熊本県内は11日夜半から激しく降った雨の影響で、12日未明に県北部の阿蘇市周辺で土砂崩れ、熊本市でも市内を流れる白川が一部氾濫して住宅地が浸水するといった被害が出た。13日以降も雨は降り続いており、行方不明になっている方の救出作業も進んでいない様子で、それ以外の地域でも道路、田畑の冠水などが起きている。亡くなられた方や避難所での待機を余儀なくされている方には心からお見舞い申し上げるとともに、1日も早い行方不明者の救出、そして被害を受けた地域の復旧を望みたい。
そんな中にあって幸いにも、練習場として使用している県民総合運動公園のグラウンドやクラブハウスに被害はなく、チームは12日以降も京都戦に向けて通常通りトレーニングを行ってきた。まだ具体的な内容は検討されている段階だと思われるが、クラブは来週以降、県内での復旧活動に協力することを公式サイトで発表している。大変な取組みとなるが、その前にまずは今週末に臨む一戦で、少しでも県民に明るい話題と、前向きになれる力を届けたい。それがこのクラブが果たすべき役割の1つでもあるからだ。
さて、チーム状況に関して触れれば、シーズン序盤の勝てなかった時期を完全に脱し、今季最大の目標であるプレーオフ圏進出に向け加速し始めたと言っていいだろう。前節の岐阜戦は、開幕から連続出場だった廣井友信を始め負傷による欠場が出たなか、14試合ぶりに先発した大迫希の今季2点目で先制、さらに4試合連続弾となる武富孝介の今季10点目で追加点を挙げ、後半に押し込まれたものの全員で無失点に抑えて、高木琢也監督就任以来、初めての3連勝を達成した。また、膝の手術で長期離脱していたキャプテンの藤本主税も交代出場ながら復帰し、6試合負けなしという状況で今節を迎える。
対する京都。今季は昇格のみならず、優勝候補の筆頭と目されており、前半は苦しんだものの16節には首位に立った。しかし17節の富山戦に引き分けて以降、前節まで実に7試合、勝利から遠ざかって現在8位。FW陣は負傷者がいたりした状況で軸が定まっていなかったようであるが、前回対戦でも得点を挙げた宮吉拓実をはじめ、原一樹、そして昨シーズン熊本でプレーした長沢駿らタレントが揃う。失点は熊本とさほど変わらないものの得点は11点多く、宮吉と並んで7得点を挙げている中村充孝、工藤浩平、中山博貴、チョン ウヨンといった中盤の選手が非常に近い距離で絡んで攻撃を組み立て、また時には前線にも顔を出しながら、徹底してパスで崩しにかかる。ボール支配率やパス本数はJ2ではやはり屈指で、ここ数試合の課題はそうした形から迎えるチャンスをしっかり決めるということにあるようだ。
前回・3節の対戦で0−2と敗れた熊本にとっては、「同じ失敗はしてはいけない」(高木監督)試合。前回は左右からのクロスで失点したため、その対応もさることながら、この京都の洗練されたパスワークをいかに分断するかが最大のポイント。今週のトレーングでもチームとしての守備に時間をかけていた様子で、高木監督もチャレンジ&カバーを強調していた。京都のつなぎに対してスペースを埋めるだけでは消極的になってしまう一方、「1人で奪いに行ってもかわされる」(養父雄仁)ため、整ったポジションからグループでの対応をベースにしつつ、どこかで思い切った判断をしてボールを取りに行くことで、相手のリズムを崩すことも必要だ。そうしたチャレンジを無駄にしない意味でもカバーリングの重要性が増すとあって、「3バックの距離感と、ウイングバックをしっかり声で動かすことが大事」と筑城和人、矢野大輔らは口を揃える。
一方の攻撃は、片方のサイドに密集してゲームを作る京都の特徴を踏まえ、ボールを奪ってからの早い切り替えで逆サイドの薄いスペースに展開することが有効となる。ただ、攻撃に転じても中途半端な場所で奪い返されては逆に京都のパスワークの餌食となるため、「前後もコンパクトになるように押し上げる」(吉井孝輔)ことも不可欠。その上で、攻めきれなければ作り直してフィニッシュで終わることを心がけたいが、「自分がシュートできてるのは、チームとしてその前の形まで作れているから」とチーム最多10得点の武富が話す通り、自信を持って攻め、流れを掴みたい。得点に結びつかずとも、狙いとする形をしつこく粘り強くやり続け、相手のミスを誘ったり消耗させたりできるか。「スペースを狙うときと、全体を使ってボールを回すとき、その使い分けができれば相手を走らせることもできると思う」と吉井。仮に拮抗した展開になれば、そうしたことの積み重ねがゲームの結果を左右しかねない。KKウイングのピッチが非常に素晴らしいのは確かだが、ウェットなピッチ状態になれば尚のこと、そうしたメンタルのタフさが勝敗を分ける割合は高まろう。
上位チームを迎える注目の一戦とあって、こうした時期だからこそ多くの県民にスタジアムで見て欲しい試合ではある。しかしここ数日の天候とそれによって様々な事態が起こりうる可能性を考慮すると、まずは安全にゲームが行われることが第一。京都のサポーターも含め、特に遠方から試合を見に来られる方は、十分慎重に、決して無理をしないようにしてほしい。
以上
2012.07.14 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第24節 熊本 vs 京都】プレビュー:6戦無敗の熊本が、7試合勝ちのない京都を迎える。前期の借りを返し、クラブ史上初の4連勝なるか。(12.07.15)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













