勝利のみを目指したと言ってもいい前節の北九州と福岡のダービー。しかし勝点を手中に収めることはできなかった。「最後まで1点を返すことができなかった。たくさんのサポーターが来てくれたのに結果を出せなくて残念」と北九州市出身の池元友樹。うつむいた、それでいて精悍な顔は、エースストライカーの気概に満ちていた。その悔しさをバネに、池元ら北九州のイレブンは今節の栃木戦に立ち向かう。
前節の試合を最後に、今節から夏の終わりまでほとんどの試合が夕方から夜の開催となる。本格的な夏の訪れだ。
昨季も北九州は夏に順位を一気に押し上げた。その理由はまさに夏という気候も一因だ。夏の暑さの中、圧倒的なポゼッションで相手を走らせて体力や集中力を奪うと同時に、北九州はロングボールではなくショートパスを効果的に使って無駄走りを最小限に抑えた。これがスタミナの持続につながり、試合終了間際での劇的な展開を生んでいた。ただ今季はイージーミスでボールを失う場面が多く、自分たちが自ら無駄走りをさせている。福岡戦も「相手ボールの時に緩いアプローチをし、マイボールになると精度の低いプレーで簡単に相手に返した」と三浦泰年監督。北九州が確実に勝利を手にするためには、ミスの封じ込みと、ゴールへと向かう攻撃的なポゼッションを思い出すことが必要だ。
その北九州らしさを短い修正期間で取り戻すことは難しいが、個人の意識を高めることは可能。ここ数試合は、開始直後や終了間際での失点も多いが、これでは集中が欠如していると言われてもやむを得ないだろう。意識レベルを高く保ち、ボールを丁寧に繋ぐと同時に、ボールがないときでも集中を切らさず居るべき位置に居たり、奪われてもボールホルダーに強くアプローチするという当たり前のことをしたい。まだ勝利に近道はない。
対する栃木も第17節水戸戦で3失点、前節も岡山に0−1で破れて2連敗中。ミスからの失点が重なり、調子は上がってきていない。ただ、攻守両面のミスから惜敗した岡山戦後に松田浩監督が「チーム全員で力を合わせてこの試練というか、こういうのを乗り切っていきたい」と話しているように、チーム一丸となって悪い流れを断つべくトレーニングを重ねて北九州入りするはずだ。もっとも栃木の魅力は堅守。真にチーム力を高めることができれば、相手にとって厄介な集団になることは間違いない。
足踏みをしている両チーム。勝負を分けるポイントは、ネガティブというかマイナス方向の思考になってしまうが、「ミス」になるだろう。簡単にボールを渡さない、マークを外さないなどというミスをしない姿勢と、相手を上回るポゼッションだったり、難しいコースを通すことからミスを誘い込むという両面が必要になる。当たり前のことではあるが、当たり前のことを思い出し、実践できたチームが勝点3を手にする。
平日のナイトゲームとなる。「翌日のことを考えたら…」と言わずに本城に足を運び、選手の後押しをしてほしい。歓声、圧倒的な応援もまた、ミスを誘う、あるいはミスを減らす力を与える遠因というか近因の一つだ。
最後に、朗報をひとつ。先週末の週間天気予報では実は試合当日は傘マークが付いていたが、それが曇りマークに変わり、本稿執筆段階では「晴れ」! もやもやとした思いを晴らすには絶好の環境が整ってきた。
以上
2012.06.12 Reported by 上田真之介
J’s GOALニュース
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