ほぼプラン通りだった。コンパクトな陣形を維持しながら球際の厳しさを見せた神戸が、全体的に清水の良さを消したゲームだった。
この試合、清水は最前線にアレックスではなく、ジミー フランサを配した。大前元紀、高木俊幸が前で精力的に動くスタイルはそのままだったが、ゲームメーカーの小野伸二をケガで欠いたことで、なかなかリズムをつかめないまま前半を終えた。
一方、神戸の前半はボールホルダーに吉田孝行が厳しくプレスをかけ、今季初の2列目での出場となった大久保嘉人やボランチの伊野波雅彦がボールを奪う展開。今季リーグ戦初先発のイ・グァンソンがフランサを抑え、センターバックの高木和道の巧みなアップダウンでオフサイドトラップを成功させた。
清水のアフシン ゴトビ監督は「最初20分間は出足が悪く、相手にプレッシャーを掛けられた」と評し、神戸の和田昌裕監督は「今日は前半も後半もゲームの入り方は非常に良かった」と振り返る。そう、ここまでは神戸のプラン通りだった。
だが、和田監督の「明暗を分けるのはセットプレー」という考えが、いい方に実を結ばない。長身のFW都倉賢、伊野波、グァンソン、高木を擁し、1試合でCKと直接・間接FKを合わせて28本のチャンスがあったが、結局は1本も決まらず。完全に主導権を握れないまま、終盤を迎えることになる。
逆に清水は、ゴトビ監督が「試合が進むにつれて我々は良くなってきたと思いますし、最終的には我々の方がいいチームだったと思います」と振り返るように、じわじわと流れを引き戻した。特に、「彼らを使って勝ちに行った」とゴトビ監督が言うように、63分に小林大悟と枝村匠馬が同時にピッチに入ったことで清水のパスワークが甦る。
そして82分。神戸・高木のパスをインターセプトした清水の吉田豊が枝村にスルーパスを送り、神戸のGK徳重健太が弾いたこぼれ球をアレックスが詰めて、清水が先制点を奪った。結果的に、小林、枝村の投入で「勝ちに行く」意志を示したゴトビ監督の采配が、功を奏したゲームだったと言える。
気になるのは神戸の動向だ。伊野波雅彦が「点を取らないと勝てない」とこのゲームを振り返ったように、ヤマザキナビスコカップを含めて4試合無得点。大久保嘉人は「清水の得点はキーパーとぶつかったところで入ったけど、人数をかけて攻めているから、あんなシーンが起こるわけで、こちらはそういうシーンがなかった」と振り返っている。
そして、相馬崇人は「強いチームになっていくために自分たちのスタイルを確立しなくてはいけない中で、俺たちはどんなサッカーなのかが見えていない気がする」と言う。昨季の堅守速攻スタイルに戻しての敗戦は、今後の神戸に大きな難題を残したかも知れない。昨季からのスタイルを極めるのか、それとも全く新しい神戸にトライし続けるのか…。
ただ、この試合では収穫もあった。ルーキーの奥井諒が躍動し、未知数に近かったイ・グァンソンのパフォーマンスが良かった点。この2人によって、チーム内の競争はさらに激しくなると予想される。DF陣の練習が激しくなれば、自ずと攻撃陣のプレーも激しくなる。そして得点力も戻ってくるはず。この敗戦が無意味では無かったことを、これからの神戸が証明していくに違いない。
以上
2012.04.08 Reported by 白井邦彦













