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【J2:第19節 山形 vs 湘南】プレビュー:首位でホームに戻る山形が、9試合ぶりの勝利で勢いに乗りつつある湘南を迎える一戦!(12.06.12)

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第3節から第12節の間、一時は独走状態も含めて首位に立っていた湘南と、現在の首位である山形。互いの指揮官は、京都市の小学校時代から同学年のライバルとして対戦を重ねてきた、気心が知れた間柄だ。高校時代には国体選抜メンバーで、2年違いで入部した早稲田大ア式蹴球部でチームメイトとして過ごした時期もある。Jリーグ開幕以降は再び別々のチームに分かれ、選手として、指導者として対戦してきたが、互いにJの監督となって初となる記念すべき対戦は、互いにきっかけを弾みに換える段階で迎えることになった。

前回のホームで鳥取に5-1と大勝し、わずか1節で首位に返り咲いた山形が前節で対戦したのは、2位・京都。前半、後半ともにリードを許す展開となったが、2度とも終盤に追いついた内容はほぼ互角。首位と2位の直接対決にふさわしい、それぞれの特長を出し合う好ゲームとなった。前半の中島裕希の得点に象徴されるように、3トップのコンビネーションで崩す場面が多く見られたほか、後半の得点は、今季初ゴールとなる石川竜也。試合ごとにスコアラーが入れ替わる山形にまた新たなスコアラーが誕生したことも、チームの前進をさらに促す材料になる。京都の卓越したパスワークに決定機を何度かつくられはしたが、失点しても怯むことなく、主導権を握りながら同点に持ち込んだ力は間違いなく根付いているもの。勝点1以上の成果を携え、山形は首位のままホームに戻ってきた。

欲を言えば、リードを許す前にそうした攻撃を展開でき、得点ができることが望ましい。ただし、京都を相手にビハインドの状況は、「それによって仕掛けることもできました。自分たちから仕掛けて点が取れたので、そういう部分ではよかった」(秋葉勝)と、結果として攻撃のポテンシャルを最大限に発揮することにつながった。奥野僚右監督も「そういういい相手と対戦することによって、自分たちの力というのはどんどん引き出されてきますから、そこでまた新たな経験を積めたかなと思っています」と成長を実感している。今節、山形が迎える湘南も、互いを高め合える相手だ。

5位・湘南は前節・富山に1-0と勝利し、9試合ぶりの勝点3を手にしている。得点した時間帯が劇的な後半アディショナルタイムだったことと、長いリハビリに耐えた中村祐也の約11ヵ月ぶりのゴールだったことも、勝利のよろこびを増幅させた。そして何より、遠藤航が負傷で先発から外れて2試合目、さらに大野和成、古橋達弥、ハン グギョンの主力3人がそろって出場停止となる状況で挙げた勝利。曹貴裁監督は、「自分の立ち位置に対する周りから受けるプレッシャーを含めて、彼らの力で今日ひとつ乗り越えられたことは、成長過程のなかですごく大事な試合だったのではないかといま思います」と語ったが、再び上昇気流に乗るためのスイッチは押されている。

試合内容を見れば、まだ思ったようにボールを動かせているわけではなく、開幕ダッシュの頃の遮二無二ボールを追い越す、勢いある攻撃の回数も十分ではない。ただし、出場停止の3人が戻ってくる今節、勝点4差の首位・山形を倒すことができれば、状況は一気に変わる。今節はアウェイとなるが、それを恐れる必要のない強固なモチベーションとともにNDスタに乗り込むことになる。

山形は4-3-3、湘南は前節、4-2-3-1から3-4-3に戻しているが、システムの違いこそあれ、さほど形にはこだわらず、主導権を握ってゲームを進めたいのは共通のもの。ただし、守備では湘南のほうがプレッシャーをかける位置がより高い。ここ数試合同様、自陣でのプレッシャー回避が課題となっている山形だが、今回もそうした展開があるかと聞かれたGK清水健太は「あると思いますね、正直」と率直に答える。「でも京都戦でもそうでしたけど、そういう時間帯をしっかり乗り越えれば自分たちの時間が来るとわかっているわけだし、90分続くわけではないので。より前に来てくれたら、うちの3トップが行けるかもしれないし、いろんな考え方ができると思います」

また、この試合で大きな存在感を放ちそうなのが、昨シーズンまで山形でプレーした湘南・古橋達弥だ。「足元の技術があるとかシュートがうまいとかはもちろんあるんですけど、一番は動き出しだと思う」と語るのは、ディフェンダーの石井秀典。「引き出し方がうまくて、そこからの飛び出しが僕は一番注意が必要かなと思っています。足元で受けるタイミングがいいですし、それに食いついちゃうと逆に裏を取ってくる。先に動くとやられそうになるので、タイミングが大事だと思います」と対策をめぐらせる。
味方にしたときの頼もしさを知っているだけに、敵に回したらどれほど怖い選手であるかを想像するに難くないが、じつは古橋が山形に移籍する以前、C大阪在籍中にも山形から3得点を挙げている。08年の第2節(C大阪 1-3 山形)に1得点。さらに遡って、07年第の47節(C大阪 3-0 山形)では2得点。現在の山形のメンバーで、この2試合とも出場している4人のうち、秋葉勝は言及する。「嫌なところに顔を出すし、前向いて仕掛けてくるしという危険な選手。全員でボールを入れさせないようにしたり、いい位置では絶対に前向かれたくない」。

涙ながらに別れを惜しみ、さらに高みをめざすことを誓ったあの日から半年。ホームで戦う以上、勝利は譲れないが、再会をよろこぶとともに、互いにベストのパフォーマンスを発揮できることを願う。

以上

2012.06.12 Reported by 佐藤円
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