今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第36節 鳥栖 vs 北九州】北九州側プレビュー:J1名古屋との対戦で得た自信を昇格候補の鳥栖にぶつけ、北九州の成長を確かなものにする。(11.11.20)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
11月20日(日)J2 第36節 鳥栖 vs 北九州(13:00KICK OFF/ベアスタチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
スカパー!生中継 Ch182 後00:50〜
☆totoリーグ第4ターン開催中!
J2シーズン表彰 投票受付中!!
----------
「バトル オブ 九州」特集ページ

鳥栖側プレビューはこちら

鳥栖戦のプレビューに入る前に、11月16日に行われた天皇杯3回戦について触れたい。平日の夜間に敵地で行われた試合であり、テレビ中継もなかったため多くの方がスコアでしか知り得なかったと思う。――スコアはいつもすべてを説明しない。敗れた試合はそう言うにふさわしい内容だった。北九州がJ1チームから何を得たのか。まずはそこにフォーカスする。

北九州は名古屋市の瑞穂陸上競技場で行われた天皇杯3回戦で、J1名古屋と対戦した。リーグ戦終盤戦の難しい時期に行われた天皇杯はいくつかの番狂わせを起こさせたが、北九州は結果だけでみれば0−1で敗退。しかしゲームはスコア以上に名古屋にとって苦しい、北九州にとっては勝つ可能性を残した内容となり、名古屋・ストイコビッチ監督も短い会見の中に「北九州のプレーには驚かされた。三浦監督はしっかりと準備をして我々に向かってきた」とリスペクトを忘れなかった。

J1で首位争いをするチームに善戦した経験は、北九州にさまざまな効果を及ぼした。

ひとつは高いレベルと対戦することで得られた"精度の違い"への修正意欲。「得点するチャンスはあったので、最後のところでもっと精度上げていかないと」とはDF宮本亨の言葉だが、この精度については三浦泰年監督もFW大島康明も同様にコメントしていた。精度は組織的なサッカーで修正が効くものではない。J2との戦いだけでは見えてこない明白な差を埋めるための個人個人のレベルアップに思いを新たにし、帰北後の練習ではより意欲的に取り組む選手たちの姿を見ることができた。

もうひとつは、確かな自信だ。名古屋も週末にリーグ戦を控えているが、大きくはメンバーを落とさずサイドチェンジやサイドアタックを絡めながら攻撃を組み立てきた。守備でもJ2とは違うピンポイントのチェックが効いていたが、「ポゼッションもできていたし、危険なところにも運べていた」と大島が話すように北九州のサッカーも十分に脅威になっていた。相手が得られた得点も北九州のミスからの1点のみで、北九州が攻守に手応えを得たのは言うまでもない。
「負けたらまたすぐに次の試合がやりたくなるので、ここで切り替えて鳥栖戦に臨みたい」(大島)。手応えの敗戦は、勝利を目指す強い動機に変化している。

さて。前置きというか、振り返りが長くなってしまったが、いよいよリーグ戦は残り3戦。北九州はまず、悲願のJ1昇格を目前にしている鳥栖と対戦する。仮にこの試合で鳥栖が勝ったとしても昇格が決まることはないが、3位徳島、4位札幌との圧倒的な得失点差を考えると、勝利を献上することは即ち"事実上の昇格決定"を後押しすることに他ならない。いち個人の心情としては(というかそれは多くの北九州関係者の心の声かもしれないが)、九州からJ1の灯を消すわけにはいかないものの、それを決定づけるのを北九州の目の前でしてほしくはないといったところだ。

そんな複雑な心の内を吐露しつつ、北九州を見てみれば、今季目標としていた勝点56まであと2つ。「向こうは昇格がかかっているが、自分たちも目標が掛かっている。絶対に負けたくない」と宮本が話すように、北九州が置かれた状況もまた、名古屋戦から得られたモチベーションをさらに高めている。もう少し言えば、残り3戦を勝ち続けることで3位以内の可能性もまだ残っているほか、この6位以内をキープすることでも、来季や、J1昇格を目指そうとするホームタウンにとっても、大きなインパクトに与えることになるだろう。

(今節の試合に関する前置きも長くなってしまった。本稿を書いている私もまた気合いがめらめらと燃えているということであろう・・・)

冷静に試合をプレビューしていくと、カギとなるはやはり鳥栖のゴールゲッター・豊田陽平対策となる。確実に決定力が向上している豊田への供給を絶つことがまずは求められるが、出場停止から帰ってくるDF福井諒司は「豊田ひとりではない。周りの動き出しも速い」と警戒。パサーとしても2列目からの飛び出しを狙うアタッカーしても手強い早坂良太をはじめ、金民友やキム ビョンスクを自由にさせることはできない。

ただ鳥栖を前に引きつけることができれば、その背後は必ず空いてくる。
「名古屋でされて嫌だったことを、今度は自分たちがしたい」とはMF木村祐志。相手をおびき寄せるような揺さぶりを掛けてスペースを広げ、長めのフィードや、あるいはショートカウンターで攻撃を組み立てるしたたかさも出していきたい。じわりと効いていくだろう。
次に大事になってくるのはゴール近くまで運んだあとのアイデア。シンプルな攻撃と、少しひねった仕掛けの両オプションは常に持っていたい。シンプルな攻撃としては、前節・熊本戦で関光博のクロスに林祐征がぴたりと合わせたようなスピーディーな展開は、呂 成海(ヨ ソンヘ)の出場停止で最終ラインの顔ぶれを変えざるを得ない鳥栖には有効であろう。また北九州にとってはドリブルでキープしながら様々な攻撃の選択肢を繰り出せる池元友樹の復帰も大きい。シンプルかつ複雑。そんな攻撃の幅が出せるか。この点も注目していきたい。

FW大島は名古屋戦が終わったあと、「勝者のメンタリティというか、しっかり勝つ、細かい部分かもしれないが、そういう部分」で差があったと話した。
スコアは試合内容を物語らないが、それはどんなレポートや戦評よりもはっきりと、"しっかり勝った"ということを示す。ゲームの主導権をどちらが握ろうと、しっかり勝つ。たくさんの言葉を並べてしまったが、一言でまとめれば、今度は北九州が体現する番である。

以上

2011.11.19 Reported by 上田真之介
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着