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【J2:第37節 栃木 vs 大分】レポート:晩秋のグリスタに響いた「県民の歌」。大分に前回のリベンジを果たし、栃木はホームで3カ月ぶりに勝利を飾り、異常事態に終止符を打った。(11.11.27)

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11月26日(土) 2011 J2リーグ戦 第37節
栃木 2 - 1 大分 (17:33/栃木グ/4,614人)
得点者:54' 森島康仁(大分)、62' 赤井秀行(栃木)、68' リカルドロボ(栃木)
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8月21日にF東京を蹴散らして以来、3カ月もホームゲームで勝利を挙げられなかった異常事態に、栃木はホーム最終戦で終止符を打った。それも、「千両役者」と松田浩監督が称えた、エースのリカルド・ロボの決勝弾での逆転勝利で。今季のホームゲームはこの上ない劇的な勝利で幕を閉じた。
「試合前から気持ちが入っていたし、勝ちにこだわろうと話していた。正直、今日までホームで試合をするのが辛かったし、負けるたびに辛い思いをして来た。その思いを皆が体で表現できたし、結果を残せたので嬉しかった」
グリスタで辛酸を舐めた日々の苦悩を渡部博文は赤裸々に語った。9月のホーム3連戦では下位チームを相手に3連敗を喫し、10月にも昇格を懸けたライバルとのホーム3連戦でサポーターの期待を裏切り続けた。選手はハードワークを惜しまず、サポーターも声の限り背中を押した。しかし、結果には恵まれなかった。本気でJ1を目指していたからこそ、互いの思いが衝突したこともあった。それでも、勝点3を目指すことを諦めなかった。だからこそ、最後の最後に今季何度も苦しんできた「0‐1」の呪縛を解くことが出来た。

白い息を吐き、右に左に揺れ、サポーターと選手は声と思いを重ねた。晩秋のグリスタに響いた「県民の歌」。何度歌っても、何度聞いても飽きることはない。渡部は微笑みながら、こう言った。「久々に歌えて気持ち良かった」。勝利を追求した皆の思いは形になった。

ロングボールを有効活用しながら相手3バックに圧力を掛け続けた栃木に対し、大分は攻め残った森島康仁と前田俊介を活かしきるプランで対抗。両者とも意図した攻撃を実行するシーンが見られたものの、決定的なシュートがクロスバーに弾かれる不運も重なり、前半をスコアレスで折り返す。

試合が動いたのは53分。CKをニアサイドで森島が頭で叩いて大分が先制点を奪う。CKからニアサイドを、「狙っていた」と田坂和昭監督。栃木は天皇杯3回戦の横浜FM戦でも大黒将志にニアサイドで決められ、リーグ戦でも東京Vの阿部拓馬に2ゴールを許している。「どう改善するのかが大事になる」とGK鈴木智幸が言うように、セットプレーの対応は今後の課題となる。常に先手を取るポジショニングを心掛け、綻びを修繕していきたい。

リードした大分だが、ゴールが勢いを生むどころか、「逆に取った方が焦ってしまう」(田坂監督)悪癖が出てしまう。流れを掴み損ね、セカンドボールワークで後手を踏んだ大分を尻目に、栃木は62分にCKから赤井秀行の華麗なバックヘッドで同点に追い付く。その後は、「ひとつのプレーで相手に勢いが行ってしまった」と永芳卓磨が悔やんだように一方的な栃木ペースに。次々とゴールに迫り、クライマックスは68分に訪れた。ルーズボールを拾ったロボがサビアとのパス交換から真骨頂であるゴール前の強さを発揮し、異次元のボレーシュートを突き刺した。前節の水戸戦で先発落ちした鬱憤を晴らした難易度の高いゴールにも、「経験から自分のポジショニングとゴールの位置は分かっていた。ゴールとしては難しくなかった」と、さらりと言ってのけた。前回対戦で喫した今季初黒星の借りを返し、栃木は大分へのリベンジに成功した。

ここ数試合は先行される展開が多かった大分だけに、前半を無失点で乗り切り、後半に先制したところまでは収穫だったと言える。一方で、先制点を勝点3に結び付けられなかったのは反省点。「うちはまだまだやらなければいけないことがある」と田坂監督。ルーキー監督と若い選手達は成長する過程で不可欠な痛みを味わっている。その経験を無駄にしてはいけない。目標である二桁得点を達成した森島は、「最終戦でも点を取って、今年最後の試合を勝って締めくくりたい」。課題を来季に持ち越すか、それとも今季でクリアにするか。若いチームにとって、その差は大きい。来季、飛躍を果たすために、課題を克服して有終の美を飾りたい。

同一カード2連敗を避け、後半戦では初の連勝。勝因をGK鈴木智は「前半0に抑えたのが大きい。水戸戦の戦い方が継続できた」と話し、「栃木らしく我慢強く、泥臭く、皆が本当に意思統一できた」と渡部が付け加えた。パウリーニョが負傷離脱してから団結力と一体感を武器に戦ってきたが、相手を凌ぐほどの気持ちを見せることは出来なかった。だが、ここにきてようやく栃木本来の戦い方が出来るようになってきた。メンバーが入れ替わる来季、そしてその後も栃木が栃木であるために必要不可欠な物は未来永劫変わらない。大分戦で高めた来季への期待値をさらに高めるためにも、今季最終戦となる草津との「北関東ダービー」も勝つだけだ。ひとつでも上の順位でフィニッシュするために、次節も栃木は泥臭く、我慢強く戦い、勝点3を掴み取る。

以上

2011.11.27 Reported by 大塚秀毅
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