湘南はゴールデンウィーク4連戦を2敗2分で終えた。連戦前まで無敗で首位を快走していたことを思えば、それとは対照的な星取りが停滞に映るかもしれない。最大で勝点12が見込めるなかで、たしかに事象だけを切り取れば勝点2しか奪えなかったとも捉えうる。ただ長いシーズンにおいては、ましてや伸びしろゆえの進化が求められるチームにあっては、失われた勝点にこそ学びが転がっていることもまた多い。
「原点に立ち返らせてくれた」曹貴裁監督は連戦をこう総括する。
「勝点を取ることの難しさをあらためて感じた。選手も、僕自身も。修正すべき点はいろいろあるが、最悪は4連敗だったわけだから、最後に踏ん張って勝点2を取れたことはポジティブに捉えたい」
指揮官の触れた原点回帰は選手たちからも口々に聞かれた。とりわけ古橋達弥の言葉は示唆に富んでいる。
「最初の頃に比べると最近はコンパクトではなかったと思う。互いの距離が離れていると高い位置で奪えないし、いい攻撃にも繋げられない」
1−1のドローに終わった前節の松本山雅戦では途中出場し、スペースを消された戦いのなかで決定機をつくりだした。後半のその場面を引き、決め切れなかった自身を反省しつつ、「ゴールまで行けているときは案外シンプルなんですよね」と指摘する。
「回すことはできているので、決定的なパスをいかに出せるか。全部繋ぐのは難しいので、スペースをうまく使いながらいろんな動きができれば攻撃のバリエーションはもっと増える。攻撃も守備も、自分を含めてみんなが1コ2コ先を考えてプレーできるようになるといい」
あわせて古橋は週末をこう見据えた。
「大分は攻撃力があるので、全員が守備の意識をしっかり持たないと簡単にやられてしまう。この試合はとくにコンパクトがキーワードだと思う」
今節BMWスタジアム平塚に乗り込む大分は、第7節アウェイで甲府に敗れて以降、6戦負けなしと好調だ。前節はホームで3−0と鳥取を圧倒し、順位も5位まで上げてきた。
彼らも同様に、前から圧力をかけるコンパクトなディフェンスが印象深い。攻撃への切り替えも素早く、サイドへ展開し、選手たちが湧き出るように攻め込んでいく。鳥取戦の3点目も然り。前線のプレッシャーを契機に敵陣で奪い、サイドへの展開を経て、最後は途中出場の高松大樹がヘッドで仕留めている。リーグ3位の20得点は堅守あってのものだろう。付け加えるなら、セットプレーの流れから得点が生まれているように、対する湘南としてはセカンドボールへの対処と二次攻撃を含めて注意したい。
両者ともに3−4−2−1のシステムを敷いているため、様相はいわゆるミラーゲームになる。「ガチの戦い」と島村毅が語るように、両サイドをはじめ個々の局面の攻防は激しさを増そう。そのうえで、いかに数的優位をつくり敵を崩すか、あるいはカバーしあい攻撃を封じるか、意思の疎通とともに組織力が試される。
「うちは前からのプレスありき。受け身にならず、また後ろもコンパクトに連動しなければならない。みんながあと一歩ずつ頑張ればうちらしいサッカーはできるはず。システムに関係なく、これからは相手を圧倒しないといけない」島村は初心を強調した。また前節スタメン復帰を果たした中村祐也も、「一歩寄せることだったり、ポジショニングだったり、そういうちょっとしたことを共有したい」とチームの意思統一を誓う。
思えば、4連戦を前に指揮官は語っていた。「連戦だからといって、2勝1敗1分とかそんな計算はしてない。相手をリスペクトしたうえで、目の前の一戦一戦を全部勝とうという気持ちですよ」。数字には表せなかったが、連戦で手にしたもの、あらためて見つめ直したことは小さくない。今後に活かすべき目には見えない糧を携え、好調大分に挑む。
以上
2012.05.12 Reported by 隈元大吾
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