あのときもユアテックスタジアム仙台で仙台と鳥栖が戦って、あのときも4月第1週の水曜日に試合があって、あのときも夜の試合で、そして、あのときも雪が降った。2006年の4月5日に開催されたJ2第7節を思い起こさせる状況下で再び顔を合わせた両チームだったが、戦う舞台は当時より上のステージ、J1に移っていた。
時の流れと両チームの成長を感じさせる条件下で戦われたこのJリーグヤマザキナビスコカップでは、両チームとも新しい時代を担うであろう若手選手が先発でピッチに立った。仙台は2年目の武藤雄樹と、原田圭輔。鳥栖は2年目の守田創、ルーキーの岡田翔平、黒木恭平と黒木晃平、JFA・Jリーグ特別指定選手の坂井達弥である。また、仙台のルーキー・奥埜博亮も途中出場を果たしている。
ここまでのJ1リーグ戦ではメンバーが入れ替わってもハードワークを組織として表現できている両チームは、この日もそれぞれの組織としてのカラーをピッチ上に表現していた。鳥栖は中盤と最終ラインが整然と並んだブロックからボールに複数人が寄せ、奪えば縦に速い攻撃で仙台ゴールを目指す。
しかしそれを上回ったのが仙台の組織力だった。鳥栖が2列目より前のポジションでスピードアップをはかろうとするところをコンパクトな距離感の選手達が挟みこんで止め、その後は縦の速攻に加えて相手のプレッシャーをかわすボール回しという遅攻も加えていた。柳沢敦、ウイルソンの2トップの片方がサイドに流れて周囲のポジションと連係し、対面する鳥栖のサイドを崩す形でチャンスを量産した。「ボールを握っている割りには先制点を取るまでに時間がかかりましたが、そこも焦れずにコントロールの効いたゲームをしてくれました」と手倉森誠監督は試合後に振り返った。
試合は武藤雄樹がやはりサイドの突破からFKをもぎ取り、51分に松下年宏がこれを鮮やかに直接決めて仙台が先制。62分には角田誠が中盤でフリーでボールを奪うと、「スペースも時間もあったのでリラックスして打てた」というロングシュートを見事に決めた。
鳥栖は黒木恭平がサイドを最前線まで駆け上がってクロスを上げるなど攻撃の意志を最後まで見せたが、仙台の組織的守備の前にゴールを割ることはできず。2-0で試合は終わった。若手を組みこんだ仙台の、組織的な試合運びが光った試合だった。
「90分を通して戦う姿勢を見せることはできましたが、結果が出なかったのが悔しい」(奥田達朗)。鳥栖にとって不運だったのは、悪天候の影響で仙台までの移動に時間を有し、仙台市内に入ったのは試合当日の夕方だったこと。しかしそれをものともせずに勢いある若手選手を中心に精一杯のランニングを見せた。この事実は鳥栖のカラーを再び仙台の地で、そしてJ1の舞台で披露したという意味で大きな意味を持つ。
このゲームを盛り上げた選手達の名前が、新しい時代にも末永く互いのサポーターに覚えられることを願っている。
以上
2012.04.05 Reported by 板垣晴朗
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