「お待たせ北九州」。町田のゴール裏から、横断幕が出される。町田は2009年のJFL最終節で北九州と対戦し、「おめでとう北九州!すぐ行くから待ってろよ」の横断幕で、“JFL卒業”を見送った。両クラブのサポーターはエール交換で再会を喜び、試合前の野津田は友好的な雰囲気に包まれた。
パスサッカーが特徴の両クラブだが、序盤からボールを長く保持していたのはFC町田ゼルビア。ギラヴァンツ北九州の三浦泰年監督は「相手バックラインの近くに、勇気を持って付けてくるパスが多かった。そこへうっかり食いついてしまうと、チャンスを与えてしまいます」と慎重な試合運びの理由を明かす。相手のFW、攻撃的MFに入るボールを強引に取りにいかず、“その次”をきっちり埋めることが、北九州の狙いだった。更に三浦監督は前半20分を前に、2列目のインサイドに入っていた木村祐志を1列下げ、安田晃大を右にずらしてトップ下に配置。「安田を金鐘必の横に据え、少し中に入れる」(三浦泰年監督)中盤の布陣変更で、町田が縦へ入れるパスに対するケアを図った。
結果として町田はボールを持っても、崩し切る場面が少なかった。北九州はカウンター、ミドルシュートを軸にチャンスを作っていく。20分に木村が左足ミドルを放ち、24分には池元友樹が自らのボール奪取から決定的クロスを供給。38分、41分には金鐘必の強烈なミドルが枠を捉える。しかし北九州も決め手を欠き、前半はスコアレスで終了する。
三浦監督は、後半の早い時間に手を打った。64分にレオナルドと、今季初出場の特別指定選手・中原秀人を同時投入。70分にも森村昂太を起用し、残り約20分で交代カードを使い切る。三浦監督の果敢な選手交代が奏功し、狙い通りのカウンター攻撃が出たのは、76分だった。北九州は森村が左サイドでコリン マーシャルの横パスをカット。そのまま自陣深くから持ち上がり、左サイドにフィードを送る。町田は両サイドバックが同時に攻め上がり、センターバックの両脇に広大なスペースが生まれていた。池元は中央から左に走りこみ、先にボールへ届くと、相手がボールを奪いに来た瞬間に急加速。持ち味の突破力を生かして、センターバック津田和樹のファウルを誘う。池元は自らPKを決め、77分に北九州が先制。そのままリードを守って、1−0で逃げ切った。
三浦監督は「我々のリズム・テンポで進めることが出来なかった」「内容で町田さんに劣った」と試合を振り返る。しかし「彼らの強みをしっかり抑え、カウンターを狙う」というゲームプランが的中し、北九州はアウェイで貴重な勝点3を手にした。
町田は4月27日の松本戦と同じように、“残り15分のPK”に屈してしまうこととなった。しかしアルディレス監督に不満な様子はなく、「ボールを早く動かす、沢山つなぐという部分では、大変に満足している」とまず内容を前向きに評価する。ただ監督、選手が課題として口を揃えるのは高い位置にボールが入った、その次の崩し。町田には“あと一手”の足りないもどかしさが残った。
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