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【J2:第38節 東京V vs 湘南】レポート:それぞれの思いこもった“熱”のある好ゲーム。互いに出せる力を出しつくした末の納得ドロー。(11.12.04)

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12月3日(土) 2011 J2リーグ戦 第38節
東京V 2 - 2 湘南 (12:34/味スタ/3,929人)
得点者:36' 田原豊(湘南)、39' 河野広貴(東京V)、73' 飯尾一慶(東京V)、90'+3 ルーカス(湘南)
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両チーム2点ずつ挙げた4つのゴールそれぞれから、伝わってくるものが確かにあった。ホーム最終戦となる東京Vからは「サポーターへの感謝とヴェルディ愛」。湘南からは「絶対に勝つ」。どのゴールシーンも、そんな思いを実に雄弁に語っていたのではないだろうか。

朝から降り続いていた激しい雨の影響でピッチは水溜り状態だった。蹴っても蹴ってもボールが前に進まない、「サッカーにならない」(田原豊:湘南)難しい条件から、東京Vは細かくつなぐ本来のサッカーを素早く諦め、長めのボールを相手の背後に落として入れ、プレーエリアを前めに置く、「雨用」(川勝良一監督)の戦い方へと切り替えて入る。とはいえ、両チーム多くの選手がボールコントロールに苦戦するなか、飯尾一慶と河野広貴だけは、水の影響をほとんど感じさせない長けたテクニックで球を操り、ミスなくパスを交換し、攻め込んでいた。そして、この育成組織から高いレベルでスキルを磨いてきた、ヴェルディの生え抜き選手らしい特長を持つ二人が挙げた、東京Vの2ゴールだった。

今季のチームの特徴として、先制されるとたちまち勝率が下がるという部分があったが、この日は違った。前半36分、田原豊のヘディングで先制を許した3分後、飯尾が「ヘディングも競り勝てるから」と、中央にいたアポジへ入れた大きめのパスを相手DFがクリアしたセカンドボールに、河野が詰めて左足を振り抜いた。「よっしゃぁ〜!」鮮やかなスーパーゴールが決まり、瞬く間に同点とした。失点後すぐに追いつけたことは非常に大きかった。

後半に入ると、徐々にピッチコンディションも回復し始める。スムーズにボールが動くようになれば、パスを主体とする本来のスタイルで展開する時間帯が自然と増えてくる。「後半、ピッチが良くなると、ヴェルディの“パスをつないでくる”っていう特徴を出されてしまうなぁ、というのも考えながらプレーしていました」と、相手の田原も警戒していたが、「実際、そういう時間帯も作られてしまった」(田原)。
飯尾、河野、マラニョン、アポジらに加えボランチの高橋祥平、サイドバックの和田拓也らも前線で攻撃参加するシーンも見られた東京Vペースの後半28分、河野のCKから、土屋征夫が狙い通り体を避けスルーすると、抜けたボールが「なんであそこにいたか自分でもわからない。たまたま」と、自身も苦笑するほど運よくキレイに立っていた位置に落ちてくると、飯尾はしっかりと右足で収めた。逆転弾を決めた瞬間、一目散にゴール裏のサポーターの元へと駆け寄り、大きく叫んで喜びを爆発させた。
「1年間、不甲斐ない試合、負けてしまった試合も味スタでたくさん見せてしまった。それでも、雨の中濡れながらも必死になって応援してくれる人たちがたくさんいる。サポーターは一緒に喜べるし、喜んでくれる存在。その人たちへの感謝の気持ちを伝えたかった」と、Mr.ヴェルディ。チームの今季ラストゴールを “飯尾”が挙げたことに、土屋も「気がついたら涙が出ていた」と、胸を熱くした。

後半アディショナルタイムに混戦のこぼれ球をルーカスに決められ“勝利”を逃したことについて、富澤清太郎主将は「今年のウチを象徴した終わり方。勝ち切れない」と、改めて来年へ持ち越す課題として深く反省した。それでも、「相手も連敗中で、絶対に勝たなきゃって強い気迫を持ってきてたのが、最初から最後まで伝わってきた。ピッチコンディションが悪い中、どっちもしっかりやった末の2−2という結果だと思う」と、飯尾は捉えた。そして「昇格がダメになってから、僕たちが目指せる最高の結果(5位、勝点58)で終われたと思っている。あと、いかに2つ順位を上げていけるかが、これからのヴェルディの課題だと思います」と続けた。
その“2つ”は、決して小さい差ではないことは、選手たちが最も理解しているに違いない。差を詰めるための来季の努力を、信じて見守りたいと思う。

何としても勝利し、連敗を食い止めたかった湘南にとっては、アディショナルタイムまでリードされていたことを考えても、「負けなくてよかった」(高山薫)と、ポジティブに受け止める声が多い。ただ、一方で田原は「欲を言えば、先制しているだけに、1−0のままいけば勝てたと思えば、勝たなきゃいけなかった試合」だと捉えている。

とはいえ、最後の最後まで諦めず、同点に持ち込めたのは、「どうしても負けたくないと、みんなが強く思っていたから」(田原)。全員が最後まで点を取りに行く意識を強く持っていたからこそ訪れた1点だったことは間違いない。連敗阻止のため。チームを去る反町康治監督、アジエルのため。それらの思いをモチベーションに変え、粘り強くゴールを目指した結果ではないだろうか。

勝利という最高の結果こそ手に入れられなかったが、坂本紘司は同点に追いつかれてもなお、終始途切れることなく声で味方を鼓舞し続けた大井健太郎らDF陣の姿勢から、「目に見えるところではないけど、根気強くやり続けることで、逆にこっちがまた追いつけたりするという、またひとつ学びがあった」と語っている。最終戦にして、チームとして今後、来季へつながる学びを得たことは、大きな収穫に違いない。

幸いにも、湘南には天皇杯が残されている。「次の試合で終わりにならないように、また戦略を練って、ひとつやってやろうという気になっています」と話し、「明日からずっと、PK戦誰蹴ろうかなということを考えて3日間過ごしたいと思います」と、独特の“反町節”で意気込みを語った湘南指揮官。次こそ、8試合ぶりの勝利を手に入れたい。

以上

2011.12.04 Reported by 上岡真里江
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