「立ち上がりから我々のペースで試合ができた」と柱谷哲二監督が語るように、水戸は積極的なプレスからボールを奪い取り、隙あらば大分のディフェンスライン裏を狙った。尾本敬、塩谷司の両CBが累積で出場停止であったが、その穴を代健司、キム・ヨンギの若いふたりが埋め、彼らに負担をかけまいと鈴木隆行らが前線から執拗にボールを追った。「チームワークというものを感じた。本当に我々の戦いが90分間できた」と敗軍の将の言に偽りなし。1試合を通して理想とするサッカーを貫けたことは確かであり、悔しさ滲ませながらも表情は晴れ晴れとしていた。
一方、田坂和昭監督は「率直な感想として苦しい試合で勝点3をもぎ取れたのは大きい」と振り返り、「水戸と対戦するときは、毎回何かを教えられる。それはこの場では言えないが、非常に勉強させられた」と表情は曇っていた。ただ、3試合連続の零封勝利の起因である守備には手応えを感じていた。3バックと2ボランチがブロックを作り、中央のクサビをケア。水戸の2トップを自由にさせず、クロスを上げられても、DFとMFが連動して中央を崩されることはなかった。「ブロックをつくれば、そう簡単にやられることはない」と清水が試合前に話していたように、守勢ながら得点を与えず、ひらすら自分たちの流れがくるまで耐えた。
後半も水戸優勢で試合が進んだが、大分は59分に高松大樹を投入し前線でボールがおさまりはじめると、72分にはチェ・ジョンハンを入れ活力を注入することに成功する。そこから両チームの攻守の切り替えが早くなり、ハイテンポな試合展開となった。水戸は75分に島田祐輝が後方からの浮き球に反応し、この日最大の決定機をつくったがオフサイド。続く76分には敵陣でボールを奪い小澤司が独走しシュートを放ったが、清水の好セーブでネットを揺らせなかった。ピンチのあとにチャンスあり、とばかりに大分は79分に石神直哉の浮き球に高松が頭で合わせ決定機をつくり、88分には高松がペナルティエリアでFKを得る。壁に当たりCKとなったが、そのチャンスをイ・ドンミョンがニアに飛び込み、決勝点を奪った。
前節に続き、大分は“勝負どころ”を逃さず、ワンチャンスで勝利を勝ち取った。集中力を研ぎすまし、最終局面でシュートを打たせない守備は安定感を増したが、「攻撃は同サイドで崩せず、サイドチェンジも少なかった。ポジショニングやプレッシャーのかけ方とか、本当に自分たちの形ができなかった」(田坂監督)のは課題である。3連勝とはいえ、勢いを手に入れるためには相手を圧倒するような攻撃で結果を出したいところだ。
ボールポゼッションで上回っていた水戸とすれば、サイドチェンジで揺さぶりをかけたかったところ。実際にその意図は感じたが、「ゴール前に多くの人数が入るような場面を増やしたかった」(島田)。明確な課題が見つかったことは収穫だが、最低でも引き分けで終わらないと上位との差は離れていくばかりだ。
以上
2012.06.18 Reported by 柚野真也
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