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【J2:第19節 横浜FC vs 大分】プレビュー:新たな挑戦の始まり。ワンランク上の大分との対戦は、上位進出を占う出発点。(12.06.12)

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早いもので、J2の前半戦もあと3試合。順位表を眺めると、まさに混戦と言ってよい状況だ。大分は第16節、第17節の連敗はあったものの、前節の松本戦の勝利で6位をキープし、全体としては安定した前半戦だったと言える。一方の横浜FCは、ジェットコースターのような前半戦。そして、6連勝を達成し貯金1とようやくスタートラインに戻ってきた。横浜FCと大分の勝点差は4。ワンランク上の大分との対戦は、横浜FCにとって今後のさらなる上昇への出発点となる。

横浜FCは前節の徳島戦でチーム連勝記録を伸ばす6連勝を達成。その要因で、選手たちが口を揃えるのが自信だ。「チームが勝つということを学んだと思います。以前は負けても普通な感じだった。そういった意味でスピリッツが変わった」(カイオ)、「各個人の能力が出せるようになっている。その要因は自信を回復していること。それは勝つことによる自信、これをやればいいというのを監督は植え付けてくれている」(三浦知良)というように、山口素弘監督が丹念に植え付けてきた攻守の基本的な動きの積み重ねが、試合の中で表現され、結果となることで自信につながるという好循環がもたらされている。

もちろん、その連勝の中には良い内容の試合もあれば、悪い内容ながら勝ち切った試合もある。前節の徳島戦は、試合の入り方が良くなく、立ち上がりからの徳島の流れに押されながら押し返せずに10分に失点。しかし、そこから慌てることなく、本来の「前進する保持」にこだわってペースを握り返す。そして、パス回しで相手を根負けさせた上でのカイオの逆転ゴールに繋げた流れは、勝負強さの表れと言える。しかし、上位への挑戦をスタートするにあたっては、戦い方の精度を上げていく必要がある。徳島戦だけでなく、鳥取戦(5/27・第16節)でも同じように早い時間での失点を喫している。上位との対戦では、逆転勝ちを収めるのはより難しくなる。その意味で、この大分戦は試合への入り方が大きなポイントになる。ただ、「勝てば自力でどんどん順位が上げられる」(佐藤謙介)と選手のモチベーションは高い。「これからさらに暑くなるので、当然ミスが少ない方が有利。そのために、コンディションも大事になる。そのコンディションを維持するためにも、内容のいい、質の高いサッカーをしないといけない」と三浦知良が語るように、積み上げてきたサッカーの質の向上と入り方というゲームでのしたたかさが問われる。

大分も、前節に連敗を2で止めて、プレーオフ圏内である6位に浮上にした。前節は、松本相手に押し込まれる場面があったが、粘り強く勝利をした。2ゴールを挙げた森島康仁のシュートにかける積極性と、フィジカルの強さは当然のストロングポイントであるが、1点リードした後にボールの流れを落ち着かせてゲームをスローダウンさせるところなどは、上位らしい試合巧者ぶりを発揮していた。さらにチーム全体でのカバーの意識も見逃せない。3-4-2-1のフォーメーションの中で3バックのサイド、あるいは選手の間のスペースの守備は1つのポイントとなるが、攻撃から守備への切り替えを早くして、中盤の選手がそのパスコースを埋める作業を行っていた。そういった全員守備の意識の高さは、大きな武器である。

コンパクトな陣形で前進するポゼッションを目指す横浜FCと、3-4-2-1の陣形で中盤での数的優位ができる大分との対戦では、まずは中盤での主導権争いが大きなポイントとなる。特にボランチとバイタルエリアでの争いに勝った方が、サイドも含めて押し込むことができるようになるだろう。単にボールを保持するだけでなく、動きの中でフリーの選手を作り出す、あるいはフリーの選手を作らないようにする細かな駆け引きは、中盤の選手だけでなくFWのプレスバックを含めた全体の作業になる。特に立ち上がりでの主導権争いに注目したい。

6連勝の要因を質問された山口監督は「徳島戦のアディショナルタイムの11番のプレーを見てもらえるとわかるかな」と短く答えた。それは、三浦知良が6分という長いアディショナルタイムで、パワープレーに向けたロングボールを蹴らせないために相手DFラインに対して横に広く全力で追い回した場面。その場に応じた役割を理解して遂行する。今の横浜FCはそれができている。上位相手にもフルパワーでぶつかることができるか。この大分戦は、新たな挑戦となる。

以上

2012.06.12 Reported by 松尾真一郎
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