「旬な選手を起用する」
そう言ったのは鹿島の前監督たるオズワルド・オリヴェイラだが、今まさに旬の選手と言えば梅鉢貴秀だろう。先の公式戦(リーグ第4節横浜FM戦)で、プロでの初めての出場を先発で飾ると、この日もピッチに立ち、大宮の攻撃を寸断した。試合後は、マンオブザマッチに該当するリクシル賞にも選ばれ、スタジアムを1周。ホーム側ゴール裏やメインスタンドにいたサポーターだけでなく、バックスタンドやアウェイ側のゴール裏にいた人々にも手を振り、勝利の喜びを分かちあう初々しさを見せた。
「バテバテでした」
試合中もときおり膝に手を付き、苦悶の表情を浮かべていた梅鉢。しかし、背後にいる岩政大樹からかかる「苦しいことを顔に出すな」という檄を聞き、気合いで乗り切る。
「初勝利はうれしいですね」
そういって笑顔を弾けさせた。
とはいえ、試合は鹿島にとって手放しで喜べるものではなかっただろう。前半こそシュート9本を放ち、相手を圧倒した。しかし、その多くはミドルシュート。大宮が高いラインを敷いていただけに、フィニッシュがミドルレンジからのシュートに終わるというのは、選手同士の意思疎通がまだまだ足りていないことを物語っていた。興梠慎三や、大迫勇也、遠藤康、柴崎岳が前を向いて仕掛ける場面は何度もあったが、得点が生まれたのは31分の興梠の1点のみ。その得点シーンは美しく、ドリブルでゴールに迫る柴崎から、DFラインの裏に抜けた大迫への絶妙なスルーパスは、鋭く前に出てきた大宮のGK北野貴之がブロックしたものの、そのこぼれ球を興梠が落ち着いて流し込むという、すばらしい1点だった。
しかし、それ以外の場面ではつねに北野が立ち塞がる。前半42分には大迫が右サイドから囲みに来た相手DFを切り裂くドリブルで、ゴール前に侵入するも、シュートは正面を突き、追加点は生まれなかった。
後半になると大宮も息を吹き返す。
「ボールも後半は支配できたんですけども、サイドのところまでボールを持っていってもそこからの崩しがなかなかできなかった」
そう鈴木淳監が振り返ったとおり、ホイッスルと同時に前からボールを奪う姿勢を見せ、次第にボールを支配する。しかし、トップ下からポジションを下げてゲームをつくるカルリーニョスの空けたスペースを効果的に活用することができず、サイドまでボールは回るものの、そこからの崩しに工夫は感じられなかった。
鹿島もカウンターからチャンスをうかがうが、こちらもいまひとつ噛み合わない。結局、前半の1点に留まり、1−0で鹿島が勝利を収めた。
お互いにスタメンの平均年齢が25歳代という若いチーム構成での試合となったこともあり、選手の個性が噛み合わない印象を残した。次の試合は中2日と修正する時間も少ないが、どちらもホームで迎える。特に鹿島は浦和との一戦だ。この勝利が良い弾みとなったことを願いたい。
以上
2012.04.05 Reported by 田中滋
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