12月3日（土） 2011 J2リーグ戦 第38節
京都 3 - 1 岐阜　（12:35／西京極／6,715人）
得点者：32' 中山博貴（京都）、45'+2 ドゥトラ（京都）、57' 秋本倫孝（京都）、83' 押谷祐樹（岐阜）
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Ｊ２最終節。京都と岐阜の試合は、チームの個性と意地が出た好ゲームとなった。
序盤から持ち味を出したのは京都。「前半最初はとにかくボールを追っかけ回して、プレッシングをかけて、彼らの短いパスを中心とした攻撃力を遮断しようと」（岐阜・木村孝洋監督）という岐阜のプレスをかいくぐり京都は何度もフィニッシュまで持ち込んだ。11分には右サイドのクロスに宮吉拓実が飛び込み、12分には中山博貴がチョンウヨンとのパス交換で裏を取りシュートを放つ。だが岐阜も、京都ボールを奪って速攻を仕掛けるなど、簡単にはやらせない気持ちを見せる。
岐阜の堅いゴールをこじ開けたのは32分。中央の宮吉が右サイドの安藤淳に展開し、そのクロスを工藤浩平が頭で合わせる。そのシュートのこぼれを中山が押し込んで京都が先制する。
さらに前半終了間際。工藤と中山のコンビで右サイドに持ち込むと、中山が中のドゥトラへパスを送り、走り出す。この動きをおとりにドゥトラがトラップから迷わず右足を振り抜き追加点。京都が２−０とリードし、後半へと折り返す。

後半、岐阜は押谷祐樹を前線に上げ、嶋田正吾を右に配置し攻撃的に切り替え意地を見せる。後半開始早々に京都ＤＦの裏を取った地主園秀美がシュートを決めるが、これはオフサイドの判定。
京都は、後半5分にも地主園がフィニッシュまで持ち込まれる。その際、中盤でスライディングに入った安藤が右足首を痛め、酒井隆介と途中交代に。
この空気を変えたのが後半12分。右ＣＫを秋本倫孝が頭で豪快に決めて、京都が３−０とリードを広げる。
岐阜も、西川優大からエフラインリンタロウへ、そして地主園から染矢一樹に切り替え攻撃を活性化。後半19分、20分と染矢一樹がシュートを放つ。

この辺りから、大木武監督が試合後「ミスのオンパレード」と指摘したように京都ボールが簡単に岐阜へ渡る様になる。同時に、岐阜の「攻めよう」という意地も引き出されていった様に感じさせた。
そして、後半38分。岐阜ＧＫのロングボールのこぼれ球が押谷に収まると、押谷はＤＦに囲まれながらも素早くボールを操りエリアの外から右足を振り抜く。これがゴール右に決まり、岐阜の意地が結実する。
試合は結局３−１のままタイムアップ。それぞれの持ち味と意地を見せてリーグ最終戦を終えた。

岐阜は、木村監督の退任、選手の契約満了もあり、強いモチベーションで臨んだゲームで、それが、ボールへ行く、点を取りに行く、という原動力になっていたのではないかと感じさせた。

対して京都。大木監督は中村充孝の相手のファールを何回も受けても倒れずプレーした点を例に挙げ、「技術の問題じゃないですね。プレーする意欲ということで非常にいいプレーだった」と、選手の内面的成長を称えた。
意識の部分ということになるのだろうが、こうした例は他にもある。
先制のシーンは、相手陣内すぐのところで中山博貴が相手ボールを奪うところから始まる。そこから、宮吉につながり、安藤へと展開し、最後は中山が決めている。つまり、中山は奪ってから相手ゴール前までプレーを止めなかったということである。この「アクションを起こしたら、止まらずに次のアクションを起こす」ということを中山は本当に怠らない。評価以上に感服である。
また、安藤が地主園にかわされて持ち込まれそうになった瞬間、中村充孝がカバーに入ったシーンがあったが、中村充の守備意識がさらに高くなっていた点についても評価されていいだろう。

こうしたプレーを選手に問えば、「当たり前のこと」と返してくる。だが、「当たり前のことを当たり前としてプレー出来る」様になったこともチームの成長点だろう。こうしたことは能力や才能の問題ではない。選手本人の高い意識、強い意志の問題である。
最終節、京都の幹が少し太くなったのではないか、と感じられる試合だった。

以上

2011.12.04 Reported by 武田賢宗