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【J2:第7節 湘南 vs 町田】レポート:湘南が今季初の無失点ゲームで拮抗勝負を制す。町田はゴールが遠く3連敗。(12.04.09)

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スコアを動かしたのはセットプレーだった。67分、古橋達弥が左コーナーにボールをセットする。5分前に投入されてから、蹴るのは早くも4度目だ。風にじっとしていられないボールを宥めつつ、蹴り込んだボールに遠藤航がヘッドで応えた。「点がなかなか入らない厳しい状況だったので、セットプレーは打開できるチャンスだと思った。コーナーが続いていたので1本決まってよかった」古橋はゴールの喜びとともに胸を撫で下ろす。

「外から見ているよりも、なかは風が舞っていた」湘南GK金永基がそう明かしたように、この日の風は勝負に少なからず影響を与えていた。前半風下に立った湘南は、らしく圧力をかけたもののマイボールをうまく繋げず、なかなかリズムをつくれない。そしてそれは町田の鋭いプレッシャーと表裏一体でもあった。加えて風上の町田はシンプルに前線を目指し、平本一樹や勝又慶典が競り合いを制すればセカンドボールも優位に立つ。だが彼らもまた、繊細なラインコントロールを伴った湘南のタイトなプレッシャーに自由を得られない。「お互いルーズボールの争奪が激しく、スペースの少ないなかでサッカーをすることになった」と柳崎祥兵が振り返るように、とくに中盤での主導権争いは拮抗した。

前半だけで8を数えたオフサイド数が示すように、湘南は裏を狙う意識も高い。前半終盤には高山薫のスルーパスに菊池大介が反応し、ファウルを誘った。ここで得たフリーキックから大野和成がゴールネットを揺らしもした。だがこれもオフサイドの判定により幻のゴールと消えている。後半エンドが入れ替わると、馬場賢治や古林将太が立て続けにミドルを狙うなどさらに攻め立てる。そうして押し込んだ先で、湘南の先制点は生まれた。

ビハインドを負った町田は、前節ゴールを挙げている北井佑季の投入もあり、セットプレーを絡めて反撃に出た。対して湘南も、古橋が緩急を加えるなど、攻撃のリズムとともにゴールに迫った。そしてアディショナルタイム、勝負の行方を大きく左右する次の1点が入る。スコアを動かしたのは湘南だった。入ったばかりの島村毅からスペースへ流れた大槻周平へパスが渡る。大槻が時間をつくる間にペナルティエリアへ続々と攻め入り、島村が仕掛けてファウルを誘う。これで得たPKを遠藤がきっちり決め、勝負を決定づける2点目を挙げた。

「苦しい試合だった。まだ良いとは言えないが、無失点で終われたことも含めて、選手たちはよく頑張ったと思う」湘南の曹貴裁監督がそう語ったように、あるいは「拮抗した試合だったのではないか。唯一の悩みの種はコーナーキックでのマークだが、選手の意欲やプレーぶりには喜んでいる」とオズワルドアルディレス監督が手応えを口にしたように、ともに次への課題と収穫を携えた。勝負の明暗は分かれたが、手にした糧に別はない。

勝負を決定づける2点目が刻まれたあとのことだ。残されたおよそ2分のあいだ、敵陣へ押し込んだのは湘南のほうだった。手の届くところにある今季初の完封に向け、守る様子は微塵もない。たとえばピンチの局面を大野がことごとく潰したように、あるいは前線から自陣ゴール前まで大槻が体を張ったように、無失点勝利は皆が貫く汗の集積だ。勝利をほぼ手中に収めながら、笛が鳴るまで攻めきる姿に今季の湘南を見る。

以上

2012.04.09 Reported by 隈元大吾
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