今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第10節 湘南 vs 水戸】レポート:夏立つ前に熱い夜。ハイスピードの90分を制したのは水戸。湘南は今季初黒星を喫す。(12.04.28)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
試合後の両監督の言葉がこの日の白熱を物語っている。「お互いにいいところを出し合って、僕も見ていてエキサイトするぐらい、ほんとうにおもしろいゲームだった」勝利した水戸の柱谷哲二監督はそう語り、敗れた湘南の曹貴裁監督も、「真っ向勝負に出て負けた。内容に関しては決して下を向くものではない」と振り返った。清しさ溢れる熱戦は、立ち上がりと終盤にゴールをねじ込んだ水戸に軍配が上がった。

湘南にとって前後半の入り方はこれまでにも出た課題である。その点、開始6分の失点は反省点だろう。反面、彼らの準備を上回るだけのスピードや推進力を水戸が序盤から発揮したことも見過ごせない。自陣で奪ったところからすかさず攻撃にかかり、フィニッシュを狙う。対して湘南も大野和成や鎌田翔雅がブロックするなどして窮地を凌ぐが、セカンドボールで再び水戸が先手を取る。攻撃は波状となり、最後は市川大祐のクロスにロメロ フランクがヘッドを合わせた。「いい芝生でアップのときからフィーリングがよかった。クロスを蹴った瞬間に入ったと思った」市川は語る。振り返れば水戸の一連の攻撃は、市川のボール奪取に始まっていた。

「いつも通り」と指揮官が笑みを浮かべた水戸の守備網は、反撃に出る相手のパスを絡み取った。だが湘南も怯まない。「水戸さんのブロックのなかに入って行き、いかにボールを動かせるかが勝負だと思っていた」曹監督がそう明かした通り、敵のブロックを崩すべく1タッチないし2タッチのパスをゴールへと傾ける。前線に貫く遠藤航の潔い縦パスや、馬場賢治や高山薫らの裏を突く動きで揺さぶりをかけながら、次第にリズムが生まれていく。そうして迎えた38分、古林将太が右サイドをドリブルで深く抉り、マイナスに折り返す。馬場が振り抜いたシュートは遠いネットへと鮮やかに吸い込まれた。「今年取った23点のなかでいちばん美しい得点だったと思う」指揮官が目を細める。GK阿部伸行に始まったビルドアップは、ときに緩急を交えながら何本も繋がれ、ゴールに届いたのだった。

帰陣の速さに顕著な一進一退の攻防は後半も続く。ゴールへの意欲も高い。ともに交代選手がリズムをつくりだしたこともあり、主導権争いは激しさを増していく。互いに決定機をつくり、凌ぎ、もつれた終盤、スコアを動かしたのは水戸だった。リスタートからパスを繋ぎ前線へと運ぶ。湘南はボールの動きに目を奪われたか、水戸の島田祐輝が一瞬の隙を突いてゴール前に抜け出す。果敢な飛び出しでそれまで幾度かDFの裏を消していたGK阿部に対し、島田は冷静にコントロールし、ループシュートを沈めた。

GK阿部は自省を込めつつ語っている。
「今までは湘南のよさを消そうとする相手が多かったけれど、きょうは正面から自分たちのサッカーをぶつけ合った。もちろん負けて自分たちの力不足を感じますが、やり切ったという気持ちがある。もっともっと自分たちのサッカーを高めようという気持ちになれる試合でした」

阿部が語った通り、また両監督の言葉にも明らかなように、ゲームを白熱たらしめたのは互いの真っ向勝負だった。ハイスピードの展開を最後まで繰り広げ、そのなかで水戸は決定機をゴールに結び、土壇場でビハインドを負った湘南も最後までゴールを追いかけた。文字通り目の離せない90分、敗者に送られた声援がひときわ大きい。

以上

2012.04.28 Reported by 隈元大吾
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着