11月26日(土) 2011 J1リーグ戦 第33節
名古屋 3 - 0 山形 (14:02/豊田ス/26,481人)
得点者:7' ケネディ(名古屋)、39' 田中マルクス闘莉王(名古屋)、45'+2 田中マルクス闘莉王(名古屋)
スカパー!再放送 Ch182 11/28(月)後00:30〜
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これぞまさしく伝家の宝刀だ。逆転優勝へ絶対に勝利が欲しい名古屋が、セットプレーだけで最下位の山形を一蹴。C大阪と引き分けた首位・柏に、ついに勝点差1まで詰め寄った。負ければ柏の優勝が決まるかもしれないというプレッシャーも何のその、順位表通りの実力差をきっちり見せつけてた。
とにかく勝って最終節に望みをつなぎたい名古屋はもちろんベストの11人をピッチに送り込んできた。布陣は中村直志とダニルソンを中盤の底に並べる4−2−3−1。トップ下は玉田圭司が務め、右サイドが藤本淳吾、左サイドには小川佳純が、利き足とは逆のサイドにそれぞれ陣取った。
対する山形だが、負傷欠場が続く左サイドバックの石川竜也に加え、この日は後半戦の主戦GK清水健太がベンチスタート。前田和哉が出場停止から戻ってきたDFラインに手を加え、上位との対戦に備えてきた。
キックオフから試合を支配したのは、やはり名古屋だった。激しいプレッシングで山形の自由を奪い、次々と前線へ進出していく。6分にはダニルソンの突破から藤本が決定的なシュートを放つもDFがブロック。しかしこれで得たCKから、先制点が生まれた。左からのCKのキッカーは小川。ニアサイドへの速いボールを、回り込むようにしてマーカーを振り切ったケネディがGKの前で合わせて叩き込んだ。ケネディはこれで今季通算19得点となり、得点ランク2位の甲府・ハーフナーとの差を2得点に広げた。「ケネディに対応するためCKのマークを工夫した」(山形・小林伸二監督)にもかかわらず、ヘディングした際のケネディの状態はフリー。練習の成果を見せることができなかった山形は、ここからさらなる劣勢にさらされていくことになる。
カウンター一辺倒の山形に対し、名古屋はあらゆる角度から攻撃を仕掛けた。サイド攻撃、中央突破、前線のプレスからのショートカウンター。しかしどれもあと一歩のところで決定機に結びつかず、支配率とは裏腹にシュート数は伸びていかない。それでも39分、敵陣中央やや遠めからのFKを得ると、これが2点目につながった。今度のキッカーは藤本。スピードはもちろんのこと、合わせるポイントへ鋭く落ちていくボールをDFと競り合う田中マルクス闘莉王の頭へピタリと合わせた。その精度はまさにピンポイント。「良いボールが来たので、あとは(頭で)こするだけだった」と闘莉王も証言している。
前半で2失点を喫した山形だが、少し戦術に縛られた嫌いもある。前半終了間際には、ビルドアップをしようとパスを受けた闘莉王が、ボールを取りに来ない山形を見て自陣ペナルティエリア前で座り込むパフォーマンスを見せた。それでも取りに来ないのを見ると、楢崎と細かいパスの交換を始める。そこでやっと前に出てきた山形を見て、ようやく通常のパス回しを展開し始めたのだが、負けている山形にはもう少し勝利への執念をみせてほしかった。山崎は「チーム全員で引いて守るというのがあったんで、3点取られて前からボール取りに行きたかったけど我慢した。チームとしてやるようにしました」と語ったが、見ている方からすれば無気力のようにも映った。
そして前半終了間際の45+2分、試合を決定づける3点目が名古屋にもたらされた。またもセットプレーからの展開を決めたのは闘莉王、そしてキッカーは藤本だった。敵陣に入って10mほどの右サイドの位置で得たFKを、今度はファーサイドへストレートのボールで送る。山形DFがクリアできずにカブったところで冷静に胸トラップで前に持ち出し、飛び出してくるGKの脇の下を突く技ありのシュートを、DFの闘莉王が決めた。「あれはうまい」と相棒の増川隆洋が絶賛するFW顔負けのシュートは、闘莉王の今季6点目。前半のうちに先制、中押し、ダメ押しとバランスよく加点した名古屋は、終わってみれば45分間で勝負を決定づけていたことになった。
後半はさらなる名古屋ペース。開始15分で勝利を確信したストイコビッチ監督は、累積警告への予防線として、まず累積3枚の左右のサイドバックをベンチに下げた。交代出場したのは三都主アレサンドロと金崎夢生。三都主は阿部の位置にそのまま入ったが、金崎はサイドハーフに入り、右サイドバックには小川がコンバートされた。67分には同じく累積3枚の増川を千代反田と入れ替え、交代は終了。チームには他にも小川や藤本が累積3枚だったが、もしもの時の考えとして、最終節でベストのDFラインが組めないことの方を憂慮したのだろう。その後の小川と藤本は、厳しくいく場面と抑える場面をきっちり判断し、バランスの良いプレーで残り時間をやり過ごしていた。試合はそのまま3−0で終了。勝利し、出場停止選手を出さず、負傷者も出さなかった。この試合に求められることを過不足なく消化した名古屋は、盤石の体制で次週の決戦に臨めることになった。
この試合の名古屋でひとつ気になる点があれば、流れの中で得点を奪えなかったことだろう。山形を終始コントロールし、圧倒したにもかかわらず、3得点はすべてセットプレー。闘莉王は「3点すべてセットプレーだとさっき気づいたけど、勝てばいい」と言ったが、「勝てばいい」という言葉の裏には不満も隠されている。それを明言したのは玉田だ。トップ下として攻撃をけん引しきれなかった反省も含め、厳しい言葉を投げかける。「やっぱり一番の武器がセットプレーじゃ面白くない。それと同じくらい流れの中でも決められるようにしないと、自分のような選手は活きない。それは俺にとっての課題だとも思う」。セットプレーという伝家の宝刀を持つのは、接戦やどうしても勝ちが欲しい時には非常に有効だ。しかしそれだけでは観客を楽しませることはできない。名古屋はそういった葛藤を抱えてもいるのである。
ともあれ、次節は相手の状況次第では引き分けでも優勝できるなど、連覇の可能性は今節よりも高まった。アウェイの新潟は現体制下での最後の鬼門だが、これまで数々の鬼門やジンクスを乗り越えてきたストイコビッチ監督のチームである。記録は破るためにある、を地で行く名古屋は、気負わず、意識し過ぎず、1週間の準備に入った。
以上
2011.11.27 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第33節 名古屋 vs 山形】レポート:セットプレー3発で効率よく加点した名古屋が最下位・山形を下す。首位に肉薄する貴重な勝利は、次週の決戦への何よりの弾みとなった。(11.11.27)
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