイだが鳥栖で、地元のサポーターに戦いぶりを見せる機会は残されている。

木曜までの好天から一転、冷たい雨が降った18日の練習後、この日27歳の誕生日を迎えた市村篤司は「このまま終わるわけにはいかない」と話した。札幌から熊本に来て、はや7年が経つ。毎年避けては通れないチーム内の競争に生き残って今があるわけだが、一方で多くの同志を見送ってきたからこそ、その思いはいっそう強いかもしれない。そして続けた。「今シーズンは、ホームでもふがいない試合が少なくなかった。昇格の可能性はなくなったけど、そんな中でも応援してくれたサポーターに、しっかり戦っているところを見せないといけない」。それはピッチに立つ11人だけでなく、ベンチに座る7人、さらには共にトレーニングを積んできたメンバーも含め、2011シーズンの熊本に名前を連ねた全員で見せなくてはならないものだ。

とは言え、迎える横浜FCも難敵である。前節の神奈川ダービーでは、先制して逆転されながらも終盤の2得点で湘南をくだし、13試合ぶりの勝利を挙げた。熊本は過去4勝3分2敗と勝ち越しており、今シーズン前期の対戦でも2-1と勝っているものの、「映像を見ても、前回対戦した時よりも良くなってる」(武富孝介)、「まとまって戦わないとやられる」(原田拓)との声も聞かれる通り、能力の高い選手が揃う。12戦未勝利という苦しい状況を抜けたことでおそらく、チームに勢いが生まれたのと同時に、「いい意味で力が抜けた状態で乗り込んでくる」(根占真伍)ことも想像に容易い。

そうした意味で熊本は、まず守備において相手を自由にプレーさせない事がポイントの1つとなるだろう。前節の失点場面では、1点目なら中盤での奪い合いとアシストとなったクロスへの寄せ、2点目もFKを与えざるを得なかった対応やリスタート時のアラートなど、シュートに至る前の段階で失点につながるリスクを少しずつでも消していける部分はあった。横浜FCも前線には難波宏明、藤田祥史、カイオら個でも仕事のできるタレントが揃っているため、そこに効果的なボールを入れさせない事が肝要だろう。特にボランチの寺田紳一、前節決勝ゴールを決めた野崎陽介ら中盤に警戒が必要で、古巣との対戦となる根占は「攻撃から守備に切り替わった時の距離感が大事」と話す。実際、18日の練習でもそうした部分を意図した守備の対応を確認していた。

しかしながら今シーズンのここまでを振り返れば、守備面でのポイントはベースとしておさえた上で、得点が必要な事は明らか。北九州戦から2日間のオフを挟んだ今週のトレーニングでは、これまで同様に攻撃面に重きが置かれた。ただ、前節もそうした場面が少なくなかったように、つなぐこと、崩す事を意識するあまり、最終目的であるゴールへの意識が希薄になっては意味がない。例えばサイドの深い位置、コーナーフラッグ付近でポイントを作るという設定で行ったメニューの途中でも、高木琢也監督は「ゴールにチャレンジしろ」ということをしきりに口にしている。

いずれにしても、ピッチでプレーするのは選手たち自身だ。もちろん的確な判断に基づいて、という条件付きではあるにせよ、トレーニングで取り組んだことに固執せず、よりリスクを回避できる、あるいは得点のチャンスを膨らませる選択肢があれば、積極的かつ自主的に、それをプレーで表現する勇気を持っていい。それが1人1人の躍動感を生み、ひいてはチームのダイナミズムや意外性のある展開にもつながる。

少しでも上の順位を実現するためには、勝利が必要なのは言うまでもない。だがそれ以前に選手たちに求めたいのは、今シーズンも何度かゴール裏に掲げられた横断幕にあったメッセージ――『Enjoy Football together』という姿勢。ホームのサポーターが見たいのは、「しっかり戦う」だけでなく、生き生きと、楽しんでプレーする彼らの姿、ではないかと思う。

以上


2011.11.19 Reported by 井芹貴志
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