新戦力2人のゴールで東京Vが今季5勝目を挙げた。
だが、チームはみな3連勝という“結果”には一定の納得はしながらも、“内容”に目を向けると、決して笑顔ばかりではなかった。
「ゴールしたら落ち着くと思っていたので、もっと早く取りたかった」という杉本健勇の言葉からも、先制点が決まるまでの61分は歯痒かったのではないだろうか。特に前半は、西紀寛、小林祐希が「自分にイライラしてた」と、口を揃えていたほどだった。素早いアプローチでボールを奪いに来る相手を個人技や巧みなパス交換でかいくぐりながらも、ゴール前までの形にはつながらない。高さ&強さのある杉本健を狙って前線にボールを送ったが、なかなかボールが収まりきらず、決定的に崩すシーンはほとんど作れなった。結局、前半のシュート数はわずか1本。そのことを自ら口にした19歳FWは「少なすぎる。攻撃をシュートで終わらせることを、一人一人が意識していかなきゃダメだと思います」と、自身を含めたチームの今後の大きな課題として捉えていた。
守備でも、前半開始早々、精神的な大黒柱であり守備の要である土屋征夫が負傷退場するというアクシデントに見舞われる。それでも、「チームの中心がいなくなって不安なところはありましたが」としながらも、「(土屋に代わってセンターバックに入った高橋)祥平と、声を出し合ってできた」(深津康太)。徳島ペースとなった時間帯を辛抱強く凌げたこと、そして、この試合久しぶりにボランチに入った和田拓也のスピードと守備力が生きたことで、前節からの課題の1つでもあったセカンドボールも拾えたことは大きかった。「ウチの攻撃陣は0で終わることがない。守備がこらえるところさえこらえられれば」(深津)と、味方のゴールを待った。
そう思うと、DFの辛抱強さが生んだ先制点だったのかもしれない。前半43分、徳島・西嶋弘之の好シュートがバーを直撃し最大のピンチを免れると、後半に歓喜の瞬間は訪れた。
後半16分、西、小林、西と華麗につないで杉本健へ。「最初のトラップで良いところに置けた」相手DFを交わし、背番号41が落ち着いてネットを揺らした。
その後、それまでアグレッシブにかけ続けられていた徳島のプレスが緩みはじめたこともあり、徐々にスペースが空いてくると、FW阿部拓馬を中心に攻撃威力はどんどん増し、完全に東京Vがぺースを握った。そして後半43分、その阿部が入れた角度の無いところからの見事な折り返しに、途中から入った小池純輝が走り込んで加点。勝利を決定づけた。
何度も繰り返し書いてきたが、内容に物足りなさを感じながらも、確実に勝点を挙げられているところが今季と昨季チームとの差だろう。その中で、何よりも守備の安定は欠かせない要素だ。大敗した甲府戦を除いては、6試合すべて最少失点以下、うち4試合が無失点という堅守を誇る。また、攻撃も、1点が難しいゲームでも、1−0で終わるのではなく、終了間際に2点目をしっかりと奪ってゲームを締めることができていることは、最後までゴールを目指して戦えている何よりの証拠だと言えよう。「内容は良くない」としながらも、着実な成長が、これら数字にはきちんと表れているのではないだろうか。
西は言う。「シーズン終盤で強くなっていればいい。今はその道中。そこでうまく勝点を拾ってきたい」。今後の道中無事を、心の底から願いたい。
徳島は、またしても結果を出せず3連敗となった。小林伸二監督はじめ選手たちからも「内容は決して悲観するものではない」との言葉が聞かれている。最大の収穫は、徹底して取り組んでいる「ボールに激しく寄せていくところと、連動した動きができている時間帯もあった」こと。「セカンドも拾えていたし、トップを起点として決定的チャンスも作れていた」(西嶋)だけに、勝敗を分けたのは、「決定的なところで決められない弱さと、ピンチに耐えきれない甘さ」だと、衛藤裕は指摘する。それでも、「前進している部分はある」とGK榎本。「今できることで少しずつ現状を変えていくしかない。例えば、(第6節:岡山戦のように)PKも大事だけど、それ以上に自分たちのやろうとしている中での流れからの“1点”だったり、内容は良くない中でも勝てたりとか、とにかくこの流れを変えるきっかけが生まれるまで、我慢していくしかない。この現状を、僕たちはしっかりと真摯に受け止め、また次の試合に向かいます」。榎本の言葉に、いま徳島のやるべきことの全ては凝縮されているのではないだろうか。
以上
2012.04.09 Reported by 上岡真里江
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