スカパー!生中継 Ch181 後00:20〜
☆totoリーグ第4ターン開催中!
★J2シーズン表彰 投票受付中!!
----------
鳥栖との決戦に敗れ、その鳥栖の事実上の昇格内定を眼前で見せつけられた上に昇格圏からの脱落という苦境までも突き付けられた前節の徳島。それ故、試合後にはホーム最終戦セレモニーが執り行われたが、ピッチに並んだ選手たちは茫然自失の表情で誰もが虚ろな視線をあてもなく泳がせていた。ただ、そうした結果を招いたのは他でもない自分たちの戦いだ。のしかかるプレッシャーに圧されて過度の気負いを発生させてしまい、いつも通りの自分たちのサッカーが不可欠と十分にわかっていながらそれを全く見失ってしまったのだから。
しかし幸いにも前節はシーズン最終戦でなかった。「神様があと1試合残してくれた」と美濃部直彦監督は表現していたが、最後にもう一度だけ運命を切り開くチャンスが残されている。チームは迎えるこのシーズン最終戦に全てを賭け、自分たちのため、また徳島ヴォルティスを愛し支える人たちのためにも必ず残り1つの昇格枠をもぎ取らなくては。
だからといって特別な気持ちを強め過ぎては前節と同じ轍を踏んでしまう。再び冷静な判断やプレー精度をなくして負のスパイラルへ落ちてしまうと言えよう。そのため問われるのはやはり、平常心を保ちながら積み上げてきた自分たちのサッカーができるかどうか。改めてではあるが、それに尽きる。
そこで、それを実践するために最も重要となってくるのはゲームへの入り方だろう。前節の序盤のように自らミスを続発させるようではメンタル面に波が立ち、自分たちらしさを出すのが難しくなる。丁寧にしようと意識し過ぎることが萎縮に繋がってはマズいが、それでも立ち上がりはしっかりした正確なプレーを優先させ、チームとしてまずゲームに足を根付かせなくてはならない。また大量得点での勝利が欲しい(同勝点の3位・札幌に得失点差2つ離されているため)とは言え、最初から攻めに掛かり過ぎることも入り方としてはきっとノー。もちろん開始すぐから前への迫力を出すことは必要だし、実際対する岡山に早めの先制パンチを決めたいところではあるものの、勝ちたい気持ちだけに任せたそれは非常に危険だ。前節食らったカウンターからの1失点目がその怖さを如実に物語っていたと思うが、選手たちには確かなリスクマネジメントを敷いた落ち着きある入りが求められる。
いずれにしても、この運命の一戦を戦う上で徳島に何より必要なものは、積極性と冷静さをバランスよく使い分けながらのスタートであるはず。それが実践できたならチームは本来の組織的攻守を安定感よく発揮し、自分たちのサッカーを展開して数多いチャンスを作る戦いができるに違いない。
それともうひとつ、迎える90分はベンチワークも大きなポイントとなろう。
今さら説明するまでもないだろうが、徳島がJ1昇格を内定させる条件は同時刻開催される札幌のゲームの状況によって変化する。求められるものが大量得点での勝利なのか、スコアは関係なく勝利という結果なのか、1つでもの勝点獲得なのか、札幌の動向によって変わってくるのだ。となれば、リアルタイムでその情報を取りながらベンチがどうチームを動かすかは間違いなく結末に関わってくる部分。当然どのような状況になっても受けに回らない姿勢をチームに貫かせることは大前提ながら、「ここまで来れば一番大事なのは目指すものを手にすること(美濃部直彦監督)」と考えれば、得点を重ねるためのシステム変更や手堅く戦いを進めるための選手起用などを迅速な判断で的確に行わなくてはならない。就任4年目、その集大成とも言える戦いで美濃部監督の振るうタクトには選手たちのパフォーマンス同様クラブの未来が懸かっている。
最後に、今季ここまでの昇格争いを客観的な目で振り返ると、徳島は勝負の神様に気に入られていたように思う。単なる偶然と言ってしまえばそれまでだが、勝点を挙げられず足踏みした時には何故かライバルたちも同じような状態に陥ったし、特にこうして最後の椅子を争うこととなった札幌に対してはこれまで三度も彼らを突き放すチャンスを与えてもらった。1度目は7節(10/26 /jsgoal_archive/game/2011/20110200030820111026.html )の直接対決時で、それに臨む札幌は3連敗中と不調、2度目は34節・四国ダービー(11/6 /jsgoal_archive/game/2011/20110200030720111106.html )の時で先の時間帯に札幌は敗戦、そして3度目は36節の札幌敗戦により得た勝点差3を持って臨んだ前節( /jsgoal_archive/game/2011/20110200030420111127.html )で、勝てばかなりの重圧を札幌へ掛けられるシチュエーションであった。が、どの時も徳島はそれを活かせず…。せっかくの神様の力添えを無にしてしまったのである。
しかし、それでも神様は最後にもう1試合のチャンスを残してくれたのだ。チームは今度こそ自らの力でそれを活かさなければならない。
以上
2011.12.01 Reported by 松下英樹













