前半戦のフクアリでの対戦(3/17、第3節)は、少なくとも横浜FCには忘れられない試合だ。3-0というスコア以上に、千葉に対して何もできなかった試合。そして、その試合の直後に監督の解任となった。そして、奇しくも後半戦の「3試合目」で対戦するこの試合の横浜FCにとっての意味は、あの3/17以降に描いた上昇カーブの全てをぶつけリベンジを果たして、更なる上への足がかりを作ることだ。もちろん、千葉は混戦となっている今季のJ2で早く上に抜け出すために、虎視眈々と下克上を狙うチームを確実に退ける必要がある。熱い夏のデッドヒートの幕開けにふさわしい試合になりそうだ。
前述の千葉戦での敗戦を経て、第5節の甲府戦(3/25)から山口素弘監督に代わってからの横浜FCの上昇は、特筆すべきものがあるだろう。特に第9節の京都戦(4/22)に今季初勝利を挙げてから、15試合で11勝1分3敗の勝点34と、安定して勝点3を積み重ねている.そして、順位を最下位(第3節と第5節)から、プレーオフ圏内直前の7位まで順位を上げた。特に第22節町田戦、第23節岡山戦、そして今回の千葉戦は、前半戦に敗れた相手との対戦が続くため「リベンジの3試合」として位置づけていた。最初の町田戦は快勝。そして、岡山戦は、横浜FCの最大の特徴である「前進する保持」を岡山に見事に封じられながらも、野崎陽介の鮮やかなゴールで勝利を収めた。その岡山戦を振り返って、山口監督は「アウェイのあの状況でよく勝てた」とポジティブに捉えれば、大久保哲哉も「内容は良くなくて、良かったのは勝てたことだけ。ただ、昇格の経験から考えると、内容の悪い試合でも勝てるチームが結果的に昇格している」と、より上を目指せるチームになってきた実感を語っている。
もちろん前述したように、横浜FCの上昇のベースは「前進する保持」。ボランチ出身の山口監督らしい指導で、単にボールをポゼッションするだけでなく、隙を逃さない縦パスからの連動を落ち着いてこなせるようになったことが大きい。岡山戦では、その強みは出せなかったが、今週の練習では再びその精度を高める練習を繰り返している。これは、3月22日の山口監督の初練習からコツコツと磨いてきた武器だ。その武器が千葉に相手に通用するか。「前回は何もさせてもらえなかった。借りは必ず返したい」(佐藤謙介)と、星勘定よりも目前の千葉戦で、「追うものの強み」を活かして、さらなる上昇への第一歩を狙う。
ニッパツ三ツ沢球技場に乗り込む千葉は、好調の横浜FCを今のタイミングで叩いておくことが大事となる。現在2位とはいえ、1位と6位の勝点差が3と、少しでも気を抜けばすぐに大きく順位を落としてしまうからだ。千葉は、前節昇格争いのライバルの京都に勝利して、4試合ぶりの勝利を収めた。千葉が勝てていないことが、ある意味混戦の要因だっただけに、前節にその流れを断ち切れたことは大きかった。試合後の記者会見で「ホームですけど、ある程度、捨てるところは捨ててしっかりと相手のスキルを出させない、スペースをしっかり消して、そういうサッカーを今日は選択しました」と木山隆之監督が振り返ったように、ポゼッション巧者である京都に対して、その良さを消す戦いを選択した。そして、千葉の特徴である縦へのスピードある攻撃を繰り出し3点をもぎ取った。その意味で、千葉もしぶとく勝点をもぎ取る戦い方を強く意識している。しかし、「自分たちももっとボールを握って良いサッカーがしたいと思っています」とも語ったように、木山監督が目指すスタイルはポゼッションをしながらの攻撃。横浜FCにも在籍した藤田祥史をはじめとして、スキルフルな前線の選手は、スピードアップした中でもゴールに直結した動きを見せられる。第3節のこの対戦での先制ゴールは、縦パス2本で兵働昭弘とのコンビで深井正樹が抜け出し決めたもの。横浜FCと千葉の対戦は、J2では横浜FCの1勝2分2敗だが、千葉が勝った試合は常にスピードある攻撃姿勢が功を奏している。今回の対戦でも、その強みを存分に出すことが勝点3への近道になる。
前を向いたサッカーを目指す両チームの対戦だけに、攻撃のリズムを早く作ることが非常に重要となる。その意味で立ち上がりの15分は一つの見所。そして、流れが落ち着いた後の両チームの対応が、上位のゲームに相応しいもう一つの見所。特に、町田戦の小野瀬康介は交代出場1分後、岡山戦の野崎は交代出場3分後と、交代選手がすぐにゴールを挙げるなど、最近の山口監督の采配は冴えている。そして、山口監督、木山監督の2人の知将が試合展開を読みながら振るう采配にも注目だ。
横浜FCは、ニッパツ三ツ沢球技場では千葉に負けていない(1勝1分)。一方で、前節でアウェイゲーム8連勝を達成したが、ホームゲームは第17節の熊本戦(6/2)以来勝てていない。その流れを断ち切り夏の上昇のスタートを切れるか。高いレベルでの激突に期待したい。
以上
2012.07.13 Reported by 松尾真一郎
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